1996年公開のアメリカ映画です。
一種のクライム映画で、警察映画でもありますが、謎解きをメインにしたものではありません。
妻の狂言誘拐を企てる夫側(夫、息子、妻の父、その経理士)も、二人の実行犯も、捜査する警察側も、すべてがいきあたりばったりで、偶然殺人事件が起こり、偶然さらなる殺人事件が起こり、偶然それらが解決されます。
メインのストーリーに関係ないエピソード(主役の女性警察署長と、その絵かき(?)の夫、彼女の大学時代の友人のノイローゼの男性、犯人が買った娼婦たち、無責任な情報提供者たち、やる気のない警察関係者との他愛のない会話や、頻繁に登場する暴力シーンやセックスシーンやジャンクフードによる食事シーンなど)が積み重ねられ、どんな凶悪事件でも、実際の犯罪捜査中の捜査官や犯人の生活なんかこんなものなんだろうなあと思わせる、妙なリアリティが魅力です。
さらに、一人として、イケメンも美人も登場しなくて、どこにでもいそうな(どちらかと言うと容姿が劣る)出演者たちが、作品のリアリティをアップさせています。
妊娠七ヶ月の大きなお腹を抱えて、凶悪事件をさり気なく解決させてみせるという難役を演じたフランシス・マクドーマンドがアカデミー主演女優賞を獲得しています。
彼女は、「スリー・ビルボード」でも再びアカデミー主演女優賞を獲得しているので、典型的なアメリカ女性を演じるにはうってつけの女優なのでしょう。