あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

私の愛聴盤(第202回)

2025-03-23 | 私の愛聴盤
第202回はエルジー・ビアンキの歌とピアノによる演奏集です。
前回掲載した「Fly me to the moon」に続いて彼女のアルバムを取り上げました。

「THE SWEETEST SOUND」 SABA SB 15069 ST
  
 1. Teach Me Tonight
 2. Fallin' In Love
 3. Little Bird
 4. A Sleepin' Bee
 5. The Shadow Of Paris
 6. Flddler On The Roof
 7. The Sweetest Sound
 8. Spring Can Really Hang You Up The Most
 9. Meditation
10. Why Did I Choose You
11. Little Blues
12. Guess Who I Saw Today
Elsie Blanchi (p, vo) Siro Bianchi (b) Charly Antolini (ds)
録音 1965年11月25日

こちらは全12曲中オリジナルは1曲のみで、残りは有名スタンダード等のカヴァーであり、8曲で彼女の歌が聴け、ここでも相方のシロ・ビアンキがベースでサポートしています。
ピアノの録音では定評のあるSABAレーベルでもあることで、シングル・トーンの響きはクリアで、彼女の澄んだ声にぴったりの録音となっていて、映画の主題歌や、ブロードウェイ・ミュージカルの挿入歌が多く取り上げられています。

「Teach Me Tonight」は、軽くスイングしながら歌う中で、スキャットも交えて気持ち良く歌っており、続く「Fallin' In Love」は、さらっと歌っていますが、中間部でのシングル・トーンによるピアノが粋に聞こえます。
「A Sleepin' Bee」に至っては、気負いなく語り掛けるような雰囲気で、「The Shadow Of Paris」と、「The Sweetest Sound」は3拍子で、また「Why Did I Choose You」についても哀愁を感じさせる歌と演奏でグッときます。
特に「The Shadow Of Paris」においては、相方のシロ・ビアンキによるベース・サポートが素晴らしく、「The Sweetest Sound」でのビアンキの歌いながらの左手によるリズム・キープも素晴らしいです。

屋根の上のヴァイオリン弾きのタイトル曲「Flddler On The Roof」は、ミディアム・テンポで気持ちよくスイングしているし、「Spring Can Really Hang You Up The Most」もまたミュージカルからの1曲ですが、こちらはゆったりとしたテンポで味わい深いピアノ演奏を聴くことが出来ます。
アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノバである「Meditation」を、歌とピアノで軽快に、また「Guess Who I Saw Today」は、カーメン・マクレーによる大人の歌が聴ける「AFTER GLOW」もありますが、ビアンキはあまりしつこくなくバラードとして歌い上げています。
ピアノ・トリオ演奏の中では以下の2曲が素晴らしく、同じピアニストであるピート・ジョリーの作曲による「Little Bird」は、ボッサのリズムの上をパーカッシヴなプレイで快調に、そして、彼女のオリジナルである「Little Blues」は、テーマ部で低音を生かし、アドリブに入ってもタイトル通りブルージーに、エンディングではテンポを落として締めくくっています。

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私の愛聴盤(第201回)

2025-03-09 | 私の愛聴盤
第201回はドナルド・スミスの「LUV」です。

「LUV」 WHYNOT PA - 7154

1. Mystic Man
2. Stillness
3. Nameless
4. Call Of Liberation
5. The Magnetic “A”
6. To Yaisa And Wanda With Luv
Donald Smith (p) Cecil Mcbee (b) Jack De Johnette
録音 1976年8月21日


このWHYNOTレーベルは、全て悠 雅彦さんのプロデュースによるもので、このアルバムの表紙のスミスの家族も悠さんが撮ったものです。

収録されている6曲は、このアルバムに参加している3人がそれぞれ2曲を出し合っており、
「Mystic Man」と「Stillness」がセシル・マクビー、
「Nameless」と「The Magnetic “A”」がジャック・ディジョネット、
「Call Of Liberation」と奥さんと娘さんの名前が入った「To Yaisa And Wanda With Luv」をドナルド・スミスが提供してします。

