台風一過の秋晴れの下を歩いてきた。すっかり秋の気配に覆われている。この数年この時期はまだ残暑が厳しかったような記憶がある。身体が憶えている季節感と言うものがあるが、今の子供達の季節感はどのように形成されてゆくのだろう。
Mさんはすらりとした奥様然とした小綺麗な人だ。特定健診の結果を聞きに来られた。
「LDLコレステロールがまだ少し高いですね、動物性の油を控えてください。去年、コレステロールの多い食品のリストをお渡ししたでしょ」。
「あら、大丈夫、気をつけてます。脂身の所は取って主人に食べさせてますから。喜んで食べますよ」。
「えー。ご主人糖尿病じゃないですか。駄目ですよ、そんなことしちゃ」。
看護師と顔を見合わせてしまう。
だからMr.Mはちっとも痩せないんだ。
「勿体ないと思っても、それは捨てて下さい」。
折角、医者に言われて甘い物や脂っこい物を控えていても、元々大好きなので妻に勧められれば食べてしまう。何だか責任は妻にあるような気がしてしまうのだ。気持ちは分かるが、傷むのは自分の身体なのだ。