前原大臣の肝いりで、旧再生機構なんかの外部専門家が招かれたらしいが、どうも評判は芳しくないようではある。簡単に言えば「本当の専門家なんですか」というような話だな。肩書きばかり立派なんだけれども、現実にはそうでもない、というような人たちはいるわけだしね。いっそ、しがらみの全然ないような外国人で本当に優秀な人に来てもらった方がいいんじゃないか、と思わないでもない。
専門家チームの判断は、単なる債権放棄ということらしいが、前政権の決定であったにせよ、ここに来て税金をドブに捨てるようなマネになるだけなのは、ちょっと許容できないだろう。仮にも上場会社なのだし、やけにレトロな手法を取るのがいいとも思えないのだけれどね。
航空行政のことや、JALについては、偶然にもちょっと書いてきた。
地方空港のこと>理解を超えた騎士団・2
マヌケ静岡空港>改革なんて、多分無理
日航の民営化>JALの社長人事に介入した政府
不採算路線と日航>「整形不美人」の日本列島
で、今は、経営危機に直面しているということらしい。
報道では、2500億円の債権放棄を金融機関に求める、ということらしいが、これについては、やや疑問である。以下、いくつかの論点について書いてみる。
①「レガシィ・コスト」のこと
先日報じられていたと思うが、退職者たちが企業年金の減額には応じない、ということらしい。これはGMの処理の時と似ているのだが、会社が存続できなくなれば「年金受取」どころではないというのに、何故か「減額は応じない」ということになっているわけである。そんな主張をするのであれば、いっそ「債権者の列に、平等に並んで下さい」と言ってあげたいですよ。
まさしく、「親方日の丸」根性が染み付いているとしか思えないわけです。最後は、国が何とかしてくれる、払ってくれる、という、甘い考えに基づいているのではないですか、ということ。倒産してしまえば、年金受給権者といえども、単なる債権者の一人でしかないわけですから、払ってもらえるかどうかは判らないとしても、普通に順番待ちをして下さいね、ということは当たり前なんじゃないでしょうか。
企業年金の減額の話なんて、別に日航に限ったものではない。
>NTTの行政訴訟
他の金融機関の債権者たちと同列に、債権縮小を認めさせるよりないと思う。
配当開始が可能になったら、ある金額の年金受取権が発生する、というような仕組みに同意してもらうか、倒産に準じて債権を処理してもらうか、どちらか選択してもらえばいい。親方日の丸時代の日航にしがみついている、巨額の「企業年金」受給者たちを引き剥がすよりないと思う。現役世代がこれで首切りに遭うというのに、どうして年金世代だけが血を流さずに済むというのか。
②2500億円放棄が妥当なのか?
再生のやり方には色々あると思うが、今年になってからでさえ、金を入れていて、それは無駄に終わりました、みたいな話は到底容認できるものではないだろう。
一部は放棄も止むを得ないということはあるとしても、デットエクイティのような手法も有り得るのでは?
保有する債権額に応じて新株を割当を行い、国(独立行政法人?や日本政策投資銀のような政府系金融機関)、金融機関が保有して、将来時点である程度は回収できるような仕組みを考えるべきなのでは。
今のままだと、主要行は債権放棄を同意させられた挙句に、「新規資金も入れなさい」ということを半ば強制されるようなもので、所謂「奉加帳」状態になってしまうのではないか。
企業年金問題を一気にカタを付けるつもりなのであれば、国が受給者たちの債権を買い取って一部肩代わりを行い、一時金として精算金を払うことにするとか。
その分は、国の債権額の割合が大きくなってしまうが、割当の新株はその分だけ多くなるので、将来時点での回収見込みが立たないわけではない。年金受給権を温存するなら、株式配当が開始されて以降に少額の年金支払を認める、ということにするしかないでしょうね。これはかなり面倒なので、できればいっそ清算してしまった方がいいと思うけど。完全倒産で「一円ももらえない」というよりかは、まだマシだろうと思うので。退職者たちにも、そういう痛みを分担してもらわないと、再建できないと思う。
他の金融機関にしても、旧政策投資銀行とか大蔵なんかが主導して、銀行融資団を形成してきたのではないかと思うので、そういう責任があるわけである。これを、今更になって「放棄せよ」といわれても、だったら国の責任はどうなんだ、という話にはなるのでは。そういう点でも、単なる放棄ではなく、新株割当とかにした方が受け入れはしやすいのでは。
③再建見込みはどうなのか
何といっても、ナショナル・フラッグということがあるらしい(笑)。
また、国内線のシェアも高いので、頑張れば採算ベースには乗せられるかもしれない。利払い負担軽減だって、かなり効いてくるかもしれないし、人件費関係の企業負担減額とか退職金関係の整理とか、そういうコストの整理縮小が何よりも必要なのでは。
あとは、企業内の文化を変えることだな。
倒産してしまった、もう後のないただの民間企業なんだ、自分の足で立つより他ないんだ、という自覚が必要だろう。
