読売文学賞を取った作品です。
雲をつかむような話と言えばつかみどころのないことをさしますが、この「雲をつかむ話」は一見取り留めのない話にみえるエピソードの積み重ねの中で、しっかりと手ごたえのある文学作品になっています。
全体として犯罪に関するエピソードが多いのですが、その中に異国で暮らす女性作家(作者自身ないしは分身でしょう)の孤独が浮かび上がってきます。
多和田はドイツ滞在が長いこともあり、個々の登場するドイツ人をはじめとした外国人には、その国の人としてのメンタリティをしっかり持って描かれています。
日本人が描く外国人の中には、名前だけ外国人でまるで日本人と変わらないメンタリティを持った奇妙な人物が現れることが多いのですが、さすがにこの作品では本物の外国人が描かれています。
このように外国での暮らしを描いた日本の児童文学作品は以前はありましたが、最近は見かけなくなりました。
それには、いくつかの理由があると思われます。
ひとつは、昔は一般の人たちにとっては外国が遠い存在でしたが、今では簡単に海外旅行ができるようになって身近になっています。
そのため、外国の様子を描いただけでは珍しくなくて、作品に商品性がなくなっています。
また、グローバル化が進んで、それぞれの国の個性がなくなっていることも挙げられるかもしれません。
何より、今の子どもたちや若い人は内向的になっていて、外国への興味が薄れてきているのが大きな原因でしょう。
雲をつかむような話と言えばつかみどころのないことをさしますが、この「雲をつかむ話」は一見取り留めのない話にみえるエピソードの積み重ねの中で、しっかりと手ごたえのある文学作品になっています。
全体として犯罪に関するエピソードが多いのですが、その中に異国で暮らす女性作家(作者自身ないしは分身でしょう)の孤独が浮かび上がってきます。
多和田はドイツ滞在が長いこともあり、個々の登場するドイツ人をはじめとした外国人には、その国の人としてのメンタリティをしっかり持って描かれています。
日本人が描く外国人の中には、名前だけ外国人でまるで日本人と変わらないメンタリティを持った奇妙な人物が現れることが多いのですが、さすがにこの作品では本物の外国人が描かれています。
このように外国での暮らしを描いた日本の児童文学作品は以前はありましたが、最近は見かけなくなりました。
それには、いくつかの理由があると思われます。
ひとつは、昔は一般の人たちにとっては外国が遠い存在でしたが、今では簡単に海外旅行ができるようになって身近になっています。
そのため、外国の様子を描いただけでは珍しくなくて、作品に商品性がなくなっています。
また、グローバル化が進んで、それぞれの国の個性がなくなっていることも挙げられるかもしれません。
何より、今の子どもたちや若い人は内向的になっていて、外国への興味が薄れてきているのが大きな原因でしょう。
雲をつかむ話 | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |