花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

お宝は土の中

2021年10月08日 | 研究
フローラハンターズの二人が何やら洗っています。
実は育てたキキョウの根についた土を落としているのです。
彼らは、春からキキョウがいくらきれいな青紫の花を
何度咲かせてもまったく興味を示すことがありませんでした。
なぜなら彼らの目的は根なのです。
キキョウの根は龍角散でお馴染みの生薬になります。
乾燥した根の市販価格はなんと500gで3000円以上もします。
ご存知のとおり、漢方薬に使う生薬のほとんどが、お隣中国からの輸入。
したがって極めて不安定な状況。さらに山から採取し続けると
絶滅する可能性もあります。そんなことでフローラは
今まで何回も薬用植物の栽培研究に挑戦しています。
そして何度も失敗しています。
今年、彼らが取り組んだのはキキョウの水耕栽培。
しかし、そもそもキキョウは加湿を嫌うため、
普通の水耕栽培ではあっという間に根腐れを起こしてしまいました。
なんとか最後まで生育できたのは自作した装置を用いたMist栽培。
霧状にして根に水分を供給する方法です。
こちらは先日収穫し、なんとか根はゲットできました。
さて今、掘り出して洗っているのは一般的な土耕で育てたもの。
根を洗うのは、面倒ですが焦らず取り組んでいました。
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乾杯ならぬ完敗

2021年10月08日 | 研究
さてこの立派な根は土で栽培したキキョウのもの。
苗を植え付け、わずか半年でこんなにも太く立派な根になりました。
普通なら感激すべきところですが、この姿を見たメンバーはショック。
自慢のMist栽培のものとは比較できないほど大きいのです。
水分を抑えたMist栽培でしたが、それでもキキョウには加湿状態。
やはりキキョウは野山で育つようにできているようです。
2009年に結成して以来、様々な研究にトライしてきたチームですが
いつもいつも思い通りにいくとは限りません。
今までもこのように何度も失敗を繰り返してきました。
でもよく考えると今までの成功率は70%近くもあります。
誰も挑戦したことのないものにトライするのがチームの流儀。
したがってこの成功率は本当はすごいことなのですが、
本人にとってみるとショック。落胆したことと思います。
しかし果敢にトライしたおかげで、この見たことのないMist栽培は
ほとんど養液が蒸発しない超節水栽培であることがわかりました。
容器が密閉されているので、植物の蒸散以外は水がなくならないのです。
またキキョウには加湿ですが、水辺に育つセリにとっては水不足と
植物によって好みが異なることもわかってきました。
ということは適した植物を見つけたら大成功に化けるかもしれません。
水を断つことで糖度が上がるのはトマト。しかし一般的な水耕栽培は
これでもかと水を供給するので水っぽく美味しくありません。
来年はトマトで勝負しようか、キキョウは下部から水を吸い上げる
礫耕タイプの水耕栽培で挑戦しようかなど腐ることなく
次なるチャレンジを計画しています。
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