現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

熊谷奈緒子「慰安婦問題」

2019-04-23 08:19:52 | 参考文献
 特に日本と韓国の間において問題になっている、いわゆる従軍慰安婦について論じた本です。
 「慰安婦問題」を単なる特定のエピソードにとどめずに、「性犯罪」として捉えている点が優れていると思います。
 ただ、保守にもリベラルにも偏らないように配慮しすぎていて(そうしないと、どちらか側から激しくたたかれる恐れがあるのでしょう)、著者自身の意見が見えづらくなっているようです。
 また、学術的にできるだけ意味あるものを目指したせいか、話題が広がりすぎて「慰安婦問題」に対する焦点がぼやけてしまっています。
 この本が出版された2014年6月10日の後に、朝日新聞が「慰安婦問題」についての強制連行に関する重要な記事を取り消したので、「河野談話」を継承していくべきだという本書の主張が揺らいでしまったのは、間が悪かったとしか言いようがありません。

慰安婦問題 (ちくま新書)
クリエーター情報なし
筑摩書房

 
コメント
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