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原子力損失の賠償についての検討~2の追加部分

2011年05月04日 12時28分58秒 | 社会全般
消えた記事を思い出しながら書くというのも、大変だ。
先の記事は東電の支払力についてだったが、今度は賠償の仕方についてである。

最初の投稿記事と同じに書く自信がない。

(2)賠償のやり方について

被災者を2つに区分する。避難命令等で移動させられた被災者の方々を1級とし、その他の周辺地域の方々を2級とする。


①1級対象者への一時金

避難者数は報道などから、約8万人ということらしいので、その数で考えた。一人平均の資産損失と慰謝料部分の合計を1500万円と見積もって、8万人に払うとする。世帯単位では多くなるはずだし、個別の保有資産に応じて額は算定するべきである。そうし細かい金額は、個別に検討することになるので、それは個々の状況を見て決める。とりあえず新生活を営むのに必要なので、一時金としてまず支払う。

1500万円×8万人=1兆2000億円


②1級対象者への生活補填費

農漁業や事業などの所得が失われたことへの補填という意味合いである。それと、①の一時金の調節にも役立つ。

1人平均月25万として、年額300万円。非課税とすべきである。また、世帯単位であれば、2人目以降は減額してもよいだろう。計算を簡略化するために、とりあえず300万円としてみる。事態が収拾できるまで払う。元の家に戻って生活できるようになるまで払う。期限なし。

300万円×8万人=2400億円(年額)


③1級対象者の債務引受

住宅ローンを抱えているとか、事業用の負債があるといった方々もおられるだろうと思うので、その債務を一括して東電が引き受ける。もしも戻れるようになれば、家などはそのまま無償で返還する、ということになろう。

例えば住宅ローン2000万円ある家庭があれば、家を2000万円で買い取り、その代わり被災者の債務は解消となる。東電が残った債務を返済する、ということだ。事業の借入も同様な意味合いとなる。農業・漁業や会社での返済原資となる収入を失ったことに対する補償、というものだ。

平均債務残高500万円×4万件(人or事業者or社)として、合計2000億円の債務引受となる。今すぐ払う必要はなく、条件に沿って返済してゆけばいいだけだ。東電ならば、一括で払うとか借り換えも可能である。


④出荷停止などの農水産業への補償

風評被害なども含めて考えるべき。各農協単位とか漁協単位で、過去5年の平均出荷額などを元に所得補填を行う。恐らく数十億円~数百億円規模で、そう多額とはならないであろう。これは一時金同様、直ぐに払う。


⑤2級対象地域への補償

1級とは異なり、個人単位で支払うのではなく、自治体単位に払うものとする。毎年数億円~数十億円などと決めて払う。収拾がつくまでか、今後10年間とか、決めておけばよい。金額は、自治体の人口比例とか面積比例といった算定基準を設けて配分を考える。原発周辺地域への投下資金があったことを考えれば、そう不当な金額とも思えない。せいぜい年間100億円とか、数百億円程度、と思えばよい。


⑥将来医療費の基金の積立

1級対象者には、生涯医療費の自己負担額の補助を確立しておくべき。原爆症のような対応ということである。自己負担分を肩代わりするために、積み立てておく。
2級対象地域には、市町村国保や地域の協会けんぽなどに繰入金とすればいい。ガン等の一定傷病名の医療費について、10%相当分、といった基準で支援する額を決めておく。
繰入を10年後~30年後、という具合に、予め決めておく必要があるだろうと思う。



早い時期に払うべき資金は、①+④の約1兆3000億円程度で、後は後年負担ということになってゆく。②の支給も開始時期によるだろうが、今すぐ数兆円もの現金が必要になるとも思われない。


また、配当についてだが、配当は暫く禁止すべき。
値上げや配当の前にやるべきことがある、ということ。

配当再開の条件として、次のものが達成されるべき。

・各引当金の積立不足の解消(原発解体や処理費等)
・原発事故に備えた保険の引き上げ
・預金保険機構類似の電力業界の事故積立金

これら資金確保が優先であり、達成されてないのに配当などに金を回すべきではない。




原子力損失の賠償についての検討~2

2011年05月04日 10時52分17秒 | 社会全般
記事が全て消えた。

最初に投稿したときには、記事があったのに。
大作だったのに…

途中では、下書き保存をして、消えないようにしていたのだが。
悔しいよ。

もう一回書くのは、きつい。


政府案が年間の払いに上限を設けるとか、料金引き上げで対応なんてのは、許すべきでない。東電にとって、金を右から左へ移すだけだ。



大雑把に書いてみる。


(1)東電の貸借対照表から

①株主資本3兆円+利益剰余金1兆8800億円

合計では4兆8800億円もある。これをそのままで、ってことは考えられない。


②使用済燃料再処理等引当金+同準備引当金 1兆2400億円

負債サイドに計上されている引当金だ。課税逃れで計上するわけではあるまい?だったら、この引当金を利用することを考えるべき。


③原子力発電施設解体引当金 5100億円

昨年度末に計上されていたので、今期もそうだろう。


④使用済燃料再処理等積立金 8700億円

資産サイドにあるのがこれ。②の引当金分が本来あるべきなのに、実際にあるのはこれだけ。差額が3700億円。積立金不足、ということである。だが、割とすぐ使える金だ。


⑤短期投資3100億円+長期投資4850億円

これも資産サイドにある金。現金化すればいいだけだ。合計では7950億円だ。


⑥まとめると

わりと早いのが、④と⑤の合計=1兆6650億円
他に、責任保険の保険金(民間保険契約、数千億円規模?)と政府が払う賠償措置額2400億円(福島第一と第二の合計)が入る。すなわち、約2兆円は、殆どキャッシュに近いはずだ。



