きちんと叱れるのは大切な能力で人類が生き延びてゆくのに欠かせない資質だ。そうした能力のある人物を見極めることは実は平凡な並の人間にも可能だと考える。
まあ叱るというといわゆる上から目線と言われる傾きを感じる人も居るかもしれないが、それは平等の理解が不消化のためと思う。それに現代カタストロフ論の著者らにおそらく叱るという感覚はなく警鐘を鳴らし科学的に対応を模索しようと提言する気持ちがあるだけと思う。
著者らは前書きで今はカタストロフと呼ばれる予測と異なる大きな構造的な変化の時期を迎えつつある。そしてカタストロフの時期では危機が起きてもじっとしていれば大丈夫。格差や歪みが生まれて止まらなくなり行くところまでいかないとよくならない。そして繰り返しながら変わってゆくことを否定し同じことを繰り返せばよいという三つの誤った認識から脱成長論が生まれ、長期衰退という最悪の道を辿る。と警告し、最悪を避ける道筋を論じている。
「現代カタストロフ論」岩波新書は今読まれるべき智慧の詰まった本だ。