駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

目元口元と手元足元

2015年11月18日 | 人生

            

 雨上がり濡れた舗道を歩いて駅に出た。奇妙な天候で寒くない、むしろ歩くと暑いくらいだ。季節が分からない、紅葉を見て秋なのかなと思う。

 昨夜は医師会の会合があり、雨のためタクシーで帰ったのだが、お釣りを貰う時二十円ばかりこぼしてしまい、座席の下の暗がりを捜す羽目になった。運転手は申し訳ないと謝ったが、彼が悪いのではない。だいたい爺の運転手の手なぞ握る気もしない。

 可愛いのは若い娘さんの目元口元なのだが、年寄りは手元足元がおぼつかなくなる。たかだか二百何十円かの小銭を握り損ない、踏み慣れた階段でたたらを踏みそうになって手すりに掴まり苦笑いをする。年は取りたくないと思う時だ。

 会合の後N氏と立ち話、H先生が脳出血で倒れたが幸い殆ど後遺症を残さず二ヶ月で仕事に復帰できたと聞く。比較的若かったのと、出血の場所が命の危険はあるが麻痺が残りにくい部位だったのが良かったようだ。最近のリハビリは身体だけではなく知能の方もやるらしく、ドリルで絞られて大変だったらしい。だいぶん痩せられたが、発言の様子では半年前と殆ど変わらず、脳出血後の印象はなかった。N氏の話では能力の低下は僅少でも、やる気が薄れ困っておられるとのことだった。

 どうも、脳力の衰えは機能だけでなく、面倒とか億劫という形で現れるようだ。高齢者でこれを読まれた方は思い当たる節もあると思う。

 勿論、意地悪な加齢は目元口元にもやってくる。

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