因みに、銀行団が2兆円を融資した、という報道があった。
昨年12月末時点での1年以内返済の固定負債は約1兆円だった。だとすると、これの全部ということはないと思うが、仮に1兆円を払ったとしても、残りは1兆円あるはずだ。日々の支払などに必要な負債はあるだろうけれど、それは料金収入が毎月入るし手持ち現預金などの流動資産があるから、普通は日々支払で現金が全部底をついた、なんてことはないはずだ。

それに、被災者に一時金で100万円とか75万円を支払うということがあるとしても、全員に一気に払ったとしても数百億円にしかならない。MAXで800億円くらいでしかない。世帯単位だったはずなので、もっと少ない。


そうすると、残り1兆円のうち、数百億円とか1千億円とかを既に使ってしまったとしても、協力企業に支払できない、なんてことは起こるとは到底考えられない。
恣意的な支払遅延ではないか。
これは優越的地位濫用に該当する、というべきである。




消えた米倉経団連会長の日経記事(笑)

2011年05月03日 14時30分26秒 | 社会全般
4月26日午後の日経記事(電子版?)によると、米倉経団連会長の次のようなものだったようだ。

(以下に引用)

 日本経団連の米倉弘昌会長は26日の定例会見で、東京電力の損害賠償問題を巡り、「政府が責任を持って賠償しますと言うべきだ。腰が引けている」と述べ、一義的には東電が責任を負うべきとの立場を取っている政府の対応に疑問を呈した。

 原子力損害賠償法(原賠法)が定めた「異常に巨大な天災地変」の場合の免責規定を適用するなどし、東電の財務負担を減らすべきとの考えを改めて強調した格好だ。

 米倉会長は「国民感情が原賠法の適用を許さないなどと、行政が判断するのは間違っている。行政が曲げて解釈するのは言語道断で法治国家にもとる」とも語った。


=======


定例会見の発言要旨にもなかったみたいだ。ま、いいけど。

で、日経さんの方でも、慌てて記事を削除したんでしょうかね?(笑)
今となっては、出てきませんな。
でも、喋ってしまったことは、もう消えませんでしょう。


『行政が曲げて解釈するのは言語道断で法治国家にもとる』
だそうですよ(笑)。

どっちが法を曲げているのか?
『政府が責任を持って賠償しますと言うべき』
って、それはどんな法に基づくのかね?

3条但書を適用すると、確かに事業者の賠償義務は消滅するが、国にも賠償義務など起こりえないんじゃないのか?
それに、賠償措置額の1200億円の金さえも、政府からは支払われることはない。


この国では、このようにして、上に立つ人間たちが、感情的な意見でしかないものを、さも「正しい意見」かのように言い、デマを拡散してゆくということだ。

憲法記念日にあたり、どちらが「法治国家にもとる」のか、意見をお伺いしたいものである。
出鱈目を通そうとするのは、一般国民なのか?
それとも、偉い立場にいる人間か?


こういうのを許してきたからこそ、この国はこんな有様ってことなんじゃないですかね。
そして、賢明さに欠ける人間にばかり、政治的な力が与えられる、ということである。



東電の行き過ぎたファイティング・ポーズ(追記あり)

2011年05月03日 02時39分25秒 | 法関係
東電のやつらは、2兆円からの資金を調達したはずなのに、それがもう空っぽにでもなったと言うつもりなのか。

役員報酬を大幅減額せよ、とか、東電社員の給料を下げないと税金投入など許せない、などという世間の風当たりが強まったことに反発して、「俺らが働かないとどうなるか、目に物見せてくれるわ」というつもりなのかもしれない。
とことん性根の腐った組織というのは、こうなる、という見本みたいなものだ。これは、TEPCOさんの、一流の取引、言い換えると「ブラフ」であろう。停電で自らのありがたみを強調するような組織が、今度は下請け虐めで業務を滞らせて困らせれば、彼らの正当性と存在意義を示せる、という安易な策ではないかと思う。

そういう連中には、普通に言うだけでは通じないので、強権でもって成敗でもしない限りは、改心など無理なのでは。「水戸黄門の印籠」のようなものが必要だ、ということかと(笑)。

財界の発言力と影響力を総動員して、やってきたのだから、こんなのは大したことではないわな。東電の上層部にとっては、あくまで「政治」だから。世の中、政治で決まるんだよ、ということでしょうな。人事でも何でもそう。政府を動かすことだって、政治家を動かすのだって、同じさ。
ま、いいよ。
やりたいなら、やってこいや。
とことん、やってこい。


asahi.com(朝日新聞社):東電、協力企業へ代金支払い保留を通知 契約解除も - 社会

(一部引用)

