非常に記憶力のいい主人公の少女が、しだいに大がかりなカンニング事件に巻き込まれていく姿を描いています。
初めは、仲のいいクラスメイトの女の子が、成績が悪くて演劇部の芝居に出られないのに同情して、彼女にカンニングをさせて、芝居に出演できる成績レベルをクリアさせます。
しかし、そのことを友だちの彼氏の、金持ちのぼんぼんに知られて、有料でカンニングを請け負う組織に発展してしまいます。
背景としては、主人公があまり裕福ではなく、彼女たちが通う私立の名門校(校長へのわいろが横行していて、成績の悪い裕福な家庭の子女もたくさんいます)の授業料免除の特待生だということがあります(主人公の父親は教師なのですが、給料が安くてそれが原因なのか母親と離婚しています)。
もう一人の特待生の男の子(彼もまた、母親一人でやっている洗濯屋を手伝っている苦学生です)も巻き込んで、ついには、全世界を対象としたアメリカの大学を受けるための資格試験を、世界で一番初めに実施されるシドニーとタイの時差(四時間)を利用して、事前に主人公たち特待生がシドニーで受験した答えをタイへ送って、高額な参加料を出させた大勢の受験生に伝えるという大がかりな犯罪にまで発展します。
ピアノのコードやバーコードやスマホを利用した現代的なカンニング方法や、いろいろなハプニングに見舞われる資格試験当日をサスペンスタッチで描いたところが一番の見せ場です。
また、背景として、日本以上に格差社会であるタイの現状や、貧しい子どもたちがそれを打破するためには、アメリカなどの海外の大学に留学するしかないことなどが描かれている点も、優れていると思いました。
主役を演じた富永愛似の女の子(やはりモデルだそうです)を初めとして、タイの若い出演者たちがなかなか魅力的でした。
ただ、ジーニアスとか、天才という惹句はかなり大げさで、特待生たちは記憶力の良い秀才にすぎませんし、年長者(ここでは主人公の父親)をたてるタイらしいモラーリッシュなラストにも不満が残りました。
【映画パンフレット】バッド・ジーニアス 危険な天才たち | |
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