現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

動物ファンタジーの動物たち

2018-05-15 08:34:06 | 考察
 児童文学のひとつのジャンルとして、動物ファンタジーがあります。
 動物を擬人化すると、人間を登場人物にするよりも、書き手としてはより自由度が得られ、子どもの読者の方は親しみやすいという利点があります。
 そのため、民話や神話の時代から、多くの動物ファンタジーが作られてきました。
 私自身も子どものころから動物ファンタジーが大好きで、特にケネス・グレーアムの「楽しい川辺(私が子どもの頃愛読していた講談社少年少女世界文学全集では「ヒキガエルの冒険」というタイトルで抄訳でした)」は、今でも最高傑作だと思っています。
 大学の児童文学研究会に入っていた1970年代半ばには、日本では斉藤惇夫の「冒険者たち」、そして海外ではリチャード・アダムスの「ウォーターシップダウンのうさぎたち」が出版され、研究会の友だちと三大動物ファンタジー・シリーズと呼んでいたマイケル・ボンドの「くまのパディントン」シリーズ、マージェリー・シャープの「ミス・ビアンカ」シリーズ、ジャン・ド・ブリュノフの「ぞうのババール」シリーズも次々に翻訳、刊行されていました。
 このように、動物ファンタジーには長い伝統があるのですが、そのために動物に固定イメージ(例えば、「キツネはずるい」、「犬は忠実」など)が出来上がっています。
 それらの固定観念をいかに覆して、新しい動物ファンタジーを生み出すかが、これからの作者の腕の見せ所です。

たのしい川べ (岩波少年文庫 (099))
クリエーター情報なし
岩波書店
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