 福島第一原子力発電所の事故に絡み、東京電力が3月末、第一原発などの納入業者や工事の委託業者に対し、契約解除や支払いの保留を通知していたことが分かった。業者らは「協力企業の連鎖倒産が起きかねない」と反発している。

 東電は3月31日付で、資材部長名の文書を業者らに配った。この文書によると、福島第一原発(福島県)、福島第二原発(同)、東通原発(青森県、建設中)で、地震発生前に契約の手続きをした、原発敷地内の様々な施設の工事や業務委託、原発の運営に使う様々な物品の購入が、契約解除や支払い保留の対象としている。福島第一に関する契約では、工事が完了した際の検査や、物品を納入する際の確認にあたる「検収」が、地震で困難になった工事や物品購入について、契約の解除に向けた協議をするとしている。

 福島第二と東通では、工事や物品の納入を一時中止し、完成した工事の検査や、物品納入の際の検収、代金の支払いを保留するという。


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自分たちの給与は満額支給しておいて、外部の弱い立場の下請け企業等には、「支払いせんから、待っとけ」ということで、東電さんの金がなくなれば「影響先は広範に及ぶんだぞ、そうすると原発の作業もできなくなるんだぞ、それでもいいのか」ということで、「強請り作戦」を絶賛展開中、ということでしょうな。

何て汚い組織なんだ。
こういう企業を、社会的に認めていいのか?
彼らのようなやり口を許せば、こうした経営陣がのさばることになるのだ。末端職員には、何らの罪もないだろう。一般職員の問題ではなく、幹部や上層部の問題なのだよ。


本来であれば、電気事業法に基づく電気事業者の認可を潰してやりたいところだが、その規定がない。こうした下請け企業への嫌がらせくらいでは、改善命令等を出せる権限が経産省にはなさそうなのだ。電気事業法違反を言えないと、取り消し前提の行政指導も効かないからね。

で、他の面から、東電さんへの指導とかをできないか、考えてみましたよ。


①原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)

保安に関する措置を求めることは可能ではないか、と。
条文は以下の通り。

○第三十五条  
原子炉設置者及び外国原子力船運航者は、次の事項について、主務省令(外国原子力船運航者にあつては、国土交通省令)で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。
 一  原子炉施設の保全
 二  原子炉の運転
 三  核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄(運搬及び廃棄にあつては、原子炉施設を設置した工場又は事業所(原子力船を含む。次項において同じ。)において行われる運搬又は廃棄に限る。次条第一項において同じ。)

(2項略)

○第三十六条  
主務大臣(外国原子力船運航者については、国土交通大臣)は、原子炉施設の性能が第二十九条第二項の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は原子炉施設の保全、原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条第一項の規定に基づく主務省令又は国土交通省令の規定に違反していると認めるときは、原子炉設置者又は外国原子力船運航者に対し、原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。
(2項略)

東電の場合、主務省庁は経産大臣ということで、命令が可能。
資機材や人員の調達に支障を来たすような場合であると、これら規定に抵触する可能性があるので、命令を発することは可能ではないかな、と。


②原子力災害対策特別措置法

これは、主に福島第一原発に関して、ということになろうか。

○第三条
原子力事業者は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する。

災害復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる義務が、原子力事業者にはある、ということである。同4条3項規定により、これも大臣が指導や助言等を実施できることになっている。


③独占禁止法

東電に最も適用して欲しいのが、これだ。東電のような大企業に、こうした手口を許してはならない。協力企業という名の、下請け企業群が泣き寝入りなんてことは、絶対に許すべきではない。東電の連中は、まず己の役員報酬や給与を削ってでも、支払いに当てるべきである。まず、給与の上位40%程度の人間の給与を減額すれば、かなり払えるのではないのか?
中小、零細企業なら、そうやって従業員の給料を待ってもらってでも支払いに充てているのではないのか。これが東電さんみたいな優良大企業ならば許される、みたいな発想や風潮というのが、許容し難いのである。自ら泥水を飲む覚悟で取り組め。そういう気概を見せるならまだしも(もしそうなら、多くの人々が東電支援に賛成することだろう)、自分たちの利益確保最優先という、その姿勢や発想が許し難い。

違法取引認定をお願いしたいところである。
公取には、是正の警告とか勧告などを出して欲しいものだ。

○第2条第9項第5号

五  自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
 
 イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

 ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
 
 ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。



この条文からすると、ハの事項に該当するであろう。
簡単に言えば、優越的地位の濫用である。東電のような大企業が仕事(物品や役務)を発注、これを受ける下請け(取引先)企業=協力企業が支払遅延を受ける、ということである。
優越的地位濫用による支払遅延という違法行為ではないのか。
意図的、恣意的な支払遅延である可能性が高いはずだ。他の全ての取引先を調べれば分かるはずだろう。東電の払う先―例えば銀行の支払利息など―が遅延せず、原発関連の協力企業に遅れているなら、東電の奴らは分かっていてやっている、ということだ。