1曲目の「Mystic Man」はアップ・テンポで演奏され、この曲の提供者であるセシル・マクビーのフィンガリングが素晴らしく、後半はィィジョネットが静と動を使ったドラム・ソロで締めくくっています。
続く「Stillness」は、フリー・リズムの中で、繰り返し出てくるフレーズは、一聴するとポール・ブレイではないかと思わせる部分もありますが、ピアノとベースによる対話が印象的です。
「Nameless」では、ディジョネットの激しいアタックに乗って、スミスがピアノをフルに鳴らしながら突っ走っていますが、この曲でもマクビーのベースが演奏の軸を握っている様に思います。
ドナルド・スミスのピアノ演奏は、時にセシル・テイラー張りのリズミックで打楽器的であり、それはこの「Call Of Liberation」で顕著ですが、メロディックな部分をも交えながら、3者が作るサウンドはこのアルバムのハイライトです。
「The Magnetic “A”」は、テーマ部分こそ4ビートで演奏されますが、その後は節度を保ちながらも縦横無尽に走るピアノが痛快な演奏です。
また、ピアノ・ソロで演奏される「To Yaisa And Wanda With Luv」は、前半が鍵盤をフルに使ってのダイナミックな演奏で、後半は一転して音数をセーブして「静」の演奏となっています。

ドナルド・スミスはロニー・リストン・スミスの弟で、これが彼のリーダーとしての最初のアルバムですが、2人の強力なリズム陣に支えられて、その実力を十分に発揮すると共に、曲ごとに色々と変化を付けていて、繰り返し聴いてもその度に何か新しい発見があるようなスリルある演奏集です。

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私の愛聴盤(第200回)

2025-01-19 | 私の愛聴盤
第200回はハンニバルのベルリン・ジャズ・フェスティヴァルでのライブ盤です。

「HANNIBAL IN BERLIN」 MPS 68.152

1. The 23rd PSALM
2. Willow Weep For Me
3. Bessie's Blues
4. Swing Low Sweet Chariot
5. My Favorite Things
Hannibal Marvin Peterson (tp) George Adams (ts) 
Michael Cochrane (p) Diedre Murray (cello) Steve Neil (b) Allen Nelson (ds)
録音 1976年11月3日

ジャズ・フェスティヴァルでの演奏を意識したかどうかは分かりませんが、ハンニバルにしては珍しく大半が知名度のある曲を選択しており、これを相方を務めるジョージ・アダムスと共に如何に演奏するかが興味深いアルバムです。

ハンニバルのラッパはハイノートを目一杯鳴らす奏法に特徴があり、それはトレモロによるファンファーレ的なイントロを経て演奏が始まる1曲目のオリジナル曲「The 23rd PSALM」から全開となり、ここではハンニバルとマイケル・コーレーンのピアノがフューチャーされています。
スタンダードの「Willow Weep For Me」は、テンポを落としての演奏ですが、ここでもハンニバルのラッパはフルトーンで鳴っていて、ジョージ・アダムスもそれに影響されてか、途中からは刺激的なソロを展開しながら演奏が進み、最後はハンニバルのカゼンツァで静かに終わっています。
コルトレーンの「Bessie's Blues」においては、後半部でラッパとドラムスによるデュオ部分が白熱していて聞き応えがあります。

「Swing Low Sweet Chariot」では、チェロによる導入部から始まり、テーマに入ってリズム陣による2小節のパターンが繰り返される上を、ハンニバルのラッパがメロディを高らかに鳴らして行くという構成となっていて、演奏後の聴衆の拍手も大きいです。
最終曲の「My Favorite Things」は、1曲目と同様にラッパのソロで始まり、テーマに入ってからはアップ・テンポの3拍子でグイグイと迫っていき、続くアダムスはコルトレーンを意識してか、フリーキィなトーンを織り交ぜながら強烈なソロを披露しており、再びハンニバルが受け継いでアダムスを上回る猛烈なソロで、テーマに戻りますが、聴衆の興奮度が良く分かるように、演奏終了後の聴衆の拍手と口笛が長く収録されています。

このアルバムは、ライブ盤ながら録音状態も良好で、ハンニバル・マービン・ピーターソンの演奏を十分に楽しめます。

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私の愛聴盤(第199回)

