いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

年金議論の呪縛

2005年03月14日 21時31分15秒 | 社会保障問題
今回の記事の調子は、産経新聞の社説なみに厳しくいってみます。

「まず年金から」――これは実施段階では、そりゃそうでしょ、という話だ。自民党も民主党も全然分ってないな。何遍も言っているように、「年金改革」の制度論のみに囚われていてもダメですから。やるべきことは「社会保障の一体改革」ですから。これは、いきなり年金制度から見た、「税制のあり方」とか「徴収方法」とか「技術論」とかを考えるのではない、ということです。考え方の根本的な部分から改めるべきだ。

与謝野さん曰く、「厚生年金と共済年金は一元化し易い」と。そんなこと、当たり前。ド素人が考えても気付きますから。制度的に最も似てるんだし。小泉さんと一緒じゃねーか。岡田さんや仙石さんもね、「消費税は3%以上、いや、5%以上だな」っていう話、順序が違いますから。そうじゃないんだってば。いきなり、数字とかに入ってしまっても、しょうがないんですよ。それぞれの思惑で各論突入、最初から詳細比較じゃダメなんですよ。国民はそこに入っていけないでしょうが。もっとね、本で言えば「目次」とか「大見出し」くらいから始めろよ。そこが理解されてはじめて消費税論議とかでしょ。初めから「上げなけりゃ」って言ったらね、誰だって反対したくなるよ、ホント。頭使ってくれよな。


まずね、普通の人がどう考えるか、その道筋を思い浮かべてみて欲しい。ごく普通の国民、まあ有権者の1人でいいですから。自分の(或いは我が家の)社会保険料(負担)がトータルでどの位かかるのか?でしょ。それと将来、得になるかどうか?でしょ。共働きは、税金もいっぱい払って、尚且つ保険料でも騙されて多くとられ、ってね、女性は怒るよ。働く女性が不利な制度はおかしい、って大声で言ってるでしょう。こんな制度では、女性の就業や出産が不利。今時の人はね、そういう発想だと思うけど。それに、国民年金の保険料支払い拒否はね、「全然当てにならない、得にならない」と考えるから、絶対に払おうとしないんですよ。そんなの当然でしょ。


未払いが多い若年層では、おそらく「どうせ今払っても、将来それより少なくしかもらえねーんだってよ」とか、「真面目に払っている奴がバカを見るんだよ」とか、そういう感覚があるのでは?勿論収入が少ないから、払えないという場合もあるでしょうが、優先順位が違うんですよ。携帯電話の料金は必ず払うけど(電話を止められるから)、保険料はパス出来る。彼らは「携帯がないと生きていけない」などという、私(もっと年長者の方々もそうでしょう)とは全く異なる感覚を持っているんですよ、きっと。そういう若年層は結構存在すると思う。まずね、そういう人達の基礎年金分も将来必要だってことを考えていますか?生活保護にするにしても、保険料を納めてこなかった人々を、将来その他の国民が「養わなければ」ならないんですよ。その時点で、保険料の何分の一かは、他人に回す為に失われる。おまけに、滞納を回収する為に莫大な費用をつぎ込んで、「払った人のお金」が「払わない人」の為に、何十億か失われているんですよ。これらを放置しますか?この不公平をどうやって是正しますか?


社会保障制度の行き詰まりの最大の原因は、少子高齢化と総人口減少社会です。これが、将来長きに渡り続くんですよ。これも、どのように考えるかですね。年金と医療・介護(両者を併せて医療関係費と呼ぶことにしています)の総額が、どのくらいの規模で必要か考えりゃ分るでしょうが。医療保険だけ考えてみても(診療報酬・人件費の伸びや経済成長率が全てゼロであっても)、総額が大きくなりすぎて財源がないんですよ。医療関係費は、自己負担を4~5割とか、老人医療費も同様の自己負担とか、保険料率が20%くらいになるとか、そういう「大ナタ」が必要になるでしょうよ。大増税時代の到来だな。今のありさまで、単に増税は受け入れられんだろう。


