Iさんが焼いていらっしゃる
緩和ケアのティーサービスのお菓子、
昨日はレモンパイと抹茶シフォンケーキとクルミビスケットでした。
時間になると二人の看護師さんが
電動ベットを押して点滴セットごと
高齢の女性患者さんを連れてこられました。
上半身を起こしながら
「ここなら寂しくないけん、音楽を聞いたり庭を眺めたり
ボランティアの人とお話して、おってくださいね」
と話し終わる前から
「おりません!」「話しません!」と強く拒絶なさいました。
「飲み物も食べ物も口にできませんが、病室で一人で居るよりは
ここで気分転換してほしくて・・」と おっしゃいました。
ベットの横に椅子を置いて「こんにちは」と挨拶すると
「先生を呼んでください、先生を呼んでください」しかおっしゃらず
うわごとのように繰り返すので
「先生に何かお伝えしたいことがあるのですか?」とたずねると
「ありません! 先生はどこですか?」
「先生のお名前は?」
「知りません! 先生を呼んでください」
「身体が痛むのですか?」
「痛みません! 先生を呼んでください」
「お役にたてず、ごめんなさい」
「先生はどこですか? 先生を呼んでください」
しばらく、黙って聞いておりました。
やがてテーブルがにぎやかになって来ました。
皆さんがお茶を召し上がっているのを見つけて、
訴えは「お菓子が食べたい」に変わりました。
「お菓子が食べたい、お菓子が食べたい、」
「お菓子と飲み物が欲しいのですね」
「そう。お菓子が食べたい、お菓子が食べたい」
「食べたいですね。でも今日はお菓子を食べてはいけない日のようですよ」
「嘘つくな。お菓子が食べたい、お菓子が食べたい」
「ごめんなさい」
「お菓子が食べたい。お菓子がたべたい。」
「看護師さんに聞いてきます」と嘘をついて、他のスタッフとお話し相手の交代。
私が再び交代して座ったときには
「●ちゃんを呼んで」に変わっていました。妹さんのようです。
「●さんはどこにいらっしゃるのですか?」
「わからん。●ちゃんを呼んで。●ちゃんを呼んで」
「電車でこられるのでしょうか?」
「知らん。●ちゃんを早く呼んで、●子」
「こんなに待っているのに、早くお見舞いにきて欲しいですね」
私がのらのらするのを力なく咎めて
「●ちゃんを呼んで ●ちゃんよ!」と腹立たしく布団をたたきました。
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃんを呼んで、●ちゃんを呼んで」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃんを呼んで、●ちゃん早くきてください」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
・・・
目を閉じて、呪文を繰り返していると
「あら、眠らせてしまった」とリーダーの声がして
「一緒にお祈りをしました」と静かに離れました。
先生や妹さんを呼び疲れた寝顔をみると
お一人の不安や寂しさを想像しました。
いずれ私も、同じような日を迎えることでしょう。
緩和ケアのティーサービスのお菓子、
昨日はレモンパイと抹茶シフォンケーキとクルミビスケットでした。
時間になると二人の看護師さんが
電動ベットを押して点滴セットごと
高齢の女性患者さんを連れてこられました。
上半身を起こしながら
「ここなら寂しくないけん、音楽を聞いたり庭を眺めたり
ボランティアの人とお話して、おってくださいね」
と話し終わる前から
「おりません!」「話しません!」と強く拒絶なさいました。
「飲み物も食べ物も口にできませんが、病室で一人で居るよりは
ここで気分転換してほしくて・・」と おっしゃいました。
ベットの横に椅子を置いて「こんにちは」と挨拶すると
「先生を呼んでください、先生を呼んでください」しかおっしゃらず
うわごとのように繰り返すので
「先生に何かお伝えしたいことがあるのですか?」とたずねると
「ありません! 先生はどこですか?」
「先生のお名前は?」
「知りません! 先生を呼んでください」
「身体が痛むのですか?」
「痛みません! 先生を呼んでください」
「お役にたてず、ごめんなさい」
「先生はどこですか? 先生を呼んでください」
しばらく、黙って聞いておりました。
やがてテーブルがにぎやかになって来ました。
皆さんがお茶を召し上がっているのを見つけて、
訴えは「お菓子が食べたい」に変わりました。
「お菓子が食べたい、お菓子が食べたい、」
「お菓子と飲み物が欲しいのですね」
「そう。お菓子が食べたい、お菓子が食べたい」
「食べたいですね。でも今日はお菓子を食べてはいけない日のようですよ」
「嘘つくな。お菓子が食べたい、お菓子が食べたい」
「ごめんなさい」
「お菓子が食べたい。お菓子がたべたい。」
「看護師さんに聞いてきます」と嘘をついて、他のスタッフとお話し相手の交代。
私が再び交代して座ったときには
「●ちゃんを呼んで」に変わっていました。妹さんのようです。
「●さんはどこにいらっしゃるのですか?」
「わからん。●ちゃんを呼んで。●ちゃんを呼んで」
「電車でこられるのでしょうか?」
「知らん。●ちゃんを早く呼んで、●子」
「こんなに待っているのに、早くお見舞いにきて欲しいですね」
私がのらのらするのを力なく咎めて
「●ちゃんを呼んで ●ちゃんよ!」と腹立たしく布団をたたきました。
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃんを呼んで、●ちゃんを呼んで」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃんを呼んで、●ちゃん早くきてください」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
「●ちゃん、早く来てください。お姉さんが待っています」
・・・
目を閉じて、呪文を繰り返していると
「あら、眠らせてしまった」とリーダーの声がして
「一緒にお祈りをしました」と静かに離れました。
先生や妹さんを呼び疲れた寝顔をみると
お一人の不安や寂しさを想像しました。
いずれ私も、同じような日を迎えることでしょう。