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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

Mさん、ごめん

2015年01月22日 | 診療

               

 今朝は冷たい雨が降っていた。風がないので未だましだが、駅まで歩くのは楽ではない。冷たい雨の日はいつもおしゃべりな女の子達も口数が減るようだ。みな黙ってプラットフォームに立っている。

 医院に着いて、空調を入れ窓を少し開け、朝刊を待合室の椅子に置いて玄関を開ける。職員が来るまで十五分ほど、診察開始まで小一時間あるのだが、順番取りに診察券を早めに置きに来る患者さんや家族が居るのだ。

 たかだか十五分ほどだが、奥の診察室でコーヒを飲みながらキーを叩くのが日課となり、これは心休まる一時なのだ。どころが、時折診察券を置きに来た患者さんが、大声で「おはようございます」と誰か居ないのかと奥まで入ってくることがある。やむなく「なんでしょう」と対応するのだが、昨日はこのところの混雑診療で疲れていたせいもあって、つい声を荒げて「何ですか」と怒気をを含んで答えてしまった。院長が出てきたので驚いたかMさんは「いえ、あの今日血糖検査だったのですが朝ご飯食べてしまったんです。次の診察の時でもいいですか」と小声で聞く。「かまいませんよ」と短く答えて診察室に戻った。

 診察の時Mさんは「先ほどは申し訳ありません。」と謝罪された。私がむっとしたのに気付かれていたのだ。「いえ、そんな」とお答えしたのだが、修行の足りない自分に嫌気がさす一瞬でもあった。患者さんに親切にと思っていてもできないこともある。

 そう思いつつ、患者なんてみんな我が儘だからと言う医者や、患者さんにはいつも丁寧親切にしていますなどと言う医者にもなりたくない。

コメント (4)
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