その時に保険料方式だと、若年者の負担割合が増大する一方だから、余計に「払わねーよ」という人の割合が増えるでしょう。だって、今の水準でさえ払えない人が、もっと値上げした時に払えるわけがないんですよ。年金は今後保険料上がっていくけど、料率が上がれば上がるほど、未払い分が大きくなるんですよ?それに健康保険も、ってこれは無理だろ。


今国民年金は40%くらい未払い者がいて、これがこの先ずっと一定だとしましょう。今の保険料は13300円、今後16900円まで上がります。この差が、3600円ですから同じ未納率であっても不足額は約27%増加します。
分り易く100%完納で133億円集められるとしましょう。でも未納分を引くと、133億円×6割=79.8億円で、不足分は53.2億円です。最大まで上がった時は、169億円集まるはずですが、未納4割ですから不足分は67.6億円です。今と同じ保険料水準なら、50%以上(67.6/133=0.51くらい)もの未納が発生することになるのですよ。こんなに増加してしまうんですよ、特別なことをしなくとも。分っているのかね、この意味が。この不足分は、他から拠出金を増やす以外ないんですよ!もし、保険料が最大まで上がっていったら、もっと払わなくなる人が出てくるかもしれないんですよ!去年から騒いでいて、あれ程未納問題が社会的に騒がれたのに、大きく改善しないでしょうが。これはね、根本的なシステムを変えるしかない、ということなんですってば。これも理解できんかね?議員さんは。徴収システムの大きな欠陥なの!サラリーマンの払った保険料は、未納穴埋めに吸い取られるんですよ?いいんですか、全国のサラリーマン諸君!


今は未納の人々も、将来は医療費はかかるし、たとえ年金受給しなくても生活保護にしなけりゃならない。野垂れ死にさせられないでしょう?医療も年金も保険料を払わなかったのに、社会保障給付はしなければならないんですから。現実を考えてみろよ。今の生活保護費の伸び率はどうですか?千億円単位で増加するでしょ?もう2兆円規模でしょ。今後も増大する可能性が大きいだろう。だって、一生フリーターとかニート暮らしの人かもしれないんだよ。そういう税金も保険料もほとんど払わない人達を社会が養うんだよ?何十万人か下手すりゃ百万人以上になるかもしれないんですよ?


でもね、保険料方式ではなく、間接税方式なら、お金を使えばその分負担が発生する。例えば、ニートな人(仮にAさんとしよう)が働かずに親に養ってもらっていたとしても、ネット接続したりすればその料金に税金がかかる、ゲームたくさん購入したら税がかかる、食費がAさんの分だけ増えれば税がかかる、Aさんが携帯持って使えば税がかかる、・・・つまりAさんの分だけ少しは増えて税金として入ってくる。将来生活保護で養う結果になったとしても、Aさんの分として幾らかは負担されていて、それまでに国にお金が入っている。でもね、保険料方式だと、全然入らない。まるまま、Aさんを誰かが養うことになってしまう。本当に出来るの?何十万人かの所得税も保険料もほとんど払わなかった人を養えるの?


また、高齢層は若年層よりも消費意欲は旺盛で、所有する金融資産も段違いだ(当たり前だけど)。勿論苦しい世帯もあるに決っているが、あくまで比較の問題だから、若年層の苦しい割合よりも高齢層で苦しい割合の方が少ないだろう。これは、どういうことか。貧乏が多い人口層が、より金持ちの多い人口層を養うという「世代間扶養」になっている、ということだ。これは、社会的に見て適正か?これから退職していく人達と、今から就職して行く人達の賃金総額比較でもいいようにも思う。団塊世代は、高校や大学を卒業して直ぐに就職でき、高度成長時代には順調に昇給し、晩年はリストラにあったり能力給で昇給がストップもしくは減給された人もいるかもしれない。だが、その世代で見ると、まずまずの給料と退職金を持って退職し、第二の人生を歩める人が相当いるだろう。一方、今学校を卒業した若者は、正社員になれない人の割合がかなり多いから、給料が安いか就職さえ出来ない人達が、リストラされた団塊世代の人より圧倒的に多いだろう。世代間の給与総額比較では、間違いなく団塊世代が有利だろうと想像がつく。同じ20歳とか25歳の時の一人当たりの給料は今の方が安い(価値として)ということだ。そういう貧乏世代が、お金をたくさん持って辞めていった世代を養わなければならない、ということになる。