こういう行為を許すことこそ、社会全体に悪影響を与えるのである。
発注元の大企業と、その取引先の下請け中小企業、という典型的な構図だ。傲慢な大企業のやり方を許すべきでない。こういうのこそ、一罰百戒という姿勢で厳しく取り扱ってもいいくらいだ。

東電の奴らは、
「払って欲しくば、俺らを支援すると言え、政府が賠償をすると言え」
という、脅しをすればどうにかなる、と卑怯な考えをもっているんだぞ。そういうのを許すべきでない。


公取よ、これが優越的地位濫用の支払遅延に該当しないのか?
支払いをするよう、求めるのが公取の仕事なのではないのか。違法行為を摘発するのが、仕事ではないのか。



※※追記:17時半頃

東電さんのプレスリリースによれば、「役員報酬削減」とか「今期と来期の配当が無配転落」といった報道記事について、否定(そのような事実はない、確定してない)ということらしいので、この期に及んでまだ払う積もりらしいですぜ。

それなのに、下請け企業には、支払延期と?
何て汚いんだ!
株主には配当、しかし、協力企業には代金も払わないつもりか?
協力企業ばかりか、農産物の風評被害に遭った農協にも払わずに、配当とか役員報酬だけは先に支払うと?

おい、お前ら、どういうつもりなんだ?
そういうことをやってると、絶対に許さんからな。
人の道に外れたような行為を、許しておくわけには行かない。

原子炉の現場で、死に物狂いで働いている人間たちにこそ、手厚い報酬が支払われるべきだ。救うべきは、東電幹部ではない。
最前線で戦っている人間と、東電によって窮地に追い込まれた人たちである。


だから何度も取り上げたでしょ

2011年05月02日 01時46分05秒 | おかしいぞ
今更、何を言ってるのかと思う。

福島第一原発2号機、昨年6月にも電源喪失 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

はてなブックマーク - 福島第一原発2号機、昨年6月にも電源喪失 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


拙ブログでは、幾度か取り上げてきた話である。3月12日時点で、既に書いた。
ぶくまコメントで「プレスリリースがあるから」とか「報告が公表されているから」といった、分かったようなご意見も散見されるが、あれを読んで本当に説明できるほどに理解できるのだろうか。
起こった出来事を、正確に説明などできるとは思えないわけだが。

それも、拙ブログ記事で書いてきた。

東電(原発)擁護派は経済を知らないのか?

この記事中に挙げた3つの記事で述べた通りだ。

この記事>続・Fukushimaは人災か~隠蔽される福島第一原発の疑惑で書いたように、東電は隔離時冷却系での冷却を行ったわけで、恐らく高圧注水系は機能しなかった、というのが重大な問題だったのである。

それに、何度も指摘したが、事象発生日の6月17日は、原子力安全・保安院(NISA)が検査に1Fに入っていた期間中だったのだぞ?
何故、検査期間中に発生した事象について、きちんと精査しなかったのか?

非常時ディーゼル発電機は起動したものの、多分給電されていなかったのだぞ?


そういう詳細な説明が一切ないのだ。整合性のある説明など、どこにも存在していないのである。
形式的に「プレスリリースがあるから」といったことくらいで、簡単に納得できる方々が羨ましいですわ。どうやって理解できたのか、どうやって説明がつくのか、本当に分かったんですかね?
少なくとも私には、全く分からない。もっと質問しないと、分からないことが山ほどある。あんな発表で満足できる連中の脳みそがどうなっているのか、不思議でならない。

東電の説明だって、電源喪失時でも起動する隔離時冷却系を「非常用炉心冷却系ではない」と言って誤魔化しているのだぞ?(笑)
給電されない=電源喪失時でも動かせる、というものであって、電源がある時の冷却系を使うのがまず先だろうに。
昨年の6月だと、外部電源は来ていたし、他の原子炉も運転していたんだぞ?
それで、どうして電源復旧を直ぐに行わなかったと思うか?

東電の説明は、何かを隠しているのだよ。
情報を隠蔽しているのだ。誤魔化しなんだ。
NISAも加担している可能性が高いんだぞ。


こんな出鱈目が許されるのか?

誰か説明してみてくれ。6月の出来事を、きちんと説明できるなら、やってみて。



原子力損害の賠償についての検討

2011年05月01日 15時13分07秒 | 法関係
4月27日の電気新聞によれば、経団連会長は次のように発言したとのことである。

日本経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は26日の定例会見で、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた被害者への賠償問題について「原子力損害賠償法という法律にのっとって行うべき。国民感情に配慮し法律適用しないと行政が判断することが間違い」と発言し、政府が補償を担うべきとの考えをあらためて示した。

賠償機構の設置など検討が進められている補償スキームについても「スキームの議論よりまず政府が責任表明するべき」と強調。「日本のエネルギー政策や将来像について政府が考え発言した上で、そこから被害者補償の金額や支払い形態について考えていくべき」との考えを示した。