2024-12-15 | 私の愛聴盤
第199回はダイナ・ワシントンのエマーシー盤です。

「For Those In Love」 EmArcy MG-36011
  
1. I Get A Kick Out Of You
2. Blue Gardenia
3. Easy Living
4. You Don't Know What Love Is
5. This Can't Be Love
6. My Old Flame
7. I Could Write A Book
8. Make The Man Love Me
Dinah Washington (vo) Clark Terry (tp) Paul Quinichette (ts) 
Jimmy Cleveland (tb) Cecil Payne (bs) Barry Galbraith (g) 
Wynton Kelly (p) Keter Betts (b) Jimmy Cobb (ds)
録音 1955年3月15~17日

エマーシーには1954年8月にクリフォード・ブラウンのユニットを中心としたメンバーと共演した「Dinah Jams」がありますが、こちらは先日亡くなったクインシー・ジョーンズの初期のアレンジも楽しめることから取り上げて見ました。
ちなみに「Dinah Jams」は、LAでのライブであるからして、ダイナの高揚した歌唱が展開されており、3曲がメドレーで演奏される「Come Rain Or Come Shine」では、ピアノ・トリオの伴奏で彼女の張り切った歌を聴くことが出来ます。

話をこのアルバムに戻して、
ブルースやゴスペルを基本として、ビブラートを生かしながらソウルフルに歌うのが得意な彼女が、スキャットや楽器との掛け合いも無い中で、そのカテゴリーを超えて挑んでいることが分かるアルバムです。
軽快なテンポでスタートする「 I Get A Kick Out Of You」は、音階の幅広い歌声と共に、クインシーのアレンジも粋で、ウイントン・ケリーのジャンプするピアノ・ソロや、クラーク・テリーの高音を生かしたトランペット・ソロも聴き所となっています。
ビリー・ホリディが得意としていた「Easy Living」は、なんとなくビリーの歌と被って聞こえるし、「This Can't Be Love」では、本領を発揮してシャウトする場面もあります。
また、バリー・ガルブレスのギターをバックに歌い出す「You Don't Know What Love Is」や「My Old Flame」では、感情を込めて歌う彼女の別の一面を聞くことが出来ます。
ミディアム・テンポで演奏される「 I Could Write A Book」では、スイングしながら心地よく歌っており、彼女の幅の広さを窺える1曲となっていて、この曲がこのアルバムの中で一番好きです。

そして、何れの曲も中間部では各人が交互にソロを取る部分が上手くアレンジされていて、歌と共に楽器演奏も楽しめるアルバムです。

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私の愛聴盤(第198回)

2024-12-01 | 私の愛聴盤
第198回は、ジャマイカ出身のウイルトン・ゲイナー・カルテットによる演奏です。

「BLUE BOGEY」 TAP 25

1. Wilton's Mood
2. Deborah
3. Joy Spring
4. Rhythm
5. Blues For Tony
6. The Way You Look Tonight
Wilton “Bogey” Gaynair (ts) Terry Shannon (p) Kenny Napper (b) Bill Eyden (ds)
録音 1959年8月26日

澤野工房からはTEMPOレーベルによる多くの作品が出されましたが、これもその中の1枚です。
リーダーで、ジャマイカ出身のウイルトン・ゲイナーというサックス奏者は、このアルバムで初めて知った中の1人ですが、彼の演奏に惹かれて今では愛聴盤の1枚となっています。

一曲目の「Wilton's Mood」は、その名もずばり、リーダーのテナー・サックスが堪能出来る1曲で、ミディアム・テンポによる歌心溢れる名演となっていて、後半に入って早いパッセージを使って変化を付けています。
バラードで演奏される「Deborah」もまた美しいフレーズで心地よく響かせていて、続くクリフォード・ブラウンの「Joy Spring」では、ハロルド・ランドのプレイと比べより太く力強く、どちらかと言えばロリンズに近い音で、テンポが少し遅いせいか余裕さえ感じるプレイであり、後半ではテリー・シャノンのピアノとケニー・ネッパーのベース・ソロにも多くのスペースを与えています。
「Rhythm」はアップ・テンポによる演奏で、アルバムに付属されている足立さんの解説によると、練習用のトラックとして録音されたものだそうですが、テーマらしきものが無くいきなりアドリブに突入していて、これにベースが8つを刻みながらテナーを支え、それを鼓舞するようなビリー・エイデンのドラミングが絶妙な演奏となっています。
「Blues For Tony」は4小節のリフを組み合わせたブルースで、ベースによる導入部があり、その後ピアノが登場しサックスへと続いていきますが、ここでもテーマらしきものは聞けず、ずっしりと重いベース音と共にけだるい感じのブルースとなっています。
唯一スタンダードの「The Way You Look Tonight」において、ゲイナーは軽快なテンポで快調に飛ばしており、その中でスムースなアドリブは心地良く聞こえ、続くシャノンのジャンプするような長いピアノ・ソロも一聴に値するプレイです。

