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日本航空は再建されるか

2009年10月25日 15時09分31秒 | 政治って?
JAL再生タスクフォースのプランには疑義があるとか、彼らの窮状が見えてきたのではないか?

国土交通大臣の強権というのがあるにせよ、それは万能の神通力でも何でもないことくらい、どうしてJAL再生タスクフォースの連中には判らないんだろうね。それは、「他人の権力」をかさにきただけなんじゃないのか?(笑)

ま、いい。どうせ当てにはならないもんね。

とりあえず、個人的考え方を書いてみるから。


①企業年金の強制減額を特別立法で、というのは無理じゃないの?

今朝の新聞報道などにあったが、企業年金をこれから立法して強制的に減額させる、という大技を考えているらしい、ということのようだ。これは、本当に法律家とかプロが考えたことなんでしょうか?素人考えで申し訳ないが、普通には無理っぽいとは思いますわな。

事後的立法措置で、民間が運営する企業年金の変更が可能なのかどうかは、疑問の余地はあるかもしれない。
元々のJALの年金制度には、年金額の改廃規定が置かれていたのだとすると、これは有効と考えられる可能性はあるかもしれないが。ただ、国の立法で、「お前のところだけ、年金契約の内容について、このように変えろ」とするのは、違憲立法になってしまいかねないという主張も有り得るだろう。

松下の年金訴訟は幾度か取り上げたはずだよ>恩給・職域加算の減額は憲法違反か?その2

NTTの年金訴訟に関しての高裁判決がよく言われるが、あれは厚生労働省の決定が妥当かどうかを見るというものであって、年金を減額できないという判決ではないだろう(後で調べてみます)。

もし、年金債務が減額できなかった場合、

→銀行団は追加融資を拒否、既融資分についての債権回収
→政府保証債務も回収、新規政府保証不可

となるのは明白なので、納得してもらうよりないだろう。
年金減額に応じずに債務超過に陥らせ、年金受取が不可能になるのがいいか、年金減額に応じるか、どちらを選びますか、という話だな。現行法体系において、減額が不可能という判断には必ずしもならないのではないか、というのが私の見解(役に立つかどうかは不明ですけど)である。「年金が減額できない、ということはない」、たとえ3分の2以上の賛同を得るとか経営状況や経済環境といった条件が判例に倣って残されたとしても、クリア可能なものだ、ということです。

経営破綻を回避せずに年金受給権を法的に優先保護しなければならない、などということを支持する合理的理由など、到底思い浮かぶものではありませんが。むしろ、年金受給者を保護する意味においても、通常の債権者保護の観点と同じように対応を考え、債務者及び債権者等その他関係者の最大利益となるようにするのが本筋ではないか。

なので、余計な立法措置は必要ない、というのが、拙ブログにおける結論となる。


②株主責任について

銀行団から減資という意見が出されている、というのは報じられていた。これは、拙ブログでも書いた通りである。上場企業なのであるから、当然のことながら株主責任というものは発生するだろう。交渉に応じない、というのであれば、政府保証を今後付けることはできない、という態度を明らかにするべきである。要するに、株主責任については通常の法的手続に従って下さい、ということになるな。それが嫌なら、交渉に応じて下さいよ、と。

06年に7.5億株、08年には6.14億株と、13.64億株を僅か2年間にやっており、発行済み株式数の半分くらいを占めているわけである。で、09年初めには資金繰り悪化となり、政府保証付き資金を要請し、協調融資ということになったわけだ。このような株主資本を優先的に保護する意味合いは、あまりないように思われるが。当然のことながら、倒産企業等と同じように株主責任を負って頂く必要がありますね、ということになるね。応じられない、という大株主には、是非とも倒産してもらって全損を食らっちゃってもらっていいですよ、ということになりますわな。


③再生の道筋をどう考えるか

大まかに言って、大きいものをまず考えていくから。
債務とかって厳密な区分がきっと決まっているんだろうけれど、私の頭の中ではそうそう細かい話は判らないので、言ってみれば「金をこっちに返せ、よこせ」みたいに主張する、利害関係者という視点で考えるから。大まかに挙げると、こんな感じ。

ハードルが高そうとか、合意形成に欠かせられないのが、
・DBJ
・銀行団
・その他融資している機関
・年金受給者たち
・株主
である。
取引先や短期資金の債権者たちには、どうにか資金手当てをして優先的に債務を返済できるのではないかと思うので(あんまりにも多額の未払金とかがあると難しくなる場合もあるかもしれんが)、ここでは主要な関係者から除外する。

再建に必要なお金ということで考えると、

ア)これまでの長期借入金、社債
イ)年金債務
ウ)株主資本(旧株)
エ)新規資金

ということで、ア)やイ)がJALが耐えられないほどの規模にまで膨らんでしまっている、ということであろう。

まず、キャッシュになりそうなものを売却し、金をかき集める必要があるが、これは交渉相手などによるので、やや時間がかかるとか不確実な部分はありそうかも。JALカード関係とか、ホテル関係、空港などの売店関係や通販事業とか、色々手広くやってきたであろうと思うので、そういうのも身売りをすることを考慮するよりないだろう。マイレージなんかも提携先が広いので、カード事業の売却先を探すことも考えるべきでは。目処がすぐに立たないのであれば、政府保証の一部に担保としてカウントし、売却先が決まれば売却代金を国に優先的に返済してもらえるというような特約をつけておくとか。


