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鶴の恩返し~日航は再生できるか(ちょっと追記)

2009年10月13日 18時00分39秒 | 社会全般
前原大臣の肝いりで、旧再生機構なんかの外部専門家が招かれたらしいが、どうも評判は芳しくないようではある。簡単に言えば「本当の専門家なんですか」というような話だな。肩書きばかり立派なんだけれども、現実にはそうでもない、というような人たちはいるわけだしね。いっそ、しがらみの全然ないような外国人で本当に優秀な人に来てもらった方がいいんじゃないか、と思わないでもない。

専門家チームの判断は、単なる債権放棄ということらしいが、前政権の決定であったにせよ、ここに来て税金をドブに捨てるようなマネになるだけなのは、ちょっと許容できないだろう。仮にも上場会社なのだし、やけにレトロな手法を取るのがいいとも思えないのだけれどね。


航空行政のことや、JALについては、偶然にもちょっと書いてきた。

地方空港のこと>理解を超えた騎士団・2

マヌケ静岡空港>改革なんて、多分無理

日航の民営化>JALの社長人事に介入した政府

不採算路線と日航>「整形不美人」の日本列島


で、今は、経営危機に直面しているということらしい。
報道では、2500億円の債権放棄を金融機関に求める、ということらしいが、これについては、やや疑問である。以下、いくつかの論点について書いてみる。


①「レガシィ・コスト」のこと

先日報じられていたと思うが、退職者たちが企業年金の減額には応じない、ということらしい。これはGMの処理の時と似ているのだが、会社が存続できなくなれば「年金受取」どころではないというのに、何故か「減額は応じない」ということになっているわけである。そんな主張をするのであれば、いっそ「債権者の列に、平等に並んで下さい」と言ってあげたいですよ。

まさしく、「親方日の丸」根性が染み付いているとしか思えないわけです。最後は、国が何とかしてくれる、払ってくれる、という、甘い考えに基づいているのではないですか、ということ。倒産してしまえば、年金受給権者といえども、単なる債権者の一人でしかないわけですから、払ってもらえるかどうかは判らないとしても、普通に順番待ちをして下さいね、ということは当たり前なんじゃないでしょうか。

企業年金の減額の話なんて、別に日航に限ったものではない。
NTTの行政訴訟

他の金融機関の債権者たちと同列に、債権縮小を認めさせるよりないと思う。
配当開始が可能になったら、ある金額の年金受取権が発生する、というような仕組みに同意してもらうか、倒産に準じて債権を処理してもらうか、どちらか選択してもらえばいい。親方日の丸時代の日航にしがみついている、巨額の「企業年金」受給者たちを引き剥がすよりないと思う。現役世代がこれで首切りに遭うというのに、どうして年金世代だけが血を流さずに済むというのか。


②2500億円放棄が妥当なのか?

再生のやり方には色々あると思うが、今年になってからでさえ、金を入れていて、それは無駄に終わりました、みたいな話は到底容認できるものではないだろう。

一部は放棄も止むを得ないということはあるとしても、デットエクイティのような手法も有り得るのでは?
保有する債権額に応じて新株を割当を行い、国(独立行政法人?や日本政策投資銀のような政府系金融機関)、金融機関が保有して、将来時点である程度は回収できるような仕組みを考えるべきなのでは。

今のままだと、主要行は債権放棄を同意させられた挙句に、「新規資金も入れなさい」ということを半ば強制されるようなもので、所謂「奉加帳」状態になってしまうのではないか。

企業年金問題を一気にカタを付けるつもりなのであれば、国が受給者たちの債権を買い取って一部肩代わりを行い、一時金として精算金を払うことにするとか。
その分は、国の債権額の割合が大きくなってしまうが、割当の新株はその分だけ多くなるので、将来時点での回収見込みが立たないわけではない。年金受給権を温存するなら、株式配当が開始されて以降に少額の年金支払を認める、ということにするしかないでしょうね。これはかなり面倒なので、できればいっそ清算してしまった方がいいと思うけど。完全倒産で「一円ももらえない」というよりかは、まだマシだろうと思うので。退職者たちにも、そういう痛みを分担してもらわないと、再建できないと思う。

