紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

不思議なトリカブト

2008-12-25 23:16:16 | ノンジャンル
 トリカブトのエキスを抽出し育毛剤として販売されている、という話を前に書いた。このとき、ちょっとばかり気になっていたのだ、トリカブト。

 調べてみると、猛毒として有名なトリカブトは、その一方で漢方薬としてさまざまな効力を発揮するらしい。

 昭和7年に他界された東京帝大の名誉教授、博物学者の白井光太郎教授は、老いて衰えた体力を補うため、トリカブトから取り出した成分で「天雄散」という薬を自らつくり、愛飲していたらしい。おかげで悪魔と契約した!?ファウストのように若々しく元気だったという。

 魔法のような薬を独り占めすることのないのが、白井先生のえらいところなのだが、そのため、知り合いより希望が殺到した。自分だけでは調合出来なくなってしまったので、親戚の薬剤師に委託し、薬剤師はそれを粉末製作所に委託したらしい。つくられた薬が自分が調合しているものと様子が違うため、友人に渡す前に、まず自分が口にして確認した。残念ながら確認の結果、薬の調合は失敗で、先生は昭和7年に他界されてしまう。不老長寿や若返りの薬の話の結末は、けっこう悲劇的なのである。

 そういえば昔、中国では不老長寿の薬として、ヒ素や水銀などを服用したことがあったという話も聞いたことがある。若返りはいつも命懸けである。

 いまだにトリカブトの毒を解毒する方法はみつかっていないとか。ニリンソウにたいへん似ている草らしいので、アウトドアで植物採集や山菜採りが趣味の方は、充分注意していただきたい。

 トリカブトは、たいそう美しい花房をつけるそうである。毒のない観賞用のトリカブトがあるくらいだ。しかし、やはりトリカブトには、あまり近づかない方が無難かもしれない。トリカブトの花言葉は「人間嫌い」なのでね。