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ライブドア株主の訴訟に思うこと

2006年05月24日 21時02分01秒 | 社会全般
この事件の問題についてのあれこれはとりあえず別にして、「投資スタイル」ということだけで考えてみたい。なぜこんなことを思い立ったかと言えば、「極東ブログ」で取り上げられてた(私はNHKの番組は観てなかったから知らなかった)ことと、以前山口氏のブログでも書かれていたからだ(3月でした)。60歳代以上が比較的多いということに、驚きを隠せない。自分がそういう銘柄に投資しなかったから、ということもあるが(笑)、余りに無謀な投資なのではないかとしか思えないからで、その裏側には単に「儲けよう」ということが見えるような気がするし、そのリスクを自己責任として受け入れざるを得ない、という部分があるからだ。


H-Yamaguchinet これはやっぱりスジちがいだと思う

極東ブログ ライブドア事件・個人投資家は救済されるのかな


投資スタイルとして好感が持てるのは、ホリエモンという人物に共感し、夢を抱いたりして、少ないながらも投資している若者の方だ。そういう人々の期待を裏切ったかもしれないことはあると思う。だが、単に儲けを考えて資金投入をしていた人々には、それなりのリスクがあるということは仕方がないのでは、とも思う。


とりあえず、取り上げられた朝日の記事を見てみよう(以下の『 』部が抜粋)。

asahicom:ライブドア上場廃止 老後資金も投資、株主の悲痛な声-社会


<事例1>

『横浜市に住む50代の会社員は1月末、LD株計6万株を売却し、4000万円以上の差損が出た。 妻との定年後の生活に備え、超低金利の銀行に寝かせておくよりはと、2年前からネットで株式投資を始めた。 LDの急成長ぶりに注目して財務諸表を調べた。堀江前社長の挑戦する姿勢にも好感を持った。昨年、堀江前社長が自民党の後押しで総選挙に立候補し、年末にLDが経団連への加盟を認められると、「LDが社会的に認知されたと思った」。数万株単位で買い注文を出した。』


まず、初めに思うこと。「6万株も買い込んでいる」ということです。
1月末に売却してるが、仮に1株100円で売却したとすると、回収資金は600万円です。損失が大雑把に4000万円であれば、買い資金は4600万円(!)です(普通に、持ってる金のレベルが違うでしょ?)。6万株の平均買いコストは約767円です。つまり、これはかなり株価が上昇してきてから買ってる量が相当あると考えられます。11月初め頃では400円ちょっとでしたから。従って、「買い動機」としては、「今まで上がって来たから、更に上がるだろう」ということで、かなりの高値圏で仕込んでいると言えるかと思います。

しかもこの男性の場合には投資歴は少しありますし、財務諸表を見たとか、経団連加入云々とか理由がついていますが、基本的には「もっと上がるだろう」という目論見のもと、買い込んだとも取れなくはないですね。比較的短期間での利益を狙ったものではなかろうか、ということです。その投資スタイルで今まで成功してきたからではないかと思えます。財務諸表で判断するのであれば、もっと以前から判断ができるものです。それに、無配当であることも知っていたはずですね。経団連加入が株価を押し上げると判断することも、あまり意味があるとも思えないですね(それで企業収益が大幅に増える、とも言えないかな、と)。

普通、資金が余程潤沢であるとか、自分に自信がなければ、一銘柄に4000万円以上も投入できないと思います。配当に期待があったとも言えず、相当リスクを取って「値上がり益」を目指したのであれば、仕方がないと思えます。恐らくこの方は、他にも資産が結構あって、退職金もこれからもらえるはずですので、その額もそれなりに高額なのではないかと予想します。なので、生活に困ることはないのではないかと思えます(勝手に人の生活を予想して申し訳ないのですが)。そうでなければ、株に数千万円も投入しようなどとは考えないでしょう。


<事例2>

『東京都内の無職女性(79)は昨年暮れ、証券会社の勧めでLD株を買い、1週間で100万円の利益が出た。さらなる値上がりを期待し、7000株を買い増した。 東京地検の家宅捜索後、眠れない日が続いた。2月に売って500万円の差損が出ると、蓄えがほとんどなくなった。同居している息子家族のために自宅をリフォームするつもりだったが、できなくなった。 パソコンは持たない。情報源はテレビと新聞だけ。証券会社から電話で言われるままに売り買いしていた。』


これも、何故?と思います。株式投資が趣味で「好きだ」とかの理由でもないのに、79歳という年齢で株に投資すること自体が誤りです。営業マンの「釣り」にまんまとやられた口でしょうか。こんな高齢になってから始めるのは、無謀すぎではないかと思えます。通常将来の「待てる時間」が多い人であれば別にいいと思いますが、平均余命で考えても(失礼、でもそうだろうと思うのですけど)キャッシュの方が無難です。遺産として考えるならばまだしも、「リフォーム予定」があるにも関わらず、その資金を株に投資しようということ自体が無謀です。おおよそ使途の決まっている資金をリスクの高い投資に振り向けるということが、まず問題だろうと思います。


それと「2月に売って500万円の差損」と「1週間で100万円の利益」ということから、ちょっと推測してみようと思います。1週間で1株当たり100円値上がりであれば1万株を購入していたことになります。ライブドア株が1週間で100円以上値上がりしている局面は11月以降しかなく、500円で1万株購入ならば買い資金は500万円、途中で7千株買い増しですから平均600円で購入したとして420万円となります。合計では920万円ですが、売却時に130円(2月では高い方ではないかと思います)ですと130円×17000株=221万円となって、損失は699万円となります。ちょっと合いませんね(1週間で100万円の利益という時期の推定が結構難しい)。条件を変えて、670円で8000株(536万円)、暴落後に170円で7000株追加(119万円)であれば、合計655万円の買い資金となり、100円で15000株売却だと150万円回収なので505万円損失ですね。一応150万円は回収していますので、まるっきり蓄えを失った訳ではないと思いますが、実際どうなのかは判りません。所有資金の約8割は失われた可能性はあるかと思います。