経団連会長という立場の人間の発言力は、どういった影響があるのか自覚しているはずであろう。そのような人物が、『国民感情に配慮』云々の発言をしたということの重みについて、経済界はよく考えることだ。経団連会長自らが率先して「デマを流布」しているのとほぼ同様の、誹謗中傷の類である。それに、『行政が判断することが間違い』って、殆どの行政機関が行っていることそのものではないか。行政は、法律(条文)についての解釈を行い、その適用を全てについて判断しているではないか。行政の役割そのものではないのか。それを「間違い」って、何を言っているのだろうか。

例えば、タクシー運賃について業者が申請をすると、担当の行政が認可か不認可を決定するわけで、条文解釈と適用の権限が行政に与えられていることについて「問題がある」ということを拙ブログでも過去に批判してきたことはあるが、条文解釈について行政と争うなら、そういう場で行うのが普通であろう。
経団連という地位や立場を利用して、発言力の大きさで行政の判断を変更させようという行為こそ、経団連会長が批判していた『国民感情に配慮』云々なのではないのか。言い換えれば、「経団連や経済同友会などの経営者たちの感情に配慮し法律を適用すると行政が判断することが間違い」、ということである。
経団連会長の言う『国民感情に配慮』云々こそ、彼ら自身のことを言ったものではないか。

老婆心ながら書いておくと、経団連ほどの組織力を有しているのだから、まず法律の専門家に検討させておけば良かっただけなのでは。その結果を受けて発言すればよいものを、報道などからの聞きかじりだけで言うからこそ、デマを散布することになるわけで。


これは大した話ではないから措いといて、本題に入ろう。
(以下、当方の個人的解釈に基づく考察であり、素人の私見です。過誤は有り得ます)


1)「政府が補償する」とは、どのようなものか

まず、条文解釈の前に、概略だけを書いてみる。
原子力発電所が一つ、原子力損害の必要補償額が3800億円だったとする。賠償責任は電力会社が負う。

・賠償総額 3800億円
・電力会社が3800億円を支払う

ただし、電力会社は保険に加入している。民間保険会社が引き受ける「責任保険」と政府と電力会社間の「補償契約」である(とりあえず、この2つを簡略化して「責任保険」と「補償契約」と呼ぶ)。

この時、責任保険から2000億円支払われたとしよう。電力会社は、手出しの資金としては1800億円に減ることになる。この1800億円に対しては政府との補償契約があるので、発電所1箇所について1200億円を政府が補填してくれる、というものである。よって、電力会社は自己資金としては、残りの600億円を払えば済む、ということである。

整理すると、

・賠償総額 3800億円
・責任保険 2000億円
・補償契約 1200億円
・電力会社  600億円

となる。

政府が補填する義務を負っているのは、あくまでこの「1200億円だけ」である。


2)原則として事業者は「無過失・無限責任」を負う

経団連会長の言う「原賠法」というのが何を指しているか定かでないが、法令検索の略称は存在していないようである。簡略的に業界内などで用いられる通称なのかもしれない。

ここでは、まず、「原子力損害の賠償に関する法律」について述べる。


第三条
原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

(2項 略)


問題となっているのは、この但書部分である。異常に巨大な天災地変に該当するかどうかである。これについては、後述するとして、事業者の責任としては無過失・無限責任である。例えばハード面での問題があったとしても、それは事業者が設計、製造業者等に賠償請求権を有するということであって、事業者は被災者に支払うべき義務をまず負うということである。


第四条  
前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。


(以下略)

4条1項を文面通りに解釈すると、事業者以外の者は、賠償義務を負うことはない。たとえ国であっても、だ。経団連会長の言い草は、誤りとしか思われない。法律の条文通りに適用するなら、「国が賠償しろ」などという主張そのものが、法にない「財界のお偉いさん方の感情に配慮」したものでしかない。法を曲げるつもりか?(笑)

基本的に、損害賠償について国に累が及ばないように、リスクが遮断されている、ということだろうと思う。法律を書いた人間は、鋭いな。別な見方をすると、国の財政圧迫を及ぼすような条文を作るわけがない、ということでは。


3)原子力損害賠償責任保険契約

最初の例で示した責任保険であるが、条文で次のように定められている。

第八条  
原子力損害賠償責任保険契約(以下「責任保険契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、一定の事由による原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を保険者(保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第四項 に規定する損害保険会社又は同条第九項 に規定する外国損害保険会社等で、責任保険の引受けを行う者に限る。以下同じ。)がうめることを約し、保険契約者が保険者に保険料を支払うことを約する契約とする。


これは事業者が民間保険会社と締結する保険契約であり、政府には関係ない。よくある損害保険みたいなものだろう。これまで殆どの場合に、この範囲内で済んできたのではないかと思う。平たく言えば、保険に入らないと原子炉を運転させないぞ、という主旨であろう。自賠責の強制加入みたいなのと同じかと。


4)原子力損害賠償補償契約

民間保険契約以外に、政府が補填する制度がこれだ。

第十条  
原子力損害賠償補償契約(以下「補償契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納付することを約する契約とする。

2 補償契約に関する事項は、別に法律で定める。


つまり、国が義務として賠償責任を有する範囲は、この『補償契約によるものだけ』である。その上限は1200億円となっている(原子力損害の賠償に関する法律第7条1項)。

