無ら里 カジュアルな風日記

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白州正子の 「能の物語」

2012年06月22日 | Weblog
4歳から能に関わっていたという白州正子さんが
自身の持つ古典や歴史、和歌などの知識を駆使した
いくつかの曲の意訳物語。
役者の所作や謡の懸詞、暗喩などから
場所や登場人物の気持ちや風景に置き換えて
わかりやすい短編の物語にしている。

この本を読むことで、能の魅力は
謡と演技と舞の総合芸術というだけではなく
台詞や謡の歌詞の表現にあると改めて感じた。
まともに能を見たことはないが
この「意訳」により
実際の能は直接的に表現されていない
言葉や気持ちを汲み取ることが必要と理解。
深いなぁ。
たったあれだけの舞台装置と数人の役者だけで
あれぼどの物語を語らせる能おそるべし。

それにしても白州さん、
本当に美しい日本語を書く。

 夏草の茂みをわけ入ったところには
 寂光の静かな光がたゆたい
 松の枝にかかる藤の花房も
 法皇の御幸を待つかのように
 美しく咲き匂っている。
 ことに青葉がくれの遅桜は
 さながら女院の姿に似て
 初花よりもめずらしく
 あわれなものに映るのであった。
        (「大原御幸」より)
こんど 読んでみたい
白州正子は私の中では永遠の憧れの存在

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