こういう不公平を是正するためには、間接税で緩和するしかないでしょう、と私は思っているのです。


単純に「一元化」って、お題目みたいに言ってもダメなんですってば。世代間扶養の矛盾(資産・生涯賃金不均衡)、徴収制度の無駄や欠陥、少子高齢化+人口減少社会への対応、運営コストの大きな無駄(社保庁が象徴的、組合・共済などの無駄とか)、これらをどのように解決していくべきか、というところから考えないと、今の制度で単に合体とかの発想では全然ダメだ。まず、問題の解決に繋がる方策や考え方というのを組み立てて、国民にだいたい「公平」で「やる気」や「勤労意欲」に繋がる説明をしてからでなければ、国民理解は得られんだろう。そういうシステムを考えなけりゃ、昨年の馬鹿げた「百年安心の年金改革」みたいなものしか出来上がらんだろうが。


一年も経たないうちに、百年後が既に見通せないでしょう?もうダメになっちゃってる、って最初からおかしいんだよ、厚生労働省も政府与党も。考えた人達は、何処を見て、何を考えたのよ?手当ての思いつかない国庫負担2分の1は、どこから引っ張るおつもりで?どうせ増税ぐらいしか頭になかったんだろうよ。厚労官僚ならさ、頭いいからどうすりゃいいか分るんでしょ?三悪の一つとまで言われてるらしいからね。霞ヶ関の「悪の枢軸」かよ(笑)。それとも「ならずもの省庁」か?まあ、犯罪の温床だからね、なんたって。
もともと自民党は今年度と言ったくせに、クソ官僚どもはとりあえず来年度以降と決めたんだろうが、17年度の上乗せはたった1.1%だ。来年度予算案には相当乗っけられるんだろうな。絶対に乗せろよ。増税して乗せるのは、ド素人でも出来るぞ、バカ野郎。まさか、出来もしないのに法律作ったりはしないだろう?新たな法案が出来るまでは、今の法律が生きているんだからね。


まず、出て行くところを厳しく絞りましょう、無駄をなくしましょう、次に公平負担をどう考えましょうか、それが達成されるにはどのような税制が必要でしょう、税収を年金・医療関係費にどう配分しましょうか、財源に合った給付はどういう制度にしましょうか、という枠組みを説明してみろ、っての。いきなり数字並べるんじゃない!統合の技術論でもない。個人間の格差をどう緩衝するか、地道な努力に報いる制度にするにはどうするか、将来像の見える制度はどんなのか、ということが最初に必要でしょ。今のままだとね、将来不安が大きすぎて、将来設計が成り立たないの。計算ができないの。そういうことが分ってないから、数字や技術論が先行するんだよ。払わなくてもいいや、っていうのは「約束」がないからなんだろう(未納議員はもっといい加減な理由かもしれんが)。1万円渡したのに、何に使ってるか分らないで消えちまって、自分の金じゃなくなってしまい、最後にゃ8千円位になって返ってくるかもしれない、と思えば、普通1万円を渡さないだろうが。今の年金制度はそういうシステムだってことだよ。影でこっそり、役人どもや利権集団が、ピンハネしてんだからさ。


社会保障改革こそ、「そもそも論」で丁寧に説明しろよ。普通、年金制度の違いとか、税制の意味とか分りにくいんだから。郵政のことなんかより、こっちの方こそ、「そもそも」何故一元化か、「そもそも」何故税制改革が必要か、「そもそも」何故番号制(納税者番号は片手落ち、社会保障番号の方がよっぽど必要)か、そいうことの議論の過程を明らかにして、国民に示すべきだろう。


防衛情報とインテリジェンス

2005年03月14日 01時00分44秒 | 防衛問題
防衛庁の情報戦略計画が明らかになったとの報道がありました。毎日新聞によれば、「不安定の弧」全域をカバーする衛星通信システムの構築と、米軍との情報共有化も推進するということのようですね。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 行政

