いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

財政再建で地方は生き延びられるか

2006年05月16日 16時34分17秒 | 社会全般
地方交付税の問題は中々難しい。国が地方に分配しているんだ、というのが財政再建側の言い分なのだろう。で、「地方が国からたくさん金を持って行ってる」、と。地方は「自前でやれ」と。確かにそういう側面はあると思う。国におんぶに抱っこで、無駄な事業であっても「地方にも仕事を」と言って持ってきていた。なので、今後はそういう甘えは許されない、ということも確かにある。しかし、地方には地方の事情というものもあって、「交付税は廃止だ」といきなり言われても、そりゃ無理だ、と。


中日新聞ホームページへようこそ

中日新聞の記事より。

政府の歳出歳入一体改革で大都市に対する地方交付税の廃止論が浮上していることについて、名古屋市の松原武久市長は15日の定例会見で「地方交付税制度の本質を理解していない暴論」と批判。18日に上京し、全国15の政令指定都市でつくる指定都市市長会会長として、大都市の実情を、国や関係機関に訴えることを明らかにした。

財政再建を目指し、国の経済財政諮問会議が6月までに工程表や選択肢をまとめる歳出歳入一体改革では地方交付税の見直しが焦点の一つ。民間議員がまとめた改革案では、大都市を念頭に「一定規模以上の団体については交付対象外にすべきだ」などという議論が出ている。

これに対し、松原市長は「国の財政赤字を地方に転嫁する内容だ」と反論。地方の収支不足を補うための臨時財政対策債の償還には交付税をあてるとされていることに触れ「不交付になれば、ご破算になる。(国と地方の税財政を見直す)三位一体改革の第2次分を交付税議論にすりかえないでほしい」と訴えた。18日は総務相らに面談する。




このように、名古屋市長は「暴論だ」と、マジでお怒りの様子。
それもそのハズ、諮問会議では「『名古屋市までも』が交付税をもらってる」という批判をされたからですね(笑)。しかも、何故か奥田さんが「オレから言っとくから」みたいな感じで、あたかも名古屋市の財政まで支配下にあるかのような発言をしていたよね。


いくらトヨタの城下町だからって、首長の頭を飛び越えるのは問題ではないでしょうか?諮問会議の民間議員は、いつから地方自治体の首長よりも偉くなったのでしょう?そりゃ、トヨタがあるお陰で、税収は増えるし、他の地域よりも潤うでしょう。実際に日銀の地方別の景気判断などでは、名古屋地区は他よりも景気がいいですよ。だからと言って、個別に地方自治に口出ししたり、奥田さんだから名古屋市に対して「何でも言える」というのは、統治システムを乱しているのではないでしょうか。住民の投票によって選出された首長がいるのに、一民間企業のお偉方が「こうしろ」「ああしろ」というのは越権行為なのではないかと思いますけど。

経済財政諮問会議は「最高決定機関」ではありませんよ。あくまで「諮問」に対して「答える」だけです。他の審議会やら諮問機関のメンバーとも、その地位は大きくは変わらないでしょ?「これ如何」と聴かれたから、「これこれこうです」と答えられる、というだけに過ぎないはずですよ。いつから、「国民から選出された代表」みたいに振舞ってよい、となったのですか?


<ちょっと寄り道:映画「ロボコップ」(2だったか、3だったかもしれない)では、未来のデトロイトがオムニ社というタダの民間企業に牛耳られていて、市政が乗っ取られそうになる話も出てきたと思うけど、まさしくこれと同じだよね。オムニ社の悪い会長が出てくるんではなかったかな。市長よりも偉そうなんだよね、その会長は(笑)。>


いずれにしても、この交付税問題は、長引きそうです。
国の財政赤字を「地方に押し付けるな」という気持ちは判るけど、金の出所である「国の台所」事情が火の車であれば、地方にも我慢をしてくれ、ってことになるからね。でも、今のような議論のままでは、名古屋市長の御立腹のようになりかねないと思います。特に、奥田さんから、「名古屋市はトヨタからのアガリがあるから、交付税なんかなくてもやっていけるじゃないか。ウチは相当地方税を払ってるぞ」とか何とか言われりゃ、そりゃまあ、怒るかもしれんね(笑)。その気持ちは何となく判るような気がします。


地方によっては、財政悪化が避けられず、財政再建団体になる可能性が高まるかもしれない。仮に、倒れる団体数が3割出ても、全国トータルで見て地方への支出を減らせられれば、別に何てことはないよ、ということかもしれないし。残り7割は、ちゃんとやって行けるじゃないか、と。マクロで見れば、プラスマイナスゼロですよ、とか。

どの地方公共団体も、熾烈なサバイバル戦を強いられるかもしれませんね。どの程度が生き延びられるか、判りませんね。地方公共団体の破綻法制にも着手しているそうですから。


昔のコピー風で言えば、「狼は生きろ、ブタは死ね」ということなんでしょう。

(確か、映画『蘇る金狼』だったか、『白昼の死角』だったかの宣伝文句だったと思いますが、不正確かも。そういや、後者のCMの時には、「白昼のしかくう~」という歌が流れていた・・・ような気が・・・)