昨日の続きだが、映画のラストシーンは、主人公留岡幸助の回想である。商家の出である幸助は子どもの頃のある日、武士家庭からの身分差別を受け屈辱的な経験をする。そのことが後年「人は神の前に平等」というキリスト教に惹かれる原因となった。また耶蘇(ヤソ)と呼ばれて、クリスチャンになり立ての頃はずいぶん迫害を受けた。幸助も義父から激しい折檻を受け、ついには勘当の憂き目にあった。「家庭学校(教化院)」に奔走するあまり、妻を享年34歳で失う苦
しみにもあった。
苦しみと言うもの、これを受けたいと思う者はまずいない。しかし私も教師として多くの子どもを預かって感じることだが、富んだ何一つ不自由なさそうな家庭の子には常に危惧を感じた。これから先の、生きねばならない社会の困難さを思うからである。親から愛されてない子どもには、もっと哀れを感じた。逆に貧しさの中でも、子どもを真摯に愛している家庭の子どもは、本当にまばゆかった。どうも貧しさや逆境という艱難の中で、玉が生まれるようであった。
一足先に現在公開中の映画で、アメージング・グレイスという映画がある。本田美奈子で有名な賛美歌だが、これも生涯を奴隷解放運動に捧げた英国の議員の物語である。
思うに、人間に神を信じる者に何故試練と困難が許されるか明らかだと思う。キリスト教その歴史も、迫害と殉教の中で、いやその時にこそ最も教会が強力に成長した時であった。全くの困難は一切の人間的な方法をあきらめ、ただ神にのみ希望し、神に全面依拠するほかない。栄光はすべて神のものである。人は神の器となる。そこに神の愛があり、御心がある。 (ケパ)
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