いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

ジェットで救貧院を訪れるジェントルマン(笑)

2008年11月22日 12時51分29秒 | 経済関連
ビッグ3の救済に揺れる米国ですが、政治的には「荊の道」のようだ。とりあえず市場は「固唾を呑んで見守っている」というところではないかと思う。

それにしても、米国の政治家たちというのは、政府筋も含めて「骨がある」ということだと思う。
決して安易な妥協は許さない。根底部分では、やはり「ルールを重んじる」ということが滲み込んでいる。だから、どんなに経済界の大物連中に泣きつかれても、「はい、そうですか」ということで首を縦に振ったりはしない。これが雑多な国である米国を支えてきたフェアとかルール重視といった思想的文化なのかもしれない。

日本でいえば、トヨタ、日産、ホンダがいきなり窮地に陥り、潰れそうだから助けてくれ、と政府に言ってきたようなものだから。このインパクトの大きさを考えると、どうしたって「救済」ということに傾きがちだろう。けれども、そう簡単には「ルールを曲げない」というのが、米国政府や議会の基本姿勢ということなのであろう。その強さに、驚かされるのである。

日本の政治家は、諸外国の政治家の良い部分を見習うべきだろう。
日本であれば、政治家の裏手の方に色々と手を回して、遮二無二でも救済案が通されるのではないかなと思ったりする(笑)。日本の政治家には「あの手、この手」が割りと簡単に通用してしまうのさ。そういう部分を弱みとして「敵からもつかれる」ということになってしまっているんだろう、きっと。欧米の政治家の中にだって、そうした手が通用する部分というのがないわけではないと思うが、それでも日本の政治家よりは「強さがある」ということなんだろうと思う。


asahicom(朝日新聞社):専用ジェット機に批判集中 米ビッグ3救済めぐる公聴会 - ビジネス

(一部引用)

米議会は大手ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーター、クライスラーなどへの計250億ドル(約2兆4千億円)の救済融資を審議中。下院金融委員会で経営危機の解消策が必要と訴えた各社の最高経営責任者(CEO)に対し、議員からは「専用の高級ジェット機でワシントンに来て『経営合理化に努める』と説明するのは、山高帽とタキシード姿で貧者向けの給食施設を訪れるようなものだ」などと、リストラ努力の不足を批判する声が出た。

 各社のCEOは「劇的に経営効率を改善している」(GM)、「05年末以降、50億ドル(約4800億円)のコストを削った」(フォード)などと釈明したが、満足しない議員は「専用機を売って、帰りは一般の旅客便に乗り換えるという人は手を挙げて」と詰問。反応がないと、「議事録には『挙手なし』と記録」とたたみかける場面も。

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このやり取りが面白い。
「手を挙げて」と詰問したら、「シーン」と。
小学生が、「はい、手を挙げて」と教師に言われた時みたい。
で、議員さんには「こいつら、ふざけてる」と思われてしまい、「はい、誰一人反省の色なしね」という印象を与えてしまいましたとさ。「完璧ダメ認定」ということを言い換えると、「挙手なしと記録しておけ」と(笑)。追及の仕方というものにも、面白さを感じさせますね。

で、最高の出来栄えがこれだ。

 「山高帽とタキシード姿で貧者向けの給食施設を訪れるようなものだ」

超笑えるでしょ?
英米あたりでは、ミールクーポンみたいなものが一般的だし、昔からの救貧院みたいな施設とかホームレス支援の教会とか、そういうのがよく知られているでしょう。日本では、そうした光景はあんまり見られないから、ちょっと感覚的に理解し難いという面があるかもしれませんが。
で、そういう食事を無償で提供してくれるような施設に来て並んでいるのが、「山高帽とタキシード姿」の、気位だけは高いすまし顔の紳士気取り、ということなんですわ(こういうのも、『オリバー・ツイスト』なんかで勉強になったよ、やはりディケンズは偉大だ。笑)。税金で救ってもらうのに、まずは売れるものを売るとか、そういう努力をした上で「列に並べ」と(笑)。


日本の政治家には、こういうのを期待しても無理かもしれない。
米国や英国の政党は大変長い歴史を持つけれども、日本の場合だとよく途中で崩れたり消えたりなんかして、結局よく判らない勢力分布になってしまうだけなのだ。米国の場合だと、まるで運動会みたいだけど、長年の「赤vs青」という図式が変わらずに残っている、ということだな。そういう意味においても、何というか日本の政治には「厚みがない」のだよね。理知的競演みたいな部分とかが、日本だとまず観察されない。ちょっとしたやり取りや受け答えの中に、余裕みたいなものもない。気の利いたジョークも、ユニークな言葉も、あんまりない。ひょっとすると、昔はあったのかもしれないけど。寧ろ、変に言葉尻だけ捉えられてしまったり、揚げ足取りに使われたりするだけ。なんつーか、つまらんのだよ。欧米の政治を観察する方が断然面白い、というのは、きっとそうだろうと思う。


国民の気質の違いによるのかな?
端的に言えば、日本は政治というのが向かない国民性なのかもしれない(笑)。