2項の「別な法律」とは、「原子力損害賠償補償契約に関する法律」である。安易に「原賠法」というような通称名を用いると、この法律との区別がつきにくいので困る。いずれにせよ、法律に基づくなら、国は無限の賠償義務を負っているとは言えない、ということだ。

この法律には、地震ないし津波による被害を政府が補填するという規定が存在している。

第三条  
政府が前条の契約(以下「補償契約」という。)により補償する損失は、次の各号に掲げる原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失(以下「補償損失」という。)とする。
一 地震又は噴火によつて生じた原子力損害
二 正常運転(政令で定める状態において行なわれる原子炉の運転等をいう。)によつて生じた原子力損害
  ……
五 前各号に掲げるもの以外の原子力損害であつて政令で定めるもの



5号規定は「津波」(施行令第2条)と規定されている。
また、施行令第1条で、2号規定の正常運転の除外規定が定められており、違法な運転状態(1号)、原子炉運転等の施設損傷(2号)、天災地変又は第三者行為(3号)、これらの原子力損害原因が存在する場合には、補償契約による補填が行われない、ということなのである。政府の支払い義務はない、という意味である。

すなわち、地震と噴火(1号規定)、津波(5号規定)の場合には支払われるが、正常運転から外れた状態(違法運転、施設損傷、天災地変、第三者行為)、これらについては支払わない(賠償措置なし)、ということである。


5)国の役割とは何か?

「原子力損害の賠償に関する法律」を適用しろ、と経団連会長以下大騒ぎをしていた財界連中がいたので、適用を考えてみよう。

再び条文を確認する。
仮に、3条但書が適用となったとして、国には賠償責任は生じない。

第十七条  
政府は、第三条第一項ただし書の場合又は第七条の二第二項の原子力損害で同項に規定する額をこえると認められるものが生じた場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。


国が行う措置とは、「被害者救助」及び「被害拡大防止」である。損害賠償ではない。しかもこの2つの措置でさえ、義務ではないように読める。条文が「~しなければならない」という言い回しではないから、である。平たく言えば、努力規定みたいなものだ。その時点と状況に応じて、できる範囲で「被害者救助」と「被害拡大防止」に努めてくれ、ということだ。事業者が払えなかった金を、国が出せ、なんて、一言も書いてない(笑)。

それに、もっと大変なことは、但書部分が適用になってしまうと、基本的には「誰も金を払う者はいなくなる」ということだ。3条の意味とは、そういうものである。
無過失・無限責任の賠償義務が消滅するのが、但書部分適用の意味なのである。この賠償義務が消滅してしまうと、政府の役割も同時に消滅するものと考えられる。

前条規定がそういう意味を持つものと思われるからだ。

第十六条  
政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。

2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。


この1項にある『損害を賠償する責めに任ずべき額』というのは、但書適用だと(事業者は)「損害賠償責任を負わない」ということになるので、16条1項は適用されない(だからこそ、17条に但書適用の場合の条文が置かれたものと思われる)ということである。

すなわち、但書適用にはならず事業者に損害賠償責任がある場合には、16条1項が発動される、ということである。

この場合、国は「事業者が損害を賠償するために必要な援助」を行うということであって、国が事業者の代わりに払います、なんてことはないのだ。あくまで「事業者が賠償する」為に援助するだけである。

おまけに、2項規定により、政府ができることは、あくまで「国会議決」の範囲内に過ぎない。 殆どの場合にそうだが、国会が決めていること以上の権限など、行政には与えられていないのだ。経団連会長のご意見というのは、そういう意味においても、何重にも誤りがあると考えられるのである。どうしても国が事業者に金を与えろ、ということなら、国会で金の支出先として事業者に金を払え、という議決をしない限り、できるわけがないのである。菅総理の一存で決まるものでもないのである。


6)電力業界に甘えの意識

経団連会長発言というものが、いかに法を無視したものか、財界の感情ばかりを優先したものか、というのが分かったように思う。

こうした国に頼りきりの姿勢は、電力業界にも蔓延しているように思えるわけである。
その好例を発見した。

原子力損害賠償法 - 原子力災害発生時の対応 | 電気事業連合会【でんきの情報広場】

次の記述がある。
『事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、事業者と国が一体となって原子力損害の填補を行うようになっています。』

これは、顧問弁護士なんかに確認した内容なのか?
本当にこんな解釈があるのか?
出鱈目ではないのか?ウソを書いているなら、問題じゃないのか?

ポイントを書くと、
 ア 事業者が免責された損害
 イ 保険限度額を超えた損害
の場合、
 ウ 国と事業者が一体となって
 エ 原子力損害を補填
するようになっている、って、法律のどの条文にそんなことが書いてあったの?