他の金融機関にしても、旧政策投資銀行とか大蔵なんかが主導して、銀行融資団を形成してきたのではないかと思うので、そういう責任があるわけである。これを、今更になって「放棄せよ」といわれても、だったら国の責任はどうなんだ、という話にはなるのでは。そういう点でも、単なる放棄ではなく、新株割当とかにした方が受け入れはしやすいのでは。


③再建見込みはどうなのか

何といっても、ナショナル・フラッグということがあるらしい(笑)。
また、国内線のシェアも高いので、頑張れば採算ベースには乗せられるかもしれない。利払い負担軽減だって、かなり効いてくるかもしれないし、人件費関係の企業負担減額とか退職金関係の整理とか、そういうコストの整理縮小が何よりも必要なのでは。

あとは、企業内の文化を変えることだな。
倒産してしまった、もう後のないただの民間企業なんだ、自分の足で立つより他ないんだ、という自覚が必要だろう。
地方空港の本格的不採算路線については、どうしても残すという契約のできる自治体のみについて、維持するという方向にするしかないだろうね。飛ばす航空機も、安い機体とか限定で、利用人数に合った機体とするべき。軽いプロペラ機とか、安い大型へり(?)とか、安価でも済むような工夫(これは専門の人たちが考えればいいのでは。いっそ航空オタクなどを集合させ座談会をやってもらって、アイディア募集とかしてみたらいいんじゃないの?)をするべきだろうね。


④余談として

空港利用料を下げさせるべき。
空港運営も大幅に変えてゆくべきだろう。特に、地方空港。純粋な民間会社にやってもらってもいい。自治体が認めるなら、外資系にだって開放してもいい。アホな官業経営よりは百万倍マシだから。

空港整備勘定(旧空港整備特会)は国交省管轄から取り上げた方がいいんじゃないか。国土交通省は、これまでの航空行政の失敗の責任を取るということで、日航と共に、一度清算させてくれ、ということだな。まともな航空行政ができていないのに、日航だけに無理な再建計画を押し付けるというのもできないからね。

旧運輸省とか国交省役人たちは、日航(及び関連団体)から全員退去させるべき。空港関連団体にいる連中とかも、順次整理するべきだろうね。無駄に高給を食んできた人たちは大勢いたであろうから。
ひょっとしたら、ホテル日航系列なんかにも、隠れているかもしれないし(笑)。



※追記(20時頃)

今、調べてみたら、06年以降公募増資をやったりしていたんじゃないの。
06年7月に7億株、8月には第三者割当5千万株。
211円で7月にやって、何で8月にも第三者割当なんてやってるの?
なんつーか、不可解というか、怪しいわな。

で、08年にも6.14億株の増資(250円)。
これは優先配当権付きのA種株で、議決権はないけど「貸し金の利払い」をガツンと頂きますぜ、というシロモノなんじゃないの。

こういう調達をやってきたわけだから、ここは、倒産企業に準ずる処理をするべき。それは、債権者の放棄だけではダメ、ということ。株主責任も取っていただきます、ということなんですわ。


リストラで現職にダメージ、退職者の年金も泣いてもらう、貸した債権者たちにも被ってもらう、ということになれば、当然株主責任も問われるべきだ。こんなわけの判らん増資をくり返して、責任を負わずに済まそうなんてムシが良すぎる。

債権放棄だけでお茶を濁すなんざ、許されるべきではない。


上記、8月に5千万株の謎がわかりましたわ。
オーバーアロットメントで、追加的に売り出したという名目らしいですぜ。これって、予め売り予測が出来ているから、インサイダーであれば大儲けチャンスだったんじゃないですかね?
主幹事会社への、意図的利益供与も不可能ではない、という可能性だってありますわな。どういう契約だったのか、気になるところでしょうね。



「かんぽの宿」を哂う資格などない

2009年10月13日 12時36分16秒 | 社会全般
日本郵政が「かんぽの宿」をオリックス不動産に百数十億円程度の超激安値で売却しようとしていた件で、竹中や木村剛といった連中が当時の鳩山総務相を非難していたことがあったよな?

彼らの言い分として、「かんぽの宿」は毎年50億円の赤字を出している、だから、損するだろ、早く売ってしまえ、という意見だったように思う。木村なんて、「鳩山大臣が買え」、とか言ってなかったか?(笑)

言い換えると、損失を出したなら「責任を取って自分の金で処理しろ」というようなことを、求めている、と。
ははーん。
なるほど。そうですか。

この前書いたけど>石原都知事と日本郵政(西川)の失敗は似ている

ゆうちょ銀の出した1273億円の損失は経営責任ということで、じゃあ、西川一派に穴埋めさせるといいんじゃないか(笑)。木村剛的意見に従えば、そういうことになるな。

A) 「かんぽの宿」→50億円のマイナス

B) ゆうちょ銀の投資→1273億円のマイナス


どういうつもりか知らんが、A)の損失が「一大事だ」「政局だ」とか大騒ぎしていた愚かな連中がいたわけである。彼らは、どういうわけかB)の損失は「気にしない」「問題にしない」「経営責任は問わない」ということらしい(爆)。一体、どういうつもりなんだろうね。

「かんぽの宿」の単年度で生み出す損失の『25年分』が、たったの1年で生み出されたというのに、彼らときたら、全然平気ということらしい(笑)。「かんぽの宿」のマイナスより、こっちの方がよっぽど酷いんじゃないの?これは、どう責任を取るおつもりで?
これでも西川を絶対に擁護したい、という連中の気が知れん。


以前に、こういうことを言っていた手合いに意見を聞いてみたいよね。

「結論ありきの愚」(笑)


3期連続赤字垂れ流し企業の役員だか何だか知らんけど、表面的なことしか見通すことができないが故に赤字なのだろうか?(笑)
「メシウマ」気質なのは、判ったような顔をして、数字を見ようともしない人たちなのではないのか?

この記事に書いたとおりに、オレは自分で数字を見るまではそう簡単には信用しない。
企業経営の話なのであれば、特にそうだ。

再掲しておくよ。

『オレは確かに頭が悪いかもしれないが、実際の数字を見るまでは信用しない。抽象的な話をいくらされても、関係ないし。もっと具体的に、数字を並べてみて、そうしてはじめて「ああ、やっぱこの値段でも仕方ないね」ということになるだけ。こちらの疑問に全てきちんと回答できない限り、決して信用しない。』


原口大臣や亀井大臣は今後これらについて明らかにしていってくれることだろう。

言いたい放題の連中というのは、結局のところ「大騒ぎしていた鳩山邦夫大臣」が去ってしまえば、中身がどうだっていいのさ。別に何かの答えとか、より正しい選択とか、そういうものを求めているわけではない、ということだろうね。



参考:

「かんぽの宿」疑惑の波紋~7

日本郵政、西川を巡る混乱に乗じる政治家たち

幻の総務省令~郵政民営化承継財産評価委員会規則

郵政公社時代に遡れ

郵政利権に切り込め

郵政利権に切り込め~日本郵政に見る企業私物化




銀行の自己資本増強策

2009年10月13日 11時15分50秒 | 経済関連
今後、国際会計基準に準拠してゆくということになれば、保有株式は評価されないということになってゆくので、自己資本の増強が不可避である。これに対処する為の手立てを書いてみたい。


・どの道、メガバンクは潰せない

銀行は民間だ、国営じゃない、などという理屈を述べる人たちがいるが、公的資金で救済したり、金融システムを守る為と称して数々の金融財政政策を出動させねばならない、ということになってしまったのだから、半公的な部門であるという認識になってしまうのは止むを得ないのではないか。現実に欧米金融機関でさえ、そうした対応を受けてしまったわけだから、日本だけの特殊事情ということでもないだろう。

そうなると、危機発生時には国や中銀が出動して救う、ということになっているので、公的関与がかなり強いということになるわけである。これを否定できる人は少ないように思う。


