もう高齢者だから、長く眠ることが出来ない。日曜祭日も七時前には眼が覚めてしまう。若い日には日曜となれば九時十時まで眠ったものだ。
朝の十五分と夜の十五分では長さが違う気がする。ウイークデイでも朝晩十五分勉強するように心掛けているが、朝の方が圧倒的に効率がいい。日曜祭日はもう少し長く勉強というと気恥ずかしいが医学雑誌を読むようにしている。新しいことは中々憶えられないが、新しいことの意味や価値は若い頃よりずっと良く判断できるので、溢れる雑多な情報の中から大事な物だけを拾い上げてメモしておく。メモしても九割方は忘れてしまうのだが、何だか分かったような気がして安心なのだ
内科学といっても実に広範囲だし、分野ごとに考え方やアプローチに特徴がある。どうも苦手なのが内分泌やリウマチ膠原病系統の分野だ。どちらも比較的希な病気で、細々した検査や特殊な用語略語が出てきて分かりにくい。これはかなり共通した感覚のようで、専門医も少なく診療を敬遠する内科医が多い。尤も、関節リウマチと甲状腺疾患は数が多いせいもあって、診療する医師もまずまず居る。
患者さん側にも特徴があって膠原病の方は女性が多く多彩で細々した訴えがある。まあ、それも診療を敬遠する医師が多い理由の一つだろう。内分泌疾患は病気が進めば外見に特徴が出てきて、見た目で分かることも多い。こちらの方は途方にくれたというか戸惑った感じの患者さんが多い。実はこうした微妙な感覚は先輩からの伝承や経験の積み重ねで身に付く物で、教科書にはちょいデブの貧血には要注意などとは書かれていない。患者側の特徴は些細なことまで書いていけば本になるくらい色々あるが、医師の方も色々特徴があって、まず大きく内科系外科系で分けられる。切った張ったというと語弊があるし、今は大分手術手技も変わってきたようでだが、しかしまあ外科系にはそうした雰囲気を感じるものだ。だから、選択した科を聞いてなんで君が外科とか、えっお前が小児科と驚き、やっぱりあいつは精神科だよなとかいう問題発言が聞かれる。脱線して、失敬なことを書いてしまった。