イ)についてであるが、現役世代の企業年金は条件を減額して残す、既受給者たちには減額受入か一時金で清算を選択してもらうが、できるだけ清算の方がよいかもしれない。この一時金の計算方法であるが、約束している金利水準がどの程度なのか知らないけれど、仮に5%とかであったのであれば今後の受取条件の際には国債指標金利ないし+0~1%程度のイロを付けて計算、というようなことにすればいい。元本部分まで全損を食らうわけでなければ、こうした減額に応じられる人は増えるのではないかな。

ウ)については、新株発行に伴って旧株の株主資本を圧縮するような形になるであろう。ゼロにする、というのではないのだから、まだマシと思ってもらうよりない。


6月末時点の決算短信を参考に、借金とかを大雑把に整理すると、次のような感じ(あくまで私の理解の為の分け方です)。
長妻大臣風な表現をすれば、「アラアラ(粗粗)の数字」ってやつですな。


【流動(短期的)債務】(=日々の営業活動なんかに使う金)

 a)営業未払金+短期借入  2000億円
 b)その他 2600億円   

【固定(長期的)債務】

 c)長期借入金+社債 6400億円
 d)年内の借入+償還社債 1840億円
 e)年金清算金 2500億円?
 f)新規資金貸付分 X億円?
 g)旧株主純資産 1700億円?


流動債務のその他ってのが、何で2600億円もあるのか私には判らないんだけれども、まあいいや。で、日々の営業活動での資金繰りは、5千億円規模で必要、ということか?これは、大きすぎると思うので、圧縮した方がいいと思う。2000億円~3000億円規模で考えれば、将来の稼ぎ(今後の営業で入ってくるお金ってことだ)で回る程度にしないとダメなんじゃないのかな。そうなると、仮に2千億円の圧縮が必要、ということになるね。手持ち現金が1200億円弱、未収収益等で1800億円程度しかないのだから、ざっと3000億円の流動資産しかないわけで、それ以下の流動負債規模となるようにした方がいいんじゃないの?

で、どうするとキレイになるか、というと、

短期債務圧縮分の2000億円、年内に支払わねばならない1840億円、合計3840億円、で、大雑把に4000億円必要。
この他に、年金清算金の2500億円、新規資金がいくらか、長期債務圧縮分、ということになるわけだが、新規資金は早期退職などの処理や運転資金等で2千億円とするか。長期債務圧縮は1400億円で、できれば借換などをやった方がいいかもしれない。長期債に持ち替える、みたいな。

そうすると、4千億円+千4百億円+2千億円+2千5百億円=9900億円、也。笑
約1兆円規模、ということになってしまうね。

g)の旧株主資本はずっと過小だろうと思うけど、便宜的に新株割当ということを考えた場合、旧株27億株には1700億円分、その他の旧債務や新規資金等に入れる資金にはその資金割合に応じた新株を割当る、ということになるかな。

新たな形だとどうなるか、ざっと書いてみると、

【流動負債】 

 a)営業未払金+短期借入  1000億円
 b)その他 1500億円   

【固定負債】

 c)長期借入金+社債 5000億円
 d)年内の借入+償還社債 ほぼゼロ
 e)年金清算金 ゼロ

となります。


新規融資分は長期融資ということにして、旧来の長期借入金や社債の金利条件などは借換で軽減できるものは軽減し、旧長期借入金+社債部分を5千億円まで圧縮します。すると、2千億円を新たに入れて、6400億円だった借入を5000億円に落とすわけですから、新株割当分としては3400億円の旧債権に対して、ということになりますか。

つまり、これまでの6400億円分は3000億円と3400億円に分離され、

長期借入金=新規融資分2000億円+旧債務分3000億円

ということになります。


新株発行の割当は、旧債務のDES分3400億円(金融機関等が保有)、年金清算金2500億円+年内返済分1840億円(政府が保有)、ということになりますか。そうすると、7740億円と旧株主分(とりあえず1700億円?)に金額の大きさに合わせて株式数の割当となりますでしょうか。

結局、政府が払うお金は、年金清算金2500億円分、年内返済分1840億円、ひょっとして新規融資2000億円の一部、ということになりますか。事業売却代金の優先的返済という特約が付くのであれば、新規融資分を政府保証としておいてもいいので(新株割当からは除外する)、DBJを通じて融資してもよい。

新規融資分の2000億円は、3400億円の旧債権の比率に応じて、各銀行に割り当てることでいい。この新規2000億円には政府保証付きということになるので、貸し手側には助かる、という話でして、DBJとその他銀行団で配分を決めてもいいと思う。3400億円の債権を新株割当に応じるよう求められるというデメリットを受けるので、新規融資資金についてはその不公平が若干取り戻せる(リスク無しの融資なので)ということで、僅かに相殺されるだろう。

5000億円の債務は日航に残るが、これは将来返済してくれ、ということになる。

リストラ費用などがかなりかさむ場合には、新規融資額をもう少し増額する必要性が出てくるかもしれない。また、年金債務の清算がいくらになるのか、これはちょっと不透明かも。
事業売却についても、果たして売れるか、いくらになるか、というのは、不透明だし。

ただ、大手術が必要、というのは当然なので、仕方がないよね。