・自己資本増強の普通株引受を国が主導

潰せないというなら、関与をしたとしても問題ということにはならない。ある種のSWF的役割を担わせる、ということになる。具体的には、国民が持つ資金(政府保証付き資金等)を利用し、大手銀行の普通株発行の引受を優先的に行うのだ。言ってみれば、大多数の一般国民が株主で、銀行は一生懸命働いていっぱい配当してくれれば、国民全体が儲けられる、ということになる。

具体的には、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(ここでは略して郵貯簡保管理機構、と呼ぶ)の持つ資金を使ってみては。他の部門が持つ資金を持ってきてもいいけど、ぱっとしたのは思い浮かばないので、とりあえずということで。

まず、郵貯簡保管理機構の持つ国債を日銀に市場価格で売却する。価格の上昇しているものがいいだろうね。仮に、4兆円分としますか。保有する200兆円に比べれば、とても小さい額でしかなく、2%相当です。これをまず現金化する。この売却は市場でもいいのですけど、量的に多額なので混乱を招く可能性がある為、できれば市場外で日銀に直接売った方がいいと思います。で、各メガバンクに普通株式を発行させ、第三者割当増資みたいな形で郵貯簡保管理機構が買うわけです。
3グループに各1兆円ずつ割り当てるとして、株価の算出(どういう基準か知らないけど、過去1ヶ月間の終値平均とか、そういう市場価格の基準を得るんだろうと思います)し、発行株数を決め、これを管理機構が買い取ります。

これをやって、国民が損をする可能性があります。
銀行の株価が下がったりすると、評価損を食らいます。また、配当が少ないとか無配であっても、やはり損する可能性はあります(代わりに国債を持っていた方がお得、という場合はあるので)。1兆円分の普通株式が各銀行のどれくらいの割合を占めるのかは調べていないので判りませんが、経営権を脅かす程の割合とはならないのでは。議決権行使についても、財務大臣が権限を持つということにして、総務大臣と財務大臣の協議と合意を法律で義務づけておけばいいのではないか。余程のことがない限りは、株主として経営に口出しはしないということになる。

保有株式は市場動向を見ながら売却でき、政府が資金を回収するのはやっていいと思います。それは国民に還元されることになるので。ただ、あまりに大量に一気に売却ということになると、株価下落を招いてしまいかねないので、状況によるのではないかと思いますね。高配当とか、含み益が大きいというメリットがあるなら、長期間持ち続けてもいいでしょう。銀行の方で、それはヤメテ欲しいと言うかもしれませんがね。


このようにして、大手に3兆円投入、その他希望する金融機関に1兆円、という具合に、自己資本増強を図ってもらえばいいのでは。


・海外やマーケットから批判される?

もし、批判するというのであれば、SWFを全否定してもらうといいのでは。SWFがどこの株式を購入しようと自由で良い、ということなら、日本の独立行政法人が日本の金融機関株を買おうと海外企業の株を買おうと自由でいいはずですから。

半官半民の公的銀行なんじゃないか、と批判する人がいるかもしれませんが、もしそう言うなら公的資金注入を全否定してもらえればよいのではないか。公的資金注入をしている時点で、それが同じようなものだからだ。



今のような、金融機関の株価が下落している環境は、まさに普通株購入チャンスと言ってもいいでしょう。あまり値上がりしてない時期にこそ、株式を安値で大量に購入し、主要銀行の首根っこを押さえてやればいいんですよ(笑、冗談です)。
というか、銀行を働かせてあげればいいんです。それが株主ということのメリットなわけですから。一般国民がその恩恵を享受できるなら、それでいいんです。

損した場合にどう責任を取れるか、という話は出てくるでしょうね。結果は、10年後か20年後に見て下さい、ということにするしかないのでは。自己資本が過少となって、貸し剥がしが起こってしまえば、日本経済の悪化を招くことは確実ですし、そういう環境下で失われる経済損失は株式購入による損失を大きく上回る可能性がありますから。

根本的には、メガバンクが必死に働いてくれさえすればいいわけです。国民を大損させないように。これぞまさしく、社会貢献ではないですか(笑)。