出鱈目を書くのもいい加減にして欲しい。

アの事業者が免責された場合(3条但書適用の場合)には、誰も払わないんだよ。
払うのは、事業者が免責されるのではなく、賠償義務はあるが、政府の賠償措置義務のある状態の場合(前記4の項参照)、というだけである。イも同様。

ウの「国と事業者が一体」なんて、夢でも見てるのか?
どこにそんなことが書いてあるというのか。援助は一体なんかじゃない。あくまで事業者が賠償するのを手助けする、というだけだ。国が原子力損害を補填するなんてのは、ウソである。あくまで義務のある賠償措置の場合のみ、だ。

勝手に拡大解釈し、都合のいい言説を広めるな。
こんなこと、どこの誰が言ったの?
ソース出せ、ソース。
牽強付会も甚だしい。


これが電力業界、経済界の言い分だそうだ。
こんな解説を基にしているから、経団連会長の如き発言が相次ぐのであろうか。



前の記事に補足だが

2011年05月01日 07時26分10秒 | 社会全般
お前らだって、安い利用料金でサービスを享受してきたんだから、利権の一部にアヤかって来たんだから共犯だ、お前らも利権者じゃないか、というような主張も有り得るのかもしれない。

まあ、全くの間違いということではないかもしれないが、巧妙なレトリックのような気がしなくもない。


また、例で考えてみよう。
今、A地点とB地点を結ぶ鉄道があるとする。自分はこの鉄道の利用者である。路線は2つあって、一つは甲という会社が運営、もう一つは乙とする。

甲という会社は、鉄道の料金が500円だが、乙は200円だ。
すると、多くの人は甲よりも乙の利用をするだろう。でも、乙という会社は、線路の保線工事などに、女子供を異常な低賃金で働かせ、その低料金を達成しているとすれば、どうだろうか?経路にあるトンネル工事でも、やはり同じく食うに困っている立場の弱い人間たちを連れてきては、食べさせてやるから働け、ということで、寝食だけ提供し給料は手数料や食費や家賃として全てピンはねしているとすれば、みんなは乙の線路を利用したいと考えるのだろうか?

乙という会社は、そのような事実をずっと隠して長年やってきたのだ。利用者たちは、ほとんど誰もこのことを知らなかった。それなのに、これをもって「お前らも低料金に飛びついて利用してきたんだから、共犯だ。利用者たちが、過酷な労働を招いたようなものだ」とか言われても、そうした重要な事実を隠蔽してきたのに、どうやって判断することができたろうか?

ましてや、この線路が甲と乙という独占体制ではない場合じゃなく、1社しかない場合だと有無を言わせず利用することになってしまう。利用を回避できない、ということである。あるとすれば、そうした違法行為などを乙という会社が行っていないということを監視するくらいしかないのだ。その監視体制でさえ、ウソで誤魔化されてきたのだとすれば、利用者たちはどうやってそのような違法行為を知るのか?



もう少し例で考えてみる。

A地点とB地点を結ぶ鉄道を乙という1社が運営、経路の途中にトンネル工事が行われたとする。一般利用者たちは、線路のトンネル工事などという専門的なことは分からないので、トンネル検査官に命じて検査させた。すると、検査官は「このトンネル工事は問題ありません、基準にも適合しています」とお墨付きを与えた。
だが、実際には乙という会社が行ったのは、手抜き工事だった。検査官には謝礼を払い、検査合格を認めてもらった。この手抜き工事のお陰で、運賃は低く抑えられて、利用者たちにも恩恵があった。そうした事実はずっと隠蔽されてきた。検査官も鉄道会社も、このトンネルは安全です、と常々言い続けてきた。

しかし、そのトンネルは崩落した。手抜き工事だったからだ。利用者たちは、乙と検査官の癒着体制を批判した。すると、乙はこう言った。
「お前らも低料金の利益を貪ってきたのだから、共犯だ。利権・癒着批判をするのはおかしい」


どうだろうか?

もしもこういう会社があれば、それはおかしいと感じるはずだ。検査官も鉄道会社も重要な情報を隠し続けてきたわけである。利用者たちは、検査官を任命する人間を選ぶことは出来ても、検査官を選べないし、鉄道会社も他の選択はできないのだ。これで、どうやって乙と検査官の隠している情報を知ることができるのか?
トンネルが危険なものであるということを、どうやって判断できたであろう?
危険があるなら、工事のやり直しを命じたはずなのに、乙も検査官も「危険性はないので、その必要はない」と言い続けたのだ。こんなので「お前らも安い運賃で利用して利益享受してきたのだから、同罪だ、共犯だ」とか言われても、ふざけるな、という話だろう。


しかも、独占企業の傲慢体質が身についている乙の会社の職員は、「俺らが働くのを止めれば、鉄道は利用できないが、それでもいいのか」という、強請りまがいのことを言い出すわけである。それは、トップから下の方まで、似たり寄ったり、ということだろうか。

まあ、「サボる」というのはよくある語だが、サボタージュみたいなものだろう。そういうのを防ぐには、独占体制を止めさせることなのだ。
競合会社と競合経路があれば、手抜き工事をしたり、出鱈目な情報を流したり、ウソの説明を繰り返したり、重要な事実や情報を隠蔽したりするような、ロクでもない企業を選択せずとも済むかもしれない。


共犯だの、利権批判するなだのというのが、いかに酷い理屈を並べているのか、というのが、よく分かる。


きちんと正確な情報を出せ、教えろ、と求めても、隠蔽を続けるような会社は、是正措置が必要なのではないか?
検査官と会社がグルで隠し続ける限り、トンネルがどうなっていたのか、他のトンネルが壊れないのかどうか、分かりようがない、ということである。検査官がウソを言っているかどうかを、どのように正確に見分けることができるのか?