地方空港の本格的不採算路線については、どうしても残すという契約のできる自治体のみについて、維持するという方向にするしかないだろうね。飛ばす航空機も、安い機体とか限定で、利用人数に合った機体とするべき。軽いプロペラ機とか、安い大型へり(?)とか、安価でも済むような工夫(これは専門の人たちが考えればいいのでは。いっそ航空オタクなどを集合させ座談会をやってもらって、アイディア募集とかしてみたらいいんじゃないの?)をするべきだろうね。
④余談として
空港利用料を下げさせるべき。
空港運営も大幅に変えてゆくべきだろう。特に、地方空港。純粋な民間会社にやってもらってもいい。自治体が認めるなら、外資系にだって開放してもいい。アホな官業経営よりは百万倍マシだから。
空港整備勘定(旧空港整備特会)は国交省管轄から取り上げた方がいいんじゃないか。国土交通省は、これまでの航空行政の失敗の責任を取るということで、日航と共に、一度清算させてくれ、ということだな。まともな航空行政ができていないのに、日航だけに無理な再建計画を押し付けるというのもできないからね。
旧運輸省とか国交省役人たちは、日航(及び関連団体)から全員退去させるべき。空港関連団体にいる連中とかも、順次整理するべきだろうね。無駄に高給を食んできた人たちは大勢いたであろうから。
ひょっとしたら、ホテル日航系列なんかにも、隠れているかもしれないし(笑)。
※追記(20時頃)
今、調べてみたら、06年以降公募増資をやったりしていたんじゃないの。
06年7月に7億株、8月には第三者割当5千万株。
211円で7月にやって、何で8月にも第三者割当なんてやってるの?
なんつーか、不可解というか、怪しいわな。
で、08年にも6.14億株の増資(250円)。
これは優先配当権付きのA種株で、議決権はないけど「貸し金の利払い」をガツンと頂きますぜ、というシロモノなんじゃないの。
こういう調達をやってきたわけだから、ここは、倒産企業に準ずる処理をするべき。それは、債権者の放棄だけではダメ、ということ。株主責任も取っていただきます、ということなんですわ。
リストラで現職にダメージ、退職者の年金も泣いてもらう、貸した債権者たちにも被ってもらう、ということになれば、当然株主責任も問われるべきだ。こんなわけの判らん増資をくり返して、責任を負わずに済まそうなんてムシが良すぎる。
債権放棄だけでお茶を濁すなんざ、許されるべきではない。
上記、8月に5千万株の謎がわかりましたわ。
オーバーアロットメントで、追加的に売り出したという名目らしいですぜ。これって、予め売り予測が出来ているから、インサイダーであれば大儲けチャンスだったんじゃないですかね?
主幹事会社への、意図的利益供与も不可能ではない、という可能性だってありますわな。どういう契約だったのか、気になるところでしょうね。
専門家チームの判断は、単なる債権放棄ということらしいが、前政権の決定であったにせよ、ここに来て税金をドブに捨てるようなマネになるだけなのは、ちょっと許容できないだろう。仮にも上場会社なのだし、やけにレトロな手法を取るのがいいとも思えないのだけれどね。
航空行政のことや、JALについては、偶然にもちょっと書いてきた。
地方空港のこと>理解を超えた騎士団・2
マヌケ静岡空港>改革なんて、多分無理
日航の民営化>JALの社長人事に介入した政府
不採算路線と日航>「整形不美人」の日本列島
で、今は、経営危機に直面しているということらしい。
報道では、2500億円の債権放棄を金融機関に求める、ということらしいが、これについては、やや疑問である。以下、いくつかの論点について書いてみる。
①「レガシィ・コスト」のこと
先日報じられていたと思うが、退職者たちが企業年金の減額には応じない、ということらしい。これはGMの処理の時と似ているのだが、会社が存続できなくなれば「年金受取」どころではないというのに、何故か「減額は応じない」ということになっているわけである。そんな主張をするのであれば、いっそ「債権者の列に、平等に並んで下さい」と言ってあげたいですよ。
まさしく、「親方日の丸」根性が染み付いているとしか思えないわけです。最後は、国が何とかしてくれる、払ってくれる、という、甘い考えに基づいているのではないですか、ということ。倒産してしまえば、年金受給権者といえども、単なる債権者の一人でしかないわけですから、払ってもらえるかどうかは判らないとしても、普通に順番待ちをして下さいね、ということは当たり前なんじゃないでしょうか。
企業年金の減額の話なんて、別に日航に限ったものではない。
>NTTの行政訴訟
他の金融機関の債権者たちと同列に、債権縮小を認めさせるよりないと思う。
配当開始が可能になったら、ある金額の年金受取権が発生する、というような仕組みに同意してもらうか、倒産に準じて債権を処理してもらうか、どちらか選択してもらえばいい。親方日の丸時代の日航にしがみついている、巨額の「企業年金」受給者たちを引き剥がすよりないと思う。現役世代がこれで首切りに遭うというのに、どうして年金世代だけが血を流さずに済むというのか。
②2500億円放棄が妥当なのか?
