駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

足元を見つめ直す時に

2011年04月27日 | 町医者診言

 

 朝は肌寒く今日は気温が低いかのかなと思っていると日中は汗ばむ陽気で身体がついて行かない。十年くらい前だったか、ちょうど二十一世紀に入いった頃からだんだん気候が暦通りでなくなった感じがしていた。そこへ昨年夏の猛暑、今年は例年になく桜が遅かった。四月半ばを過ぎても肌寒い日が時々ある。高々人間個体の六十年の記憶で、地学的な変動を言えば火山が臍で茶を沸かすだろうが、病気も異例で四月に入ってインフルエンザの流行があり、麻疹(はしか)の流行の兆しがあると知れば、どうしても猛暑から巨大地震へと天変地異の連想が働いてしまう。

 不安を煽るつもりもないし、きちんとした観測データ無しにものを言うつもりもないが、立ち止まって生活を見直す好機であることは間違いない。今日は昨日のそして明日は今日の繋がりではあるが、明日も昨日のようにとは問屋が卸さないのに気付かされた。

 どうすればよいか、泣いている暇はないということは明白だ。悪いけれども芸能人の涙はもう結構。ケネディの言葉Ask not ・・を思い起こす。手足を動かし頭を働かすことだ、涙は汗にまぎらせと言いたい。直接でなくとも自分にできる範囲のまっとうな生活は支援になると考えている。ああしたらこうしたらからあいつが悪いこいつが駄目まで、玉石混交の議論は大いに結構だが、命令指揮系統と大方針だけはしっかりまともに機能させなければ、船が山に登る、山に登った船が降ろせない。

 緊急時だから指揮官交代論は封じ込めろと言う人は歴史を知らない。ジャーナリストは拡声器ではあるまい、記者会見で言われたことを書くだけなら中学生でもできる(中学生のほうが鋭い質問をしそうだ)。三日あれば原子炉の概要は掴める。三週間あれば、広く浅い知識では十分専門家に太刀打ちできるようになる。ジャーナリスト本領発揮の時ではないか。今を見つめ直そうとしている国民に現場の本当の情報を脈打つ動脈の血流のように送ってほしい。

 無冠の帝王は既得権に阿ねない。

 

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