現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

声優夫婦の甘くない生活

2024-10-24 09:09:00 | 映画

 2019年公開のイスラエル映画です。

 1990年に、崩壊間近のソ連からイスラエルに移住した初老の声優夫婦が、新しい生活に悪戦苦闘しながら順応していく姿をユーモラスに描いています。

 当時は、大勢のユダヤ人がソ連圏からイスラエルに移住していたようで、ロシア語を使ったコミュニティが成立していたようです。

 二人がありついた、そんな環境ならではの仕事が、興味深かったです。

 妻の仕事は、そうしたロシア人相手のテレフォン・セックスの相手役です。

 彼女は62才なのですが、声優ならではの声色を自在に使い分けられる能力を発揮して、22才の娘から人妻まで、相手の要望に合わせて演じ分けて、人気を博します。

 夫はやっとありついたビラ配りの仕事にねをあげて、映画の違法ダビングの犯罪に荷担します。

 映画館で、上映されている映像をこっそり撮影して、ロシア語に吹き替えて、レンタルします。

 最後には、それぞれの仕事が破綻するのですが、それをきっかけに、仲たがいして別居していた二人は再び絆を確認します。

 個人的に興味深かったのは、二人(おそらく監督も)がイタリアの映画監督のフェデリコ・フェリーニ(関連する記事を参照してください)を敬愛していて、彼の作品に対するオマージュが語られていたことです。

 特に、妻の方は、フェリーニ作品でジュリエッタ・マシーナ(「道」を始めとした彼の主要作品の主演女優で、彼の妻でもあります)の吹き替えを担当していたという設定にはしびれました。

 たしかに、彼女は風貌も声も、ジュリエッタ・マシーナを彷彿とさせるところがあります。

 私の最も好きな女優に思いがけず再会できたようで、感動しました。

 

 

 

 

 

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