人間が物事を考える力の水準を、おしなべてずるずると下げていく方法のひとつに「自動化」があります。
自動化は、間違いなくぼんやり人間を増やしていきます。
進んでいくのは自動化技術に携わっている人の頭脳だけです。
眠っていても目的地まで連れて行ってくれる自動車を、便利でとても良いものだと思う人は、自動化病の罹患者候補です。
パソコンのプログラムにも、眠っていて何もしないのがいちばん良い状態と思っている人が作ったようなものもあります。
カメラメーカーが手をひろげて作っているプリンターがあって、機構の部分はまことによくできています。
しかし、盲点はどこかにあるもので、付属品に組み込むソフトウエアに欠陥がありました。
プリンターをパソコンにつないだら、何もせずにドライバーがインストールされ、紙を差し込めば使える状態になってこそ、自動化がひとまず完成と思いますが、そこまでにはまだ行き届いていません。
もう古い手になっていますが、CDからドライバーを読み込んでおかないとプリンターが動かないものがあります。
パソコンを取り換えたけれども、プリンタードライバーがインストールできないという相談が持ち込まれたことがありました。
ドライバーを読み込むCDが認識されません。
何度か繰り返すうちに、CD挿入直後にデスクトップの右下に読みとりにくいメッセージが現れてすぐ消えるのを見つけました。
メッセージが出ているうちにすかさずクリックしないと、すっと消えてしまい、手掛かりがなくなってしまうのです。
あとから何か差し込まれたとき、無反応だったり、次の手順をうながすメッセージがすぐ消えてしまったりするのは困ります。
古いものは使うなという嫌がらせなのかどうかよくわかりませんが、使わない場合はいつまでも画面に出しておかないという、お片づけ好きの人がこのOSを考えたのかもしれません。
とにかく、中途半端な実験的自動化は、大いに迷惑なのです。