紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

魔法の箱

2007-10-10 23:55:37 | ファミリー
 例えば我が家の子どもたちが、産まれて初めて目にした魔法は、ティッシュペーパーの箱だろう。

 赤ちゃんを育てたことがある人なら、経験があるのではないだろうか。

 ちょっとした家事なんかで、しばし目を離した隙に、1歳くらいの子どもの周りが白いふわふわでいっぱいになっているのを。そうして、まだたっぷり入っているティッシュペーパーの箱から、赤ちゃんが次々に紙を引っ張り出しているのをみたお母さんは「ぎょえええ~」と叫びながら、彼、または彼女に突進するのである。

 子育て指南には「少し遠くから赤ちゃんが紙を引っ張り出すのを見守り、全部出し終えたら『あら、なくなっちゃったわね』と赤ちゃんの心を代弁してあげ、ふわふわしたティッシュで遊んだ後、元通りに箱に戻してください」なんて書いてあったりするのだが、そんな余裕綽々のお母さんがどこにいる?と聞いてみたいものだ。

 赤ちゃんが機嫌のいい時、すやすやお昼寝の時を見計らって、必死に家事をする子育てあけぼの時代なのである。細切れの寸暇が勝負の毎日なのである。人生における時間の貴重さを、これほど感じる時代は無いと思うくらいだ。

 それなのに、みすみすティッシュの箱が空になるまで見守る訳にはいかない。まして「元通り箱に戻す」なんて笑止千万、ごっそり集めてそのまま突っ込んでしまった。それでも何の支障もなかった。子育てに関わるところで几帳面な人間が家族にいなくて、しみじみとよかったといまさらながらに思う。

 それでもティッシュを拾い集めながら「もーー!おかーさんの仕事増やしてー」と怒ることもなかった。

 出しても出してもひょっこり出て来るティッシュペーパーは、彼らにとって不思議の塊であり、人生最初の魔法かもしれないと、心中ニマニマしてしまうからだ。だって真剣に興味津々といった、マニアックな実験してるヒトみたいな表情だったもんな。「なんで? なんで!? なんでまたでるのだ??」ってかんじで。

 Kちゃんはそれだけではなく、1歳を過ぎた頃、テレビの裏を覗きに行ってたっけ。どうもブラウン管の中に「小さな人たち」が入っていると思っていた模様。「小さな人たち」を舞台裏から、ぜひ見てみたいと思ったに違いない(笑) 彼女にとってはどうやらテレビも魔法の箱だったらしい。