現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ジャン・ジュネ「女中たち」

2019-04-12 09:56:49 | 演劇
 2018年12月にシアター風姿花伝で上演された作品です。
 「泥棒日記」で有名なフランスの奇人ジャン・ジュネの1947年の戯曲を、翻訳劇で数々の賞を得ている鵜山仁が演出しました。
 裕福だがうさんくさそうな屋敷(旦那様は獄中にいます)で仕える姉妹の女中を中心に、女主人もからめた三人の錯綜した会話で構成されています。
 姉と妹、女主人に扮した妹と妹に扮した姉、女主人と姉妹、女主人と姉、女主人と妹、女主人に扮した妹と姉、次々に役どころだけでなく、優劣の立場を替えた会話が、速射砲のように観衆に炸裂して、演者も観衆もやがて混乱に陥った末に悲劇的な結末を迎えます。
 中島朋子(妹)、コトウロレナ(女主人)、那須佐代子(姉、この作品のプロデューサーでシアター風姿花伝の支配人)の、年齢も個性も異なる三人の個性がぶつかり合って、強烈なイメージを形作る三人芝居になっています。
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蜂飼耳「葉っぱ」のろのろひつじとせかせかひつじ所収

2019-04-12 09:03:40 | 作品論
 雨で畑仕事ができないので、のろのろひつじは、いつかせかせかひつじと行った森の絵を描いています。
 のろのろひつじは、葉っぱの一枚一枚を丁寧に書いているので、なかなかすすみません。
 葉っぱを三枚描いたところで、せかせかひつじが遊びに来ました。
 のろのろひつじが、二匹で食べたアイスクリームの片づけをキッチンでしている間に、せかせかひつじが葉っぱを描きだしてしまいます。
 急いで描いたのであまりうまくありません。
 どんどん描いているうちに、とうとう画用紙を葉っぱで埋め尽くしてしまいます。
 のろのろひつじは勝手に描かれてしまったのでがっかりしますが、いつの間にか「森」が完成していることに気づきます。
 そして、また二匹で森へ行こうと思います。
 前の二編よりは二匹のひつじの性格の違いがいかされていますし、かすかに友情も読み取れます。
 ただ、擬人化度がより高くなったので、動物ファンタジーで描く意味合いはあまり感じられません。
 それに、文章がだらだらとしていて、幼年を読者対象としているなら文章が長すぎると思います。
 おそらくこの作品は、若い女性を読者対象に想定しているのでしょう。
 そのため、キャラメル味のアイスクリームなど、女性好みの小道具で読者にサービスしていますが、いかにもありがちな感じがします。

のろのろひつじとせかせかひつじ (おはなしルネッサンス)
クリエーター情報なし
理論社

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