駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

野田首相の発言を聞いて

2012年06月09日 | 政治経済

   

 大飯原発再稼働の必要性について野田首相が会見し発言した。国民に政府の判断を説明するというのは非常に大切なことでこれを歓迎する。その内容は予想よりも踏み込んだもので中長期的にも原発を容認するように受け取れた。語り口は落ち着いており、核を恐れない人には説得力があったかもしれない。

 国民の生活を守るの第一に挙げた原発の安全性の議論は筋違いで、正確には原発を稼働させると国民の命と健康に一定のリスクが避けられないので、そのリスクを最小にする努力をしますと表現するのが適当と思う。再稼働の理由には現在の快適な生活を享受し続けようとする発想から逆算した考え方が滲み出ており、政府というのは霞ヶ関のことだというのがよく分かった。野田首相は自民党以上に官僚追随と見た。もとより精一杯勤めておられることは承知だが、村夫士然とした風采に紛れた既得権擁護の姿勢を見逃すことはできない。

 大多数の人間は快適な生活のレベルを急速に下げることには耐えられないので、短期的な原発の再稼働には国民の一定の理解は得られるだろう。私も理解する。しかし、使用済み核燃料処理費などを考慮した費用対効果と放射性物質の扱いにくさを公開して議論すれば、中長期的には別の選択肢が出てくる可能性は大きい。

 官僚は書類上の整合性を整え、先例を踏襲するのは得意だが、現実では机上の書類に移し替えられない事象も多く、首相の言う国民から外れる人や生活から洩れる人も多い。

 しかしまあ、霞が関では一瞬も原発廃止を考えた時はなかったような気がする。人間は命に係わる選択でも、十年先よりも十日先のことを優先する習性があるのだろうか?岸信介の言葉、声なき声、を思い出す。

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