毎年、8月後半から9月の始めにかけてスイスのWillisau(ヴィリサウ)で開催されるジャズ・フェスティヴァルですが、この模様は過去にhat HUTレーベルから何枚かが発売されており、このブログでも
1978年のディヴィッド・マレイの演奏を取り上げたことがありました。
そこで、ここから何枚かは他の手持ちのアルバムも聴いて見ることとし、まずはスティーヴ・レイシーのグループとしました。
「STAMPS」 hat HUT K/L

1. EXISTENCE
2. IRE
3. THE DUMPS
4. STAMPS
5. DUCKLES
6. WICKETS
7. THE BLINKS
STEVE LACY (ss, wistle) STEVE POTTS(as, ss) IRENE AEBI (cello, vln, voice, bells)
KENT CARTER (b) OLIVER JOHNSON (ds)
録音 1977年8月27日
スティーヴ・レイシーは、ソロを始めとして少人数による演奏が多いですが、ここではホーンを2本入れたクインテットとなっていています。
また、彼の後期の演奏には大抵イレーネ・アビが参加しており、ここでも加わっています。
1曲目の「EXISTENCE」は、ノー・リズムによる渾然としたサウンドの塊からスタートしますがイレーネ・アビはヴォーカルで参加しています。
途中からはフォー・ビートになり、アビはヴァイオリンに持ち替え、2人のサックス奏者を交えて3人が夫々のパフォーマンスを展開し、ケント・カーターのベース・ソロを経て、最初のサウンドに戻っています。
「 IRE」も、リズム・レスで、しかもテーマらしきものは無く、参加者が各々の音を発する演奏からスタートし、最後になって、リズムを伴ったテーマらしきメロディが出てきて演奏が終了します。
「THE DUMPS」になって、やっと曲の形が現われてきますが、イレーネ・アビのセロと、ケント・カーターのベースが夫々8つを刻む音の上を、スティーヴ・ポットのアルト・サックスが音を散りばめて動き回り、レイシーは日本の笛で参加しているように聞こえます。
また後半になって、セロとベースによる掛け合いによるソロがこの曲のハイライトとなっています。
タイトル曲の「STAMPS」は、2人のサックス奏者によるアンサンブルで、テーマが提示され、その雰囲気を維持したままアドリブに移行し、5分近い演奏があっという間に終了します。
「DUCKLES」も「IRE」と同様に、最初から最後まで渾然とした演奏です。
D面に収録されている最後の2曲はモダン・ジャズに近い演奏となっていて、「 WICKETS」ではスティーヴ・ポットのアルト・サックスとドラムスの対話形式の演奏に、他の3人が絡み、後半ではスティーヴ・ポットに替わって、スティーヴ・レイシーのソプラノとドラムスの演奏を主体に他の3人が絡むという内容となっています。
また「 THE BLINKS」は、セロを入れた3人のリズム陣の上を、2人のサックス奏者が交互にソロを取っていて、先発がポットで後半がレイシーの様に思えますが、ブラインド・ホールド・テストでは無いけれど、スティーヴ・レイシーとスティーヴ・ポットがソプラノ・サックスを同時に吹く演奏では、2人の聞き分けは難しいです。
全7曲、今となっては2枚組を通して76分を聴くには少々しんどいアルバムです。
なお、このフェスティヴァルについてネットでチェックしてみたところ、
今年は9月2日、3日に開催することになっていました。