全体を通して、リーダーのウイルトン・ゲイナーの特徴を上手く表現できているアルバムだと思います。

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私の愛聴盤(第197回)

2024-11-24 | 私の愛聴盤
第197回はベント・エゲルプラダによるピアノ・トリオです。

「A BOY FULL OF THOUGHTS」 BEPROD 1001

1. A Boy Full Of Thoughts
2. What Is This Thing Called Love
3. Sarek
4. A Song For Amy
5. The Days Of Wine And Roses
6. Ewa
7. Night Hawk
8. The Blue Road
Berndt Egerbladh (p) Bjorn Alke (b) Sten Oberg (ds)
録音 1988年12月

このアルバムのリーダーであるベント・エゲルプラダは、澤野工房からの発売で初めて知ったピアニストですが、演奏良し、選曲良し、録音良しの3拍子揃っており、ステレオ録音でありながら3人が中央部に集結していて、ドラムスも中央後方から聞こえるようにバランスよく配置されています。
優れた録音であるからして、ピアノのタッチは繊細なまでに美しく響き、ベースのピチカットとアルコの演奏が冴えわたって聞こえます。

演奏の方は、アルバムのタイトルにもなっている「A Boy Full Of Thoughts」がいかにも北欧らしい響きを持った曲で、6分間の芸術的演奏で、ピアノの響きとそれに絡むベースが素晴らしいです。
また、このアルバムはTBMの音作りに似た雰囲気を持っているところもあり、「A Song For Amy」は、ベーシストのピチカットとアルコ・プレイに於いて、鈴木勲のリーダー・アルバムであるBlue Cityに似た雰囲気を醸し出している部分があり、この上に乗るピアノとそれを支えるドラムスのバランスがとても心地よく聞こえます。
最終曲の「The Blue Road」は、ピアノとベースのデュオによる演奏で、テーマ部はアルコでスタートし、アドリブに入ってからはピチカットでピアノとの対話を楽しむような演奏となっていて、これもTBMレーベルの今田勝とジョージ・ムラーツによるアルバム Alone Together のBlue Roadにも似た雰囲気を持っています。

2つのスタンダードについて、
「What Is This Thing Called Love」は、シングル・トーンでテーマ部をトツトツと弾いており、アドリブに入ると両手を目一杯使って強烈なアタックも交えて力演しています。
また、ヘンリー・マンシーニの「 The Days Of Wine And Roses」は、エゲルプラダの独特の解釈によって、フリー・リズムによるイントロから始まり、一風変わった「酒バラ」を聴くことができます。

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私の愛聴盤(第196回)

2024-09-29 | 私の愛聴盤
第196回はフランク・ロソリーノのベツレヘム・レーベルからの1枚です。

「I Play Tromborn」 BETHLEHEM BCP 26
  
1. I May Be Wrong
2. The Things We Did Last Summer
3. Frieda
4. Doxy
5. My Delux
6. Flamingo
Frank Rosolino (tb) Sonny Clark (p) Wilfred Middlebrooks (b) Stan Levey (ds)
録音 1956年5月1日

全6曲の内、フランク・ロソリーノの作曲による2曲を除く4曲はミュートを付けていて、印象的なプレイを聴くことが出来るアルバムです。
彼のプレイは、J.J.ジョンソンのような超技巧派ではなく、ゆったりしたテンポにおいて、ワン・ホーンであることからして、この楽器を生かした暖かさと歌心をたっぷりと感じることが出来ます。
また、ピアニストとしてソニー・クラークが参加しており、彼のプレイも堪能できます。

