1.記憶障害
記憶の整理
記憶は、情報が入り(記銘)、記銘された情報が脳内にためられ(保持)、必要に応じて取り出される(想起)という過程から成り立っています。
記憶は保持される時間によって、即時記憶(短期記憶)、近時記憶(長期記憶に分類する考え方もある)、長期記憶に分かれます。
記憶はまた、その内容によって、陳述(宣言的)記憶と非宣言的記憶に分類されます。
陳述記憶は、意味記憶とエピソード記憶に分類されます。
意味記憶は、知識や言葉の意味に関する記憶で、物事を考えるときの素材となります。例えば、アメという音を聞いたときに、雨は空から降るが、飴は甘い菓子だというように言葉の意味は知識とともに思考のなかで使われます。
エピソード記憶は、自分はどこで育ち、どんな人生を送ってきたのか、今日は朝起きて今まで何をしたか、昨日は誰に会ったか、といった自分の人生における出来事に関する記憶のこと
⚪︎失見当(見当識障害)
時間と場所、およびこれに関連して周囲を正しく認識する機能である見当識が障害され、時間や季節、場所の見当がつかない状態を指す。
アルツハイマー型認知症で強く障害されますが、せん妄でも起こります。
⚪︎失語
言葉を理解することや言葉を発することが障害されたりできなくなったりすることをいいます。
⚪︎失認
目や耳などの感覚器は障害されていないのに、見たり聞いたりしている対象を正しく認識できなくなる状態です。
家族や親しい人の名前はわかるのに、その人の顔を見てもわからないといった相貌(そうぼう)失認はアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症で起こることがあります。
⚪︎失行
からだを動かす機能は障害されていないのに、目的に応じた行為ができなくなる状態です。
日常的に使っている機械の操作ができなくなる、例えば洗濯機の使い方がわからないといったかたちで、認知症の早期から目立つことがあります。中程度〜高度の認知症の場合は着替えが困難になり上着のそでに足を入れようとしたり、ズボンを頭からかぶろうとすることがあります(着衣失行)。
⚪︎実行(遂行)機能障害
目的のある一連の行動を有効に行うために必要な、計画・実行・監視能力などを含む、複雑な認知機能が障害された状態。
例えば、それまで手際よくできていた料理などの作業ができなくなったということが起こります。それ以外にも入浴動作や排泄動作なども実行機能によって支えられていますので、そういった当たり前に行っていた1連の動作が途中でわからなくなり、動作の途中で止まってしまいます。
〜介護職員初任者研修課程テキスト2より
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