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合衆国政府はGMを救えない

2008年11月12日 17時56分46秒 | 経済関連
数日前にも書いたが、政府がGMを救済してしまえば、米国内の多くの企業から同じような要求を出された時に困ることになるだろう。何故早急に手を打てないかといえば、市場原理主義の根本が崩れ去りかねないからだ。しかし、破綻させるには、あまりにデカイ。日本で言えば、いきなり四国全部が破綻して一気に失業者が溢れかえることになるようなものだ。こんなことが起こってしまえば、米国経済は想像を絶するダメージを受けるだろう。世界経済にも大混乱を来たしかねないだろう。

米国内の経済学者をはじめ、多くの識者が「救済すべきでない」という自論を展開しているのは判る。それが彼らの信じてきた市場原理だからだ。しかし、自分の手足を全部「ちぎってもよい」という人など、果たしているのだろうか?トヨタやホンダやヒュンダイがあれば、GMなんてなくても代替される、という意見が同じ米国人から出されていることを、少し寂しく思う。もし私がGMの従業員(リタイアした元従業員も含まれるかもしれない)か関連子会社の人間であるとすれば、二度と国外品を買うのを止めるかもしれない。それくらい影響が大きいと考えている。


GM救済に手間取ればドルにも影響、金融サミット前に緊張感 Reuters

公的資金の催促ということらしいが、もし政府が介入するとなれば、今後市場の信頼性は揺らぐ可能性があるだろう。誰もビジネスの原則を信じなくなってしまうかもしれない。それくらい大問題なのだ、ということ。

ここではっきりさせておかねばならないのは、市場の原則に従って処理してもらう必要がある、ということだ。犯罪でいえば(喩えが不適切かもしれないが)、はやり犯罪者には一度は裁判を受けてもらう、ということだ。その上で、執行猶予なり何なりの判断を下すべきであろう、ということ。なので、実質破綻も同然なのだから、市場の審判を受けて頂くべきだ―すなわち、破産法適用ということになるだろう。「チャプター11」ということだな。

株主責任として、一部の責任を負って頂くことになるだろう。また、他の債権者たちにも損失を被ってもらうことになるだろう。退職者の医療保険や年金なんかも、諦めてもらうか他の公的支援に切り替えてもらう(それがどんなに劣悪で貧弱なものであるとしても、だ)ということになるだろう。


しかし、問題はここからだ。現状では「レンダー探し」をしても、資金を出せる余裕のある人など誰もいない、ということだ。そんなリスクを取れる人間など、何処にもいないということが難関なのである。そこで提案だ。

これまでにも何度も書いてきたが、日本が持ってる金を使え。
JBICだったか忘れたけど、国際部門は統一されたんでしたよね?そこが窓口となって、出資するのだ。GM破綻処理プロジェクトでも何でもいいので、出資総額を決めて、ゆうちょ銀でもその他民間金融機関でも保険会社でもいいので、機関債みたいなものでも買わせればいい。過去の債務を圧縮するなり清算をした後で、事業継続の為に必要となる運転資金を貸すということになる。100億ドル規模で必要ということなら、その分の株式を発行、JBICが保有する。それとも、各金融機関に買わせる債券に株式転換条項を付けておいて、売却制限条項みたいなものを定めておき(3年間は売却できない、とか、株価が○○ドル以上にならないと売却できない、とか)、値上がり益が入るようにしてもいい。私はDIPファイナンスについても全然よく知らないので、専門の人によく考えてもらえればと。


いずれにしても、これまでと同じ形で継続するというのはほぼ無理だろうと思いますので、債務圧縮に伴って資本はゼロ、事業継続に必要な資産は保全してそれ以外のものは売却するなどを行うしかないのでは。金融商品関連の損失は、事業継続には関係がないので、当然チャラにしてもらいます、ということ。相手側に被って頂くことになるでしょう。その上で、事業継続の為の不足部分について、追加する資金を株式の形で資本部分に入れる、ということになるだろうか。バランスシートは小さくなってしまうが、それでも全損よりはいいだろう。

GMの基幹部分の事業を継続できれば、数十万人か数百万人規模の雇用を守ることができるかもしれない(「fired」は当然回避できないことに違いはないのだが)。経営陣には重大な責任があったであろうことは間違いないが、個々の労働者たちが何かをしでかしたわけじゃない。彼らに大きな責任がないにも関わらず、不幸のどん底に突き落とされるのは見るに忍びないであろう。真面目に働いていた人々には、何らの罪もないのだから。

日本が出資する高々1兆円程度でGMとその多くの労働者たちが救われるなら、安い買い物じゃないか。トヨタとデッドヒートを繰り広げていたGMなのだから、3~5割の販売減になったとしても400~600万台程度に売る力は残されているかもしれない。今後の事業は、もっとうまくやれるように新たな経営陣に考えてもらえばいい。そうだな、経営陣にはGMを愛してやまない人を登用したらいいよ。生え抜きの従業員とか、GM一筋で働いてきたけどリタイアした人とか、そういう「会社を愛する人間」を入れたらいいんじゃないか?そういう人たちならば、会社が存続するというだけで満足してくれるから、高額年俸を要求してきたりはしないだろう。「再出発する会社」という立場に見合った、慎ましやかな人でもいいんじゃないか。経営能力は大事だが、逆にいえば、これまでは「優秀で、そうであるが故に高額年俸が当然」という「立派な方々」が経営していたにも関わらずこんな有様なのだから、「経営能力」なんてものはあんまり当てにはならんな(笑)。


いずれにしても、政府に救済させる案は望みが薄いと考えるべきだろう。もしそうやって救ってしまったら、悪弊は残されたままになり、かつての「世界に冠たるGM」という驕りからは脱却できなくなるかもしれない。ズタズタになったプライドにいくらしがみついていても、再生の道はないだろう。過去には常に「政治的に」困難を乗り切るというような体質が染み付いていたからこそ、変われなかったのではないのか。驕れる者には、どんなアドバイスも諫言も届かない。似たような失敗を繰り返すだけになってしまうだろう。そんなプライドを一度は捨て去らねば、GM復活はないだろう。


あと、これは本質的な話ではないが、「シャア専用」もとい、オバマ専用「ジム(←判る?)」というのもウソで、オバマ大統領専用車を納入できなくなってしまうよ。

livedoor ニュース - 【海外仰天ニュース】 オバマ次期大統領専用リムジンはこうなりそう。

まさか、ホンダ車を納入して、38口径にさえ楽々ぶち抜かれるドアとかじゃ困るでしょ?(笑)


ジレンマに陥った米国政府に代わって、ジャパンマネーで米国人労働者を救うのが最善であると思う。