ミュート・プレイにおいては、
1曲目の「 I May Be Wrong」で、早速、暖かさと歌心を感じることが出来るし、ソニー・クラークのソロに移ってのトリオ演奏となってからは、ウイルフレッド・ミドルブロックスのベース音が際立って聞こえ、最後はスタン・レヴィのドラムスのソロもあって、華やかな演奏となっています。
また、「The Things We Did Last Summer」や「Flamingo」では、お馴染みのメロディに沿った演奏となっていますが、ロリンズの「Doxy」では、トロンボーンとしては小刻みで難しいアドリブを披露しており、ここではソニー・クラークの粋なメロディを挟んでの余裕たっぷりのソロが聞けます。

一方の、オープン・プレイでは、
「Frieda」と「My Delux」の2曲において、ミディアム・テンポで力演しており、共にソニー・クラークのソロ・スペースも多く取られていて、特に「My Delux」においては、ベースのランニング・プレイに乗って軽快な演奏であり、ドラムスとの4バースやベース・ソロも含んでいて、6曲の中では一番の演奏と思います。

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私の愛聴盤(第195回)

2024-08-25 | 私の愛聴盤
第195回は、エリック・アレキサンダーの比較的初期の作品です。
日本録音盤で、アルファ・ジャズ・レーベルからは「Man With A Horn」に続く第2作目となります。

「HEAVY HITTERS」 ALFA JAZZ ALJB - 7505

1. MR. STITT
2. THIS ONE'S FOR MY LOVE
3. GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DAY
4. MR. JOHNSON
5. MAYBE SEPTEMBER
6. ON A SLOW BOAT TO CHINA
Eric Allexander (ts) Harold Mabern (p) Peter Washington (b) Joe Farnsworth (ds)
録音 1997年12月17, 18日

このレーベルの1作目はニューヨークのクリントン・レコーディング・スタジオで収録されていましたが、こちらの第2作は、ルディ・ヴァンゲルダーによって自身のスタジオで録音されたもので、デビュー当初からピアノを担当しているハロルド・メイバーンが参加しています。
そのメイバーンの作曲による「MR. STITT」からスタートし、少し早めのテンポにおいて、エリックのイマジネーションたっぷりのソロと、メイバーンの快調なピアノ・プレイ、それにピーター・ワシントンのベース・ソロが味わえ、最後はエリックとドラマーのジョン・ファンズワースの4小節交換で締めくくっています。
このアルバムで唯一エリックのオリジナルである「THIS ONE'S FOR MY LOVE」については、2小節を1区切りとしたリズム・パターンによるテーマで変化を付けていますが、ベテランによるリズム陣のサポートに助けられた演奏の様に聞こえます。
「 GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DAY」は、ピアノとのデュオで、エリックの歌うようなバラード・プレイにおいて、実力を遺憾なく発揮した演奏となっています。

ハロルド・メイバーンの2つ目のオリジナルである「MR. JOHNSON」に至っては、3拍子の曲でリズムが強烈な上にソロで作者が激しく鍵盤を叩くプレイがすごいと思って聴いていると、続いてのエリックはそれに負けじとコルトレーン張りの強烈なブローで対抗しています。
また「MAYBE SEPTEMBER」は、ラッセル・ローズ監督の映画「オスカー」の挿入歌で、映画の中ではトニー・ベネットが歌っていますが、このアルバムではエリックの美しいバラード演奏が堪能出来ます。
最終曲の「 ON A SLOW BOAT TO CHINA」は、ソニー・ロリンズやフィル・ウッズによる名演奏を思い浮かべながら聴こうとすると肩透かしを食らうほど猛スピードで突っ走っていて、最後はドラムソロを経てテーマに戻りますが、一瞬たりとも息を抜けない5分15秒となっています。

なお全6曲において、演奏の終わりにエリックのテナー・サックスによるカゼンッアが入っていて、ここも聴かせどころの一つとなっています。


下は、エリック・アレキサンダーが、シカゴのDELMARKレーベルに録音したデビュー・アルバムと続く第2弾(CD)です。
デビュー・アルバムはトランペッツ入りのクインテット、2作目はカルテット編成で、2枚ともハロルド・メイバーンがピアニストを務めています。
1968年8月4日生まれのエリックが24歳になったばかりの1枚目と、丁度1年後の演奏を比較しながら聴いてみるのも興味深いです。

「STRAIGHT UP」 DE 461     「UP, OVER & OUT」 DE 476
 
録音 1992年8月20, 21日       録音 1993年8月18, 19日

デビュー・アルバムの「Straight Up」は、1曲目にエリック・アレキサンダーのオリジナルを配置し、トランペットのサポートを得ながら快調に飛ばす演奏が続きます。
2作目は、ワンホーンによるご機嫌なハード・バップ演奏集で、エリックの自信に溢れたプレイが堪能できます。