この場合には、資金の投入先が誤りであり、元々株式投資には向かない資金であったと思います。山口氏の指摘通り、証券会社営業マンの言いなりというのも大きな問題ですし、持ってる資金の殆どを株に振り向けるというのも大問題でしょう。たった1週間で100万円もの利益が出ていた時にこそ、「引き返せる」チャンスであったのです。でも、人間というのは難しいもので、「もっといけるかも」と思うとか、営業マンに「まだまだ上がると思いますよ」とか何とか言われりゃコロッと引っかかってそれを信じるとか、欲望は制御が難しいのかもしれません。


<事例3>

『長崎県の50代の自営業男性は昨年、子どもの資産になればとLD株を約2万株購入。現在も保有しているが、含み損は800万円を超える。 もともと高血圧だったが、LD株がストップ安だった頃には動悸(どうき)が激しくなり、一時は本気で死ぬことを考えた。「上場を許した東証や堀江前社長をかついだ政治の責任が問われないなら、我々個人投資家は市場から退場するしかない」』


確かにお気持ちは判らないでもないですが、含み損が800万円で「死ぬこと」を考えねばならないというのであれば、元々株式投資になんて向かないと思いますね。ITバブル期の光通信とかソフトバンクとかドコモとか、そういう銘柄の暴落っぷりであると、それこそ命がいくつあっても足りないでしょう。株式投資をする場合には、「いつこの会社が倒産するかわからない」というような、一種の覚悟のようなものがある方がいいと思いますね。値下がりで毎回心臓が苦しくなったり、死ぬことを考えねばならないのであれば、倒産した場合には本当に死んでしまいかねません。そういう人は株式投資そのものが向いてないと思いますね。それなのに、なぜライブドアなんかを購入するのか、ちょっと理解できません。


子どもへの相続財産ということで買っているのなら、まだまだチャンスはありますよ。倒産したわけでもなく、企業自体は存続しているのですから。あと20年待てるならば、状況が大きく変わっているかもしれません。遺産に考えているのに、途中の株価の上下は殆ど関係がないですよね。長期保有を大前提で考えているのであれば、「配当」「成長性」というような部分を評価するのだろうし、まだ60歳前の方ですから、普通に平均的な寿命まで生きるなら後15~20年程度はあるということですよね。相続はその後ですね。なので、いちいち途中の値下がりを気にするということの意味が判りません。今後20年間での株価動向が気になってしまって、途中で大きく下がれば死を覚悟せねばならないというくらいならば、初めから株式を相続財産に選択するということ自体が間違っていると思えます。





因みに私は倒産銘柄を掴んでしまったことがあります。昔、メインバンクだった第一勧銀が、マイカル(その頃に経営が思わしくない?と噂されていた)に600億円だかの支援を決定したという報道が出た後、株価が回復するだろうと思って購入したことがありますが(200円台くらいだったかな?実際株価は上がりましたよ)、その後しばらくして突然の倒産となってしまいました。そのちょっと前までには配当も出てたし、企業規模もそれなりでしたので、いきなりの倒産には面食らいましたが(個人的感想を言えば、当時ダイエーの方がはるかに株価も低く危険度満点という気がしてました)、「ウッソー!でも、まあ仕方ないかな」と思いましたよ。そういう危険性のある銘柄に投資するというのは、リスクがそれなりに高いということを覚悟しておくべきですよね。損失額は数十万円だったから、確かに800万円に比べれば大したことなかったんですけれど、でも、そういうもんですよね。一応、私の株式投資を始める時の基本的考え方は、「全損食らっても、止むを得ない」というものです(何かに書いてあったような気がするが、かなり昔のことなので忘れた。お金を落として失くしたのと似たようなもんです)。ゼロになってもしょうがない、という程度でしか考えないようにしています。そうであれば、下がった時でも精神的に十分耐えられます。勿論、損失を被れば、そりゃ普通に悔しいですよ、人間ですから(笑)。しかし、それも投資の一部であると思っています。まず始める前に、投資資金を「全部取られた」という自分を想像してみた方がいいと思います。それでもやっぱり「株式投資をする」という風に考えられる人だけが、投資するべきではないかと。


ライブドア事件で法令上の違反というのが実際にあって、現在起訴されている人々の刑事責任というのはあるとしても、投資家側にもそれなりの責任があると思われます。損失が出ればそれは確かに可哀想ですが、そういう危険性を判っていて参入してくるのだし、「よく知らなかった」ということであれば、参入してくること自体が問題ではないかと思います。証券会社の方でも、昔みたいな営業というのはかなり減ってるだろうし、多くの部分では自己責任であると思いますけどね。普通に銘柄を選択する時、「ライブドア株を選ぶ」という時点で、かなりの冒険家(もっと言えば、投機家)だな、としか私には思えないのです。特に高齢層(60歳以上の)のような人達が選択するべき理由というのが、実際のところ全く判らないのですね。投資する人本人が株式投資に向いてない(リスクを多く取る年齢かどうか、株式投資を理解できてるかどうか)、資金目的が向いていない(老後資金に使う、近い将来決まった目的に使う、・・・等々)、選択銘柄としてどうなのか、という幾つもの「なぜ」を乗り越えて、みなさん「ライブドア」を選んだんですよね・・・この辺が、私には理解できないのです。


ちょっと関係ないですが、ココログは毎回TBが弾かれてしまいます。何ででしょうか・・・?相性が悪いとか、そういうことなんでしょうかね?うーん・・・送っても届かないので、どうするか困っていますが、