駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

危機管理力が問われる

2022年01月23日 | 町医者診言
            

 危機に目をつぶるのは愚かな指導者、千尋の谷も目をつむれば谷底は見えず高所の恐怖は消えるかもしれないが、通り抜ける道も見えなくなり次に待っているのは転落だ。
 経験豊富な臨床医としてはっきり申し上げれば、PCR検査なしでオミクロン感染を診断するのは難しい。イチローの打率よりは上を行く自信はあっても藤井四冠の勝率を上回ることはできないと思う。どうして専門家会議が若年者の検査を放棄などと言い出すのか。自己診断で自宅待機が本音らしいが、そうやって医療負担保健所負担を減らそうという魂胆らしい。専門家会議の目的は医療崩壊を避けることで、新型コロナの死亡者や後遺症患者を減らすことではないのが見え透いてきた。専門家というのは何の専門家で誰が選んだのか、どのような責任を取るのか聞きたい。
 日本人は言挙げせず従順ではあるが、その分心配性でもありそのための医療負担があり、費用対効果には問題がある。問題にならないのはそれが医療機関の収入源になり、過剰な心配を受け入れ認める国民性があるからだ。その心配性の国民に自己診断で自宅待機など無理だ。無理が通れば泣き寝入りが増える。
 実は問題はもっと大きく、新型コロナは人類の試練で国の生き残りが掛かっている。逆に言えば日本のチャンスかもしれない。能力のある人を押し上げ、能力の足りない人には降りて貰う。これが国民に求められている試練だと思う。

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