現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

松田青子「英子の森」英子の森所収

2019-04-28 10:47:35 | 参考文献
 英語を使う仕事にこだわる女性が主人公のファンタジーです。
 登場人物は、それぞれ「森」を持っていて、その中で暮らしているのですが、英子は過保護に育てられていて母親の「森」で暮らしています。
 おそらく「森」は家制度のメタファーなのでしょう。
 そして、英子の母親の「森」と「英語を使う仕事」からの自立が描かれていくように思えたのですが、最終的に両者へ回帰していくようなシーンで唐突に物語が終わってしまったので、よくわかりませんでした。
 「英語ができる」ことよりもそれを使って「どんな仕事」ができるかが重要なことが暗示されていますが、作者の考えが良く定まっていないようです。
 私は外資系の典型的なグローバル企業に長く勤めていたので、「英語はできるが仕事はできない」人たちをたくさん見てきました。
 その一方で、「仕事はできるが、惜しいことに英語はできない」人たちもたくさんいました。
 グローバル企業で働くためには、「仕事も英語もできる」人でないと無理です。
 作者は、どうもそのあたりを実感としてわかっていないようです。

 
英子の森
クリエーター情報なし
河出書房新社
コメント
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