再生のやり方には色々あると思うが、今年になってからでさえ、金を入れていて、それは無駄に終わりました、みたいな話は到底容認できるものではないだろう。
一部は放棄も止むを得ないということはあるとしても、デットエクイティのような手法も有り得るのでは?
保有する債権額に応じて新株を割当を行い、国(独立行政法人?や日本政策投資銀のような政府系金融機関)、金融機関が保有して、将来時点である程度は回収できるような仕組みを考えるべきなのでは。
今のままだと、主要行は債権放棄を同意させられた挙句に、「新規資金も入れなさい」ということを半ば強制されるようなもので、所謂「奉加帳」状態になってしまうのではないか。
企業年金問題を一気にカタを付けるつもりなのであれば、国が受給者たちの債権を買い取って一部肩代わりを行い、一時金として精算金を払うことにするとか。
その分は、国の債権額の割合が大きくなってしまうが、割当の新株はその分だけ多くなるので、将来時点での回収見込みが立たないわけではない。年金受給権を温存するなら、株式配当が開始されて以降に少額の年金支払を認める、ということにするしかないでしょうね。これはかなり面倒なので、できればいっそ清算してしまった方がいいと思うけど。完全倒産で「一円ももらえない」というよりかは、まだマシだろうと思うので。退職者たちにも、そういう痛みを分担してもらわないと、再建できないと思う。
他の金融機関にしても、旧政策投資銀行とか大蔵なんかが主導して、銀行融資団を形成してきたのではないかと思うので、そういう責任があるわけである。これを、今更になって「放棄せよ」といわれても、だったら国の責任はどうなんだ、という話にはなるのでは。そういう点でも、単なる放棄ではなく、新株割当とかにした方が受け入れはしやすいのでは。
③再建見込みはどうなのか
何といっても、ナショナル・フラッグということがあるらしい(笑)。
また、国内線のシェアも高いので、頑張れば採算ベースには乗せられるかもしれない。利払い負担軽減だって、かなり効いてくるかもしれないし、人件費関係の企業負担減額とか退職金関係の整理とか、そういうコストの整理縮小が何よりも必要なのでは。
あとは、企業内の文化を変えることだな。
倒産してしまった、もう後のないただの民間企業なんだ、自分の足で立つより他ないんだ、という自覚が必要だろう。
地方空港の本格的不採算路線については、どうしても残すという契約のできる自治体のみについて、維持するという方向にするしかないだろうね。飛ばす航空機も、安い機体とか限定で、利用人数に合った機体とするべき。軽いプロペラ機とか、安い大型へり(?)とか、安価でも済むような工夫(これは専門の人たちが考えればいいのでは。いっそ航空オタクなどを集合させ座談会をやってもらって、アイディア募集とかしてみたらいいんじゃないの?)をするべきだろうね。
④余談として
空港利用料を下げさせるべき。
空港運営も大幅に変えてゆくべきだろう。特に、地方空港。純粋な民間会社にやってもらってもいい。自治体が認めるなら、外資系にだって開放してもいい。アホな官業経営よりは百万倍マシだから。
空港整備勘定(旧空港整備特会)は国交省管轄から取り上げた方がいいんじゃないか。国土交通省は、これまでの航空行政の失敗の責任を取るということで、日航と共に、一度清算させてくれ、ということだな。まともな航空行政ができていないのに、日航だけに無理な再建計画を押し付けるというのもできないからね。
旧運輸省とか国交省役人たちは、日航(及び関連団体)から全員退去させるべき。空港関連団体にいる連中とかも、順次整理するべきだろうね。無駄に高給を食んできた人たちは大勢いたであろうから。
ひょっとしたら、ホテル日航系列なんかにも、隠れているかもしれないし(笑)。
※追記(20時頃)
今、調べてみたら、06年以降公募増資をやったりしていたんじゃないの。
06年7月に7億株、8月には第三者割当5千万株。
211円で7月にやって、何で8月にも第三者割当なんてやってるの?
なんつーか、不可解というか、怪しいわな。
で、08年にも6.14億株の増資(250円)。
これは優先配当権付きのA種株で、議決権はないけど「貸し金の利払い」をガツンと頂きますぜ、というシロモノなんじゃないの。
こういう調達をやってきたわけだから、ここは、倒産企業に準ずる処理をするべき。それは、債権者の放棄だけではダメ、ということ。株主責任も取っていただきます、ということなんですわ。
リストラで現職にダメージ、退職者の年金も泣いてもらう、貸した債権者たちにも被ってもらう、ということになれば、当然株主責任も問われるべきだ。こんなわけの判らん増資をくり返して、責任を負わずに済まそうなんてムシが良すぎる。
債権放棄だけでお茶を濁すなんざ、許されるべきではない。
上記、8月に5千万株の謎がわかりましたわ。
オーバーアロットメントで、追加的に売り出したという名目らしいですぜ。これって、予め売り予測が出来ているから、インサイダーであれば大儲けチャンスだったんじゃないですかね?
主幹事会社への、意図的利益供与も不可能ではない、という可能性だってありますわな。どういう契約だったのか、気になるところでしょうね。