うちのおばあちゃん(80)は結婚前に電話局の交換手をしていただけあって、しゃべりがうまい。
彼女が60代の頃は、よく一緒に買い物に出かけたが、とにかく相手と商品をを褒める褒める。褒められたら悪い気はしないのが世の常なので、おまけしてもらったり、まけてもらったりということもたびたびだった。とくに旅先では威力を発揮していたように思う。
集金に来るなじみの銀行員さんには、世間話の水を向け珈琲を入れてもてなし、ごく若く、まだ仕事に慣れていないセールスマンには「大変やろけど負けんとがんばりや」と励ます人情家でもある。
ある日、我家に宗教関係のお誘いのご婦人が訪問された。
「とてもいいお話が聞ける会があるんです。今度の○曜日に○○にこられませんか? もう皆さん感激されて帰られて、それからは家庭円満になるんですよ」
玄関先に出たのが、おばあちゃん。
「ああ、うちはねー、もう家庭円満で円満で。文句ゆーたらバチあたるくらい円満なんや。ちょっと、どれくらい仲良く暮らしてるか教えてあげるわ」
と、えんえんと立て板に水、途切れる事なくうれしそうにしゃべりはじめた。あいの手をいれることもできないくらいまくしたてられ、ただただ茫然自失の奥様。
やっと口を挟む機会を得た女性が
「今日はいいお話を聞かせていただきました。あんまりいいお話なので、また別の者にも聞かせたいと思います。その節はよろしく」と帰って行った。
おばあちゃんは「いつでも聞かせてあげるし、またおいで」。
そして彼女の息子もまた、親譲りの口のうまさでお店の店主や初対面の人をみごとに手のうちに乗せ、友達の和を広げている。
彼女が60代の頃は、よく一緒に買い物に出かけたが、とにかく相手と商品をを褒める褒める。褒められたら悪い気はしないのが世の常なので、おまけしてもらったり、まけてもらったりということもたびたびだった。とくに旅先では威力を発揮していたように思う。
集金に来るなじみの銀行員さんには、世間話の水を向け珈琲を入れてもてなし、ごく若く、まだ仕事に慣れていないセールスマンには「大変やろけど負けんとがんばりや」と励ます人情家でもある。
ある日、我家に宗教関係のお誘いのご婦人が訪問された。
「とてもいいお話が聞ける会があるんです。今度の○曜日に○○にこられませんか? もう皆さん感激されて帰られて、それからは家庭円満になるんですよ」
玄関先に出たのが、おばあちゃん。
「ああ、うちはねー、もう家庭円満で円満で。文句ゆーたらバチあたるくらい円満なんや。ちょっと、どれくらい仲良く暮らしてるか教えてあげるわ」
と、えんえんと立て板に水、途切れる事なくうれしそうにしゃべりはじめた。あいの手をいれることもできないくらいまくしたてられ、ただただ茫然自失の奥様。
やっと口を挟む機会を得た女性が
「今日はいいお話を聞かせていただきました。あんまりいいお話なので、また別の者にも聞かせたいと思います。その節はよろしく」と帰って行った。
おばあちゃんは「いつでも聞かせてあげるし、またおいで」。
そして彼女の息子もまた、親譲りの口のうまさでお店の店主や初対面の人をみごとに手のうちに乗せ、友達の和を広げている。