今年のブラック・フライデー以降に発売されたビル・エヴァンス・トリオの未発表録音盤を入手したので、早速聴いてみました。(ジャケット写真はファクトリーシールを被せたまま撮りました)
「IN NORWAY 1970」 Elemental music 5990547
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/08/f2/77331263f75cf0c8954573c522bfdb8e_s.jpg)
Disc 1
1. Come Rain Or Come Shine
2. What Are You Doing The Rest Of You Life?
3. 34 Skidoo
4. Turn Out The Stars
5. Autumn Leaves
6. Quiet Now
7. So What
Disc 2
1. Gloria’s Step
2. Emily
3. Midnight Mood
4. Who Can I Turn To?
5. Some Other Time
6. Nardis
Bill Evans (p) Eddie Gomez (b) Marty Morell (ds)
録音 1970年6月26日 Kongsberg Jazz Festival at Kongsberg Kino, Norway
このビル・エヴァンス・トリオには、1970年6月19日のスイス・モントルーでのライブ盤(Montreux Ⅱ/ CTI 6004)があり、今回掲載したのはその1週間後にノルウェーのコングスベルグ・キノで開催されたジャズ・フェスティヴァルでの演奏を収録した2枚組アルバムです。
2枚のレコードに収録されている13曲は、全てエヴァンスに所縁があり、これまでにResonance Recordsから次々にエヴァンス・トリオの音源が排出されてきましたが、これでまた1枚が新たに加わりました。
アルバムは「Come Rain Or Come Shine」からスタートしますが、エヴァンス・トリオの演奏の大半は、良くも悪くも中間部でエディ・ゴメスのベース・ソロが挿入されていて、この曲も同様です。
また「Autumn Leaves 」の構成も、いつものフレーズのイントロから始まって、トリオでテーマを1コーラス演奏した後は、ゴメスの長いベース・ソロがあり、最後はトリオで1コーラス演奏しただけで終了しており、彼の独壇場の1曲となっています。
モントルーⅡと1曲だけダブって収録されている「34 Skidoo」を比較して聴いてみましたが、テンポを含め演奏パターンやエンディングの処理は同じで、演奏時間も5分30秒前後でしたが、ノルウェーの演奏の方が躍動感が感じられました。
このアルバムでの選曲で珍しいのは「So What」で、テーマ後のエヴァンスは粋なフレーズを連発し、その後方でゴメスがそれを鼓舞するようにビートを刻み、これにモレルのドラムスが加わって演奏がヒートアップして行きますが、後半はやはりゴメスのベース・ソロが中心の演奏が展開されています。
スコット・ラファロの「Gloria’s Step 」は、アップ・テンポで進行していきますが、ゴメスが主役とはならず、またライブと言うこともありラフな演奏に聞こえます。
一方で、「Quiet Now」や「Some Other Time」は、ゆったりとしたテンポで、ピアノとベースによる対話が心地いい響きとなっており、「Some Other Time」の演奏終了後は盛大な拍手と「アンコール」の声も収録されていることから、最後に収録されている「Nardis」がアンコールで演奏されたようです。
その「Nardis」での大半は、これまたゴメスのベース・ソロで占められていて、後半でエヴァンスがそれに負けじと軽快なプレイを披露し、最後はマーティ・モレルのドラムスがロング・ソロをビシッと決めてテーマに戻っていますが、演奏が終了した後も鳴りやまぬ拍手も収録されています。
このアルバムでのエヴァンスのプレイは言うまでもありませんが、ステレオ録音で中央左寄りにピアノが、右寄りにベースとドラムスが配置されていて、ベースはアンプを通した音を増幅した部分もありましたが、全体のバランスも良く音質は上々でした。
また、付属のブックレットには、3人のインタビュー記事や写真が掲載されていて、下はその一部です。