現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ジェームズ・ドーハーティ「アンディとらいおん」

2019-04-22 09:25:39 | 作品論
 1938年に出版された物語絵本の古典です。
 主人公の少年アンディと、サーカスのライオンの友情がユーモラスに楽しく描かれています。
 古きよきアメリカのエネルギッシュで牧歌的な雰囲気が、力強いイラストと簡潔な文章で表現されています。
 ハラハラする展開と次のページへうまく繋ぐ文章とで、読者がどんどん読み進める工夫がこらされています。

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神沢利子「赤い靴」いないいないばあや所収

2019-04-22 08:52:35 | 作品論
 しょう紅熱、リューマチ熱、心臓病と次々に病気になり弱っていく一つ違いの姉。
 入学した小学校に、一日も通うことができなませんでした。
 父が樺太に先に行って不在の時に家族に訪れた不幸は、幼い主人公も、上の姉も、母も消耗させていきます。
 はたして、この家族にまた笑顔の日々が戻ってくるのか、読者も心配になってきます。
 幼い日の不幸の影を、作者は過度に感傷的にならずに小さなエピソードを積み上げることによって鮮やかに描いています。

いないいないばあや (岩波少年少女の本)
クリエーター情報なし
岩波書店
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橋本治「海と陸」初夏の色所収

2019-04-22 08:07:52 | 参考文献
 東日本大震災をめぐって、東北から遠く離れた二十歳になるかならないかの男女が会話する話です。
 女性は数回東北へボランティアにいき、男性は何もしなかったのですが、ともに何もできなかった無力さを感じています。
 海に勝てないと感じた女性は唐突に漁師の妻になりたいと話し、男性はそんな彼女にひそかに欲情しています。
 理想的なきれいごとでない等身大の若い男女を描いている点が、優れていると思います。
 ただ、「どうせ若者なんかこんなもの」といった橋本の上からの目線がところどころ(特に何もできないと感じる二人のことを無力ではなく無能だと決めつけている点)に感じられて、読み味はあまりよくありませんでした。

初夏の色
クリエーター情報なし
新潮社
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