駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

距離の二乗に反比例

2015年10月28日 | 小考

            

 痛みや辛さはというと分かり易いが、もっと一般的に影響の強さは距離の二乗に反比例すると見付けた。何だか物理現象に似ているが、人間の心の動きにも成立する現象だと思う。多くの大人は気付いておられるだろう。

 物理と違って人間の感覚は親密さで距離が修飾される。太平洋を挟むアメリカよりも数百キロの海を隔てただけのロシア中国の方が離れて感じられる人は多いだろう。

 いずれにしても心的距離が人間の感覚行動に大きな影響を与えているのは間違いない。微妙で生々しい問題だが、沖縄が伊豆大島や佐渡の距離にあれば全く違う展開になっているだろう。其処まで近くなくても、殿様が居て参勤交代するような歴史があれば、異なった事態になっているのは間違いなかろう。まあ、不都合な真実を伏せるのは時の権力の常套手段で、たらればと相手にされない。

 こうした心的距離が大きな意味を持つのはある意味自然で、生き延びてゆくのに必要な本能的なものだと思うが、いつも「それでいいのだ」とは思えない。世界は広いし物事はそれ程単純ではないのが事実だからだ。一言では言えないこと、黒白では決着の付かないことを尊重し時には受け入れることが出来ないと間違いが起こる。

 交通事故には誰しも気をつける。冤罪だって、実は他人事ではない。交通事故死が減らせたように、冤罪も減らせるはずだ。関係ない遠い世界の出来事ではあるまい。シリアからシルクロードを歩いては来れないが、高々数百キロの海は舟でも渡って来られる。時には「これでいいのだろうか」とバカボンのパパに言ってもらいたい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする