第100回はセシル・テイラーのカフェ・モンマルトルからの2枚です。
このコーナーも100回目ということで、常に先端を走ってきたセシル・テイラーを取りあげてみました。
今となっては、数ある彼の音源の中で最も耳になじみやすいアルバムの一つです。
「AT THE CAFE MONTMARTRE」 FONTANA SFJL 928
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/04/77/9a83ed03a95a8e5bcb0c1c7c8f6f2255_s.jpg)
1. TRANCE
2. CALL
3. LENA
4. D TRAD, THAT′S WHAT
「NEFERTITI, The besutiful one has come」 FONTANA SFJL 926
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/5f/be/308d9f2b0a51d23ff6c48f76d7194bdf_s.jpg)
1. WHAT′S NEW
2. NEFELTITI, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME(1st variation)
3. Lena(2nd variation)
4. NEFELTITI, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME(2nd variation)
CECIL TAYLOR(p) JIMMY LYONS(as) ARTHUR MURRAY(ds)
録音 1962年11月23日
セシル・テイラーは、ピアノという楽器を通して「音」を解体・構築し、常に前衛の旗頭として君主してきました。
後年はピアノとヴォイスに加え、時にはアクションのパフォーマンスで自らを表現してきましたが、これは初期の傑作集であると同時に、歴史的価値を持つアルバムです。
ここでのセシル・テイラーは、打楽器的アクセントを打つ左手と、凄い速さで鍵盤上を往来する右手が調和し、曲がグイグイ進行するかと思えば、時折奏でるメロディックな旋律の中ではセロニアス・モンクも顔を出します。
そして、このユニットに参加したばかりの2人について、
ジミー・ライオンズのアルト・サックスは艶があり美しく、1枚目の「コール」や2枚目の「ホワッツ・ニュー」のようなスロー・テンポの曲において顕著です。
また、若干25歳のサニー・マレーは、ここに参加するまではハード・バップ系ドラマーであったことが信じがたく、ここでは随所で激しいパルスを叩き出し、リーダーと堂々と渡り合っています。
3人というシンプルな構成の中で、各人が自己主張をする痛快さが最初から最後まで2枚のアルバムを通して伝わってきます。
このレコードを聴く度に、ある評論家が「音楽の3要素はリズム、メロディー、ハーモニーであるが、ジャズはリズム、メロディー、サウンドだ」と言った言葉を思い出します。
この2枚、オリジナル盤はデンマーク・デビュー盤(DEB-138, -148)で、過去に何回も再発されています。
最近では2010年に、国内のMUZAC, INCより発売されたオリジナル形式のCDがあります。