更に追加の1枚(CD)は、今でも続いているヴィンセント・ハーリングとの2管編成(+ピアノトリオ)による2005年4月のニューヨークのSmokeでのライブです。

「THE BATTLE」 HighNote HCD 7137


演奏は、ジーン・アモンズとソニー・スティットの共作による「Blues Up & Down」からスタートしていて、2サックスによるハーモニーを生かしたテーマが心地良く、ソロに入っては息もつかせずエキサイティングなブローの応酬となっています。
選曲の中で珍しいのは2曲目で、ここではウエス・モンゴメリーの「Road Song」を取り上げていて、2人のユニゾンによるおなじみのテーマが提示され、エリック、ヴィンセント、ピアノ、ドラムスの順でソロが展開されていて、ヴィンセントはテーマ・メロディの断片を散りばめてのアドリブとなっています。
3曲目はシダー・ウォルトンの「Film Roots」、そして後半の3曲は共演しているピアニストとドラマーのオリジナルで、ピアニストのマイク・レドーンの作曲による「Shirley's Song」と「Road Song」を除いては、全てフル・トーンで吹き鳴らす激しい演奏集となっています。
ライブ・アルバムであるからして、1曲あたりの演奏時間が長いのは当然のこととして、収録されている5曲、1時間の演奏を聴き通してもダレることがありません。

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私の愛聴盤(第194回)

2024-07-21 | 私の愛聴盤
第194回は、フランク・ウエス&ローランド・ハナによるニューヨーク・ジャズ・カルテットです。

「FRANK WESS - ROLAND HANNA」 AMIGA 855 718
  
1.Surge
2. Placitude
3. Big Bad Henry
4. 87th Street
5. What, Dose It Matter?
6. Tee Piece
Frank Wess (fl, ts, ss) Roland Hanna (p) George Mraz (b) Richard Pratt (ds)
録音 1977年2月19日

ニューヨーク・ジャズ・カルテットは、1972年から1982年までの10年間に活動したグループで、創始者はピアニストのローランド・ハナでした。
このレコードは、西独のenjaから発売されている「SURGE」の東独盤で、1980年7月にハンガリーに出張した時に、一緒に仕事をした現地社員のお父様から頂いたもので、毎年この時期になると当時の事を思い出しながらターンテーブルに乗せています。

当時は、ベルリンの壁の崩壊前で、ドイツが西側と東側に分断されていましたが、ハンガリーの人々にはとても親切にして頂いた懐かしの1枚で、毎年この時期が来ると当時を回顧しながら1度は聴いています。
下の写真は3枚を繋ぎ併せたもので、大分古ぼけてしまいましたが、出張時にブタペスト市内を撮ったもので、今でも自宅の壁に掛けてあります。
中央を流れるドナウ川と、夜になると照明が美しいチェーン橋を挟んで、左がブダ地区、右がペスト地区です。




アルバムの内容は、ベテラン4人による充実した演奏集で、フランク・ウエスはサックスとフルートを使い分けており、タイトル曲の「Surge」はフルートで軽快にスタートし、ピアノ、ドラムスとソロがリレーされますが、再びウエスに戻る時はソプラノ・サックスに持ち替えており、全体を通してカチッと締まった録音が何とも心地いい1曲です。
バラードによる「Placitude」はアルトフルートで、広大な大海原を想像するような演奏が繰り広げられていて、それをローランド・ハナのピアノが一層強調しています。
ジャズ・ファンクとも言うべき「Big Bad Henry」は、独特のリズムに乗って、テナー・サックスによるブローと、中間部でソロを取るジョージ・ムラーツのフィンガリングがカッコイイです。

このアルバムでドラムを叩いているリチャード・プラットの作品である「87th Street」は、再びアルトフルートに持ち替えて、ドラムスのジャンプするリズムの上をなめらかで滑るようなソロを展開しており、この対比が何とも言えず素晴らしいです。
「What, Dose It Matter?」は、「You don’t know what love is」の断片が織り込まれたテーマのような部分も散見されますが、ウェスのテナーは、ペタペタと地を這うような独特の音色で、ベニー・ゴルソンがプレイしているような感覚の演奏となっています。
最終曲の「Tee Piece」は、フルートによるアップテンポの演奏でスタートしますが、ピアノ・ソロを挟んでテナー・サックスに持ち替えたかと思うと、最後は再びフルートで締めくくっています。