BMD構想では、衛星情報が最重要となるでしょうし、あくまで仮定ですが、北朝鮮からのミサイル発射兆候の探知にしてもそうですね。データリンクは必要です。米軍とのデータ共有も同じです。なければ、全て自前で全域カバーできる衛星網を構築しなければなりません。これはかなりのコストがかかってしまいます。ミサイル防衛で最も必要なことは、発射準備段階をいかに早く探知できるかで、次にミサイル発射後の軌道予測と実軌道計測(位置情報?)なのではないでしょうか。目が見えないのに、ハエを叩き落すことは出来ないでしょう。


昔『ボディーガード』という映画がありましたが、その中で暗殺者が暗闇の中から銃撃してくる時、主演のケビン・コスナー(ヒロインはホイットニー・ヒューストンでした)はわざと「目を閉じて」正確に敵の位置を察知して撃ち返すシーンがありました。日本びいきで黒澤映画に傾倒していた彼が、昔の武士が「気(殺気)」を読んで敵と戦う(まるで座頭市ということです)というのに憧れていたから、このシーンを入れたのではないかと思いました。ですが、現実のミサイルは「気」を読んでも撃ち落せないことは明白でしょう。確実に”見えて”いなければならないのです。迎撃用のミサイル誘導も正確にできません。

そういう意味では、衛星情報は共有しておくことが大切ではないかと思っております。これが、米軍との武力行使の一体化に繋がるという危惧は、やや違うような気がします。なぜなら、武力行使は情報の有無に無関係に過った運用が起こりえるからです。米軍との情報共有がなくとも、政策や命令が間違っていればそのように運用されてしまします。日本の防衛力の独立的運用は、情報段階の問題ではなく、外交戦略にかかっているでしょう。むしろ、情報が少なすぎて見えない影に怯えたり、変な脅しや不安煽動を受けるかもしれず、正しい判断を阻害するかもしれません。重要なのはインテリジェンスであり、それを支えるのは正確な情報収集です。これについては、毎日新聞の見方とは意見を異にしています。


これは、テロ対策においても同じです。
以前、映画化された『レッドオクトーバーを追え』の原作で有名なトム・クランシーが書いた作品を思い出します。あの「9.11」のヒントになったのではないか、と思った人は多かったのではないでしょうか。彼が書いた『日米開戦』の中で登場した、航空自衛隊の「佐藤1佐」(だったと思うが、手元に資料がないので正確ではないかも)の弟である、日航パイロットがとった行動――それがまさに、ジャンボジェット機による「神風攻撃」でした。

続編で、あの「ジャック・ライアン」(シリーズですね、いくつか映画化されています)が副大統領として登場する『合衆国崩壊』の冒頭が問題の部分です。大統領就任式(昨年ブッシュ大統領の時にも厳戒の中で行われましたね)を標的に選ぶのです。国会議事堂に大統領以下、重要な役職に就いている長官達や国会議員達が一堂に会しており、「佐藤機長」の報復攻撃(死亡した兄の仇討ちとして、燃料を満載したジャンボ機で特攻)で、それらの人達が全員死亡してしまいます。偶然難を逃れたライアンは副大統領でしたから、急遽大統領に就任するということに…「佐藤機長」の計画は成功するのですが、これがあの「9.11」のモチーフになったのではないか・・・と当時思ったりしました。


日本でもかつて起こったテロ事件、「三菱重工ビル爆破事件」や「道庁爆破事件」などの爆破事件がありました。随分昔なので記憶が定かではありませんが、こうしたビル爆破テロは防ぐことが非常に難しいかもしれません。国内に工作活動を行うグループの存在が疑われたとしても、標的となるビルを割り出すのは容易ではないからです。落合先生は「ヒルズ族」(?)ですから、ちょっと心配しておられましたが。やはり、活動グループの存在を突き止め、未然に防ぐしかないように思います。それには情報が一番重要であると言えるのではないでしょうか。

古い記事ですが、よろしければ読んで下さい。
テロ対策1