教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

東電社員との認識のズレ

2011-05-03 00:18:03 | 経済/経済/社会
いま日本で一番まいっているのは被災生活を続けている東北のみなさんなのは間違いない。
その次は消費が異常に落ち込んで客が全く来なくなってしまった娯楽産業の経営者のみなさんだろうか。

さてその次は?

東電の社員かもね。



東電は準公務員みたいなところがあるので、社員の中にもホンモノの給料泥棒は少なからずいよう。
しかしマジメに働いていて志の高い人たちもそれより多くはいると信じたい。

彼らはいま何を思うだろうか?

分不相応に叩かれすぎだと感じてはいないだろうか。
「たしかに原発は(中略)だけどよ、今まで世界一品質の高い電力を供給してきたのは俺たちなんだよ!」
なんて内心思っているのではないだろうか。

そんな事を口にでもしたら、阪神が巨人に負けた夜に巨人のハッピ着て梅田の地下鉄に乗るほど危険な目に遭うのは自明なので、そうカンタンに外部の人が聞こえるところで言うヤツはいないだろうけどさ。



でだ。
なんでこう、東電社員と一般人との認識のズレが発生するのだろうか?

わたしはその原因の1つが不完全競争にあると考えている。



教科書的な理論でいえば、カンペキな資本主義経済では完全競争になるので、売り手は誰も利益が出せないかわりに消費者はとても安く買えるという恩恵を受ける。
教科書的な理論でいえば、それはハッピーエンドになる。

現実はそうはならない。
売り手が誰も利益が出せないほどの競争が続くだけなら問題ない。
本来ならダメなヤツから順番に退場していってちょうどいいところで着地する。
しかし、それがずっと続くと、生き残るためにインチキするヤツが必ず現れる。

それの典型的な例が”修羅の国”と呼ばれるエロゲ業界である。
そこがどれだけの惨状かは、そこに足を踏み入れた人ならば知っていよう。

まあ、インチキとまでは言わないにせよ、ハイリスクすぎる負担を負って利益を追求せざるを得なくなるとか、そういうものもある。

インチキしたヤツは、それがバレると消費者から総スカンを食らい、やっぱり退場させられる。
そうやってそのうちちょうどいいところで着地する。

しかし。
おせちがクソだったくらいならまだムカついただけで済むのだが・・・
公益企業が公然とインチキしはじめるのはさすがにマズイ。

でだ。
それを解決するにはどうすればいいかというと・・・
法律なり何なりで既存の企業を保護して新規の参入障壁を人為的に設けてやって、インチキしないと生きていけないほど過酷な競争にはならないようにしてやるわけだ。

消費者はカンペキな完全競争の社会よりも高い値段で買わされるが、しかしインチキなものは入ってこないというメリットがある。
企業は法律で保護されていて儲かりやすくなり倒産しにくくなるというメリットがある。

これはどっちがいいとも言い切れない。
だが、公益企業はそうすべきだというのが先進国でもそこそこ多く見られる見解ではなかろうか。
公益企業というと、たとえば地上波TV局だとか、電力会社だとか。



東電はその代表格である。
法律で守られている以上、(これまでの見解からすれば)ふつう倒産はありえない。
発電も送電も配電もほぼ独占なのだから当然である。
もちろんその分だけ会社は高コスト体質になる。

消費者はよけいに高い金出して電気を買う。
消費者はこれまで、
「その高い金出してやるんだから当然ちゃんと管理しろよ」
とブツクサ文句を言い、そういう管理のためにプレミアムを支払う。

東電は管理費を極端にケチってまでコストダウンしないと生き残れないような競争にはさらされていないので、自分たちが良識の範囲内と思う程度には管理費を使うことも持さない。

東電はそこまでやらなくてもいいはずのことを、自分たちの良心的行いによって良好な管理を実現しているのだと、そう思ってしまってもしかたがないかもしれない。

ただし。
消費者はそうは思わない。
高いプレミアムを支払う以上は、それ相応の管理を実現するのはアタリマエだとしか思わない。
そこに恐らく認識のズレがある。

もしこれがもっと競争の進んだ状態だったらどうか?

消費者は他からも電気を買えるのなら、東電などサッサと解約して誰も東電と契約しなくなる。
もちろん東電はつぶれる。
それでこの物語は終わりになる。

カンペキな完全競争の社会とはそういうものだ。
おせちしかりである。
まあそのかわり、その世界ではグルーポンのごとく頻繁に原発の大事故は起こるだろうけどね。



これまで東電は競争から守られてきた。
消費者は競争から守ってやるために高い電気料金を納めてきた。
電気料金は高いながらもこれまでそこそこの品質で供給してくれていた。
だから消費者は文句を言わなかった。
とはいっても東電は守られているからこそ実現できた品質だということを理解していなかった。
ところが、ここにきて東電は高い電気料金を納めるに値する仕事をしていないと消費者に思われた。
ところがどっこい、東電は今までの品質と供給を評価してくれないとスネている。

・・・というのが事の顛末なんではないでしょうかね。