下は、西独盤の「SURGE」(enja 2094 )のジャケットで、比較的地味な演奏集にもかかわらず、内容は素晴らしいアルバムです。



ちなみに、この年の7月は、社会主義国で始めてオリンピックが開催された年(1980年(昭和55年)7月19日から8月3日までの16日間)ですが、7日にモスクワ経由でローマに行き、そこからハンガリーの航空機でブタペスト入りしました。
トランジットでモスクワに着いた時は、乗客全員が一端飛行機から降ろされてパスポートも取り上げられたため、この先どうなるかと思いました。
このモスクワ・オリンピックは、ソ連のアフガニスタン侵攻により多くの国が、オリンピックをボイコットしたため、日本も金メダル候補であったマラソンの瀬古や、柔道の山下が参加出来なかったことで、今でも語り継がれています。

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私の愛聴盤(第193回)

2024-06-30 | 私の愛聴盤
第193回は、ジャック・ディジョネットの日本で制作されたアルバムです。

「HAVE YOU HEARD ?」 CBS SONY SONP 50282
  
1. HAVE YOU HEARD ?
2. FOR JANE
3. NEOPHILIA (LOVE OF THE NEW)
4. PAPA DADDY
BENNIE MAUPIN (ts, fl, bcl) 市川秀男 (p) GARY PEACOCK (b) JACK DE JOHNETTE (ds)
録音 1970年4月7日

このレコードが制作された当時は、米国CBSが日本コロムビアとの契約終了(1967年10月)により新たにソニーとのレコード合弁会社を立ち上げて間もない頃で、ジャズとしてはゲイリー・ピーコックと菊池雅章のセッションであるEAST WORDを始めとして多くの名盤が排出されました。
私もレコードの収集を始めた頃で、貧乏学生の少ない手持ちの資金からあれこれ迷いながら買っていた中の1枚です。

この録音時代のジャック・ディジョネットは、トニー・ウイリアムスの後を継いでマイルス・デイビスのグループに参加していた時期で、このアルバムでは、スイングからアヴァンギャルドまでのディジョネットのドラミングを堪能出来る1枚となっています。
それは1曲目の「HAVE YOU HEARD ?」の冒頭のドラム・ソロで、スネア、シンバル、バスドラを駆使し、ハードでありながら心地よいドラミングを聞かせてくれます。
続いてメンバーの3人が夫々ソロを取りますが、その中で、ゲイリー・ピーコックのベース・ランニングや、ボディを叩いての変幻自在のパフォーマンスには圧倒されます。
また演奏の後半では、意味不明のうなり声が聞こえますが、この声はベニー・モウピンでしょうか?
この演奏に参加しているピアニストの市川秀男も、大御所の3人の演奏に臆することなく素晴らしいプレイを披露しており、「FOR JANE」でのフェンダー・ローズも見事であり、ベニー・モーピンがフルートを吹いていることから、心安まる小品となっています。

テナー、フルート、バスクラで参加しているベニー・モウピンは、ディジョネットと同時期にマイルス・グループに参加していたことがありますが、ここでも真価を発揮しており、特にバスクラでの「NEOPHILIA」が印象的で、さらにピーコックの超絶技巧のベースプレイを聴くことが出来る1曲でもあります。
「 PAPA DADDY」は、テーマを持たない瞑想的な演奏で、冒頭ディジョネットのドラミングでスターとした後は、リズム・キープがないフリーとなり、4人が夫々のパフォーマンスを展開しながら進行していきますが、ピーコックはべース・ラインをキープしながら進めており、ソロにおいては圧巻のプレイで迫ってきます。

ディジョネットは、いかなる場面においてもしなやかにスイングしており、これに他の3人が様々な場面で触発されたプレイを演じることで、非常にまとまりの良い演奏集となっています。

なお、ジャック・ディジョネットとゲイリー・ピーコックは、このアルバムから10年ほど後に、キース・ジャレットと共に「スタンダーズ」を結成して数々の名演を残すことになります。

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