大晦日にあわただしく帰省するのが 私の数十年間の行事です。
父の居た頃は、おせち料理のラストスパートの手伝いで
巻寿司が仕上がるのは午後9時頃、紅白歌合戦はBGMでした。
最近は、既製品のおせち料理と巻寿司のおかげで助かってます。
昨年までは、母が玄関のお正月飾りを担当したのですが
今年は何もなし。
ここからかい!と玄関でツッコミたくなりましたが
しかたがない、今年は90歳になるんだもの。
「おせちが届いとるよ~」と母が呼ぶので
毎年、料理を見よう!見よう!ということになります。
風呂敷を解いて 母が蓋を開けます。
おお、美しい~! 美味しそう~!と気分も盛り上がって 作業スタート。
お正月の漆食器を拭いて、買ってきたお屠蘇をセットして
キッチンの棚扉の一部を木工用ボンドで貼り付け
壊れた電話用拡声器の電池を購入して入替え
食卓の上を占領するゴチャゴチャを全部片付けて
お刺身やみかんやお餅を夕暮れに買いに出かけて
それから、年越しそばの準備をします。
私達のお正月だから、頑張るわけです。
気が付くと、ずっと立ちっぱなしで
床に落ちた箸を拾った瞬間に 脚と腰に痛みが出ました。
よたよたと自宅に戻るまでの時間の長さよ!
てなわけで・・・
1月2日は自宅で、朝昼晩に湯治をしました。
蛇口からお湯が出て、いつでも湯舟につかれて 誠にありがたいことです。
快適な部屋で 美味しいものをほおばり TVを観て 音楽が聴けて
太めですが内臓は健康、恐怖で身体が震える対象もいません。
安心と安全を ある日 想定外に喪失し、
今日も、心から求めている人々に対して申し訳けなく、
何かの形で、幸福のおすそ分けせにゃいかんです。
小学生の頃の寮母さんの講話でした。
「お菓子を手にしたら(10人~20人分だから)
貴女ひとりが貰ったと勘違いせず、
少量でも周囲の人に分けましょう。
もし無くなっても 心配いらない。
直ぐに、次のお菓子は届くから。
菩薩様は、これでもかっていうほど配っておられるのよ。
実はね、皆なのお母さんやお父さんは
菩薩様に頼まれて、ここへお菓子を運んでくださるの」
「蜘蛛の糸」のカンダタは、
大勢の人の体重で 天国へつながる糸が切れてしまうと怖れて、
独り占めしたから、糸が切れて 全員天国に到着しなかった。
みんなで天国に入れなくて 残念~!
仏様の慈愛は、大勢の人を救えるほど強いから大丈夫なのにね~。」
家族が面会に来てくれる上、寮では食べられないお菓子もゲット。
恵まれている自覚もなく 貪欲にむさぼってたねー私。
それから 私は、面会の日に母が持参したお菓子を
同室の 家族が来ない子達にわけた。
そして待った。凄く期待して待った。
直ぐって、いつ?
誰が 届けてくれるの?
私、まだお菓子食べてないんですけど。
寮母さんは嘘つき!と責めたくなった。
馬鹿だな~損したよ~と後悔した。
ところが、忘れた頃に
あの時のお礼にと、菓子パンを2つももらった。
親が買ってきたという漫画本を、先に読ませてくれた。
小学4年生女子で、天下分け目の大喧嘩の時、
私の味方が大勢いて勝利してしまった。
私が学んだことは、
「直ぐ」っていうのは、私の損得勘定が消えた頃ってこと。
もともと何人分かの幸福や恵みなんだから、
私が独り占めしていいわけないよねってこと。