第167回は、ジョン・スコフィールドがリッチー・バイラークを加えたカルテットでのライブ盤です。
「JOHN SCOFIELD LIVE」 enja 3013
1. V.
2. GRAY AND VISERAL
3. LEAVING
4. SOFTLY AS IN A MORNING SUNROSE
JOHN SCOFIELD (g) RICHIE BEIRACK (p) GEORGE MRAZ (b) JOE LaBARBERA (ds)
録音 1977年11月4日
このアルバムが録音された1977年は、先の日野皓正との共演盤である「MAY DANCE」と同じ年の録音で、ジョン・スコフィールドをその時の演奏と聴き比べてみると、バックを支えるリズム陣が何れもベテラン揃いであることもあり、半年後に録音されたこちらは、テクニックに力強さも加わっています。
収録されている4曲はライブともあって、いずれも10分を越えるロング・バージョンで、特にA面2曲はスコフィールドのオリジナルであり、冒頭の「V」は面白いテーマをもっており、2曲目の「 GRAY AND VISERAL」は6/4拍子による曲ですが、ベース・パターンが最初から最後まで曲を支配していて、それにスコフィールドの重厚なテーマが被さり、ソロにおいても変則リズムの上を粋なフレーズが延々と続きます。 また、後半でソロを取るジョージ・ムラーツのエレキ・ベースも鮮やかな手並みを披露しています。
B面2曲は、リチャード・バイラークの書いた美しい曲や、スタンダードをどのような解釈でバイラークが演奏するか聴きどころとなっています。 その「LEAVING」は、ピアノ・ソロによる長い序奏を経て、スコフィールドがシンプルにテーマを弾き、アドリブに入っても冷静でスマートな演奏となっていますが、続くバイラークは対照的に激しく熱いソロを披露しています。 最終曲の「 SOFTLY AS IN A MORNING SUNROSE」は、バイラークがフリーな演奏でテーマ部分を1コーラス弾いた後、イン・テンポになってスコフィールドが再びテーマを演奏しそのままアドリブへと進んで行き、途中では倍テンポによる粋なアドリブも披露します。 その後は、ピアノ~ドラムスへとソロがリレーされ、15分を越える長い演奏が終わります。
ジョン・スコフィールドは、1951年12月生まれであるからして、このライブ・レコーディングは26歳になる前のデビュー間もない演奏ですが、彼の実力を遺憾なく発揮した記憶に残る1枚だと思います。