「”~批判”批判」の正当性は、疑問にしか思えないのである。




「癒着(利権)批判」批判は自己の立場を正当化したいだけ

2011年05月01日 01時35分57秒 | 社会全般
自分は客観的に物事を見ている、正しく考えられる、みたいな自信の表れかもしれないが、利権や癒着を批判する人々を批判する方々もおられるようである。

全部がダメとも思わないし、一理あるのかもしれない。
が、その物言いには、何一つ共感できないし、説得的とも感じられない。何も言ってないのとほぼ同様だからである。批判者を批判したって、何も出てこないとしか思えないからである。

全く信用できない - dongfang99の日記

(以下、引用部は青字で表記)

 言うまでもないが、もし「利権」「癒着」があったとして(政府の予算がついて回る場所にはどこにもあるに決まっている)*1、今回の事故と因果関係があるかどうかは不明である。完全に競争民営化されていたとして、事故は防げなかった可能性、より深刻化した可能性はいくらでもある。その時は、「市場原理主義的な利益・効率優先の思想が安全性を犠牲にした」という批判が、大合唱で起こるのだろうと思う。要するに、何とでも言えるのである。
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因果関係は不明、というのは、癒着批判者にとっても、それを批判する者にとっても同じでは。何も言ってないのと同じ。それに、
・事故は防げなかった可能性
・より深刻化した可能性
というものを主張するなら、その立論を自ら行うべきである。それをしないなら、自身が述べているように、「”~批判”批判」だって「要するに、何とでも言える」のではないのか。同じじゃないか。

例えば、企業とその会計監査を担当する監査法人(監査人)が癒着している場合、情報は株主や投資家等には一切判りようがない。会計監査は特殊な専門的知識を要し、情報に接することができる人間も限られている。企業を監査すべき監査法人が癒着していれば、部外者である投資家等には、何も分からない、ということだ。このような時、監査法人の癒着を批判せずにいられるのか?
監査法人が監査対象の企業から監査報酬並びにその他個人的利益等を供与されているとして、そうした癒着や利権構造を批判せずに、「会計監査についての不正は防げなかった」とか言えるのだろうか?

東電と保安院の関係が、癒着があったと認定できるかどうかは確信があるわけではないが、監督官庁と東電の関係が上記監査法人と企業との関係に類似しているのであれば、情報が隠蔽されたり非開示となっている限り、一般国民には知りえる機会や判断材料は存在しないというべきである。これを「癒着」と批判して、何が問題だと言うのか。



 だがそれ以上に「利権」「癒着」批判が根本的によくないのは、東電、保安院、原子力安全委員会など、現場の専門家の説明を誰も信じなくなってしまうことにある。現場の専門家が「利権」「癒着」で汚されているという話になれば、たとえ正しいことを言っても、全く信じてもらえなくなる。結果として、人々の間の不信や不安を増幅させ、デマに対する耐性が弱くなり、過剰に危険性を煽る言説が拡散しやすくなり、風評被害や避難住民への差別をより悪化させてしまう。

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別に、利権・癒着批判をするからといって、説明が信頼できなくなるわけではないだろう。根本的には、説明側が必要な情報を隠したり、誤魔化しの説明を繰り返すからそうなるだけではないのか?
もしも会計監査人が「当社は監査企業から利益を受けております、ただし、必要な情報は全て開示します、監査人の倫理規定に従い正当な監査を実施しています」と宣言した場合、その開示された情報について客観性があり信頼に足るものであると判断できれば、「お前ら利益を得ているんだろう、癒着だろ、だからワルだ」といった批判が主流になるとも思われない。

そうではなく、東電や政府・保安院などが情報を隠蔽しているか、ウソの説明―ウソとまでは言わないまでも重要な事実を言わないままに受け手の錯誤を期待するかのような説明をしたりするからこそ、「信頼できない」という評価に繋がるわけで、その由来は「癒着しているからだ」ということになってしまうわけである。
たとえ企業側から利益を得ていようとも、正しい情報提供なり説明なり情報隠しがないという評価があれば、「癒着しているからだ」といった評価には直結しないはずなのである。



個人的には、今回の事故では原子力安全委員会に対する怒りが大きい。保安院や東電はある意味で原発を推進・正当化して「安全性」を強調するのが「仕事」というところもあるが、メンバーの多くが大学に籍を置いている原子力安全委員会は、純粋に科学技術的な見地から危険性を指摘すべき立場にあったはずだからである。原子力安全委員会は東電や保安院に比べても動きがかなり遅く、しかも政府の対応にそれなりの影響を与えているにも関わらず、メディアの露出も多くなく、あまり批判の矢面に立っていない。今回の子ども年間20ミリシーベルという判断も原子力安全委員会によるものだが、さすがに自分もこの場当たり的判断はひどいと言わざるを得ない。原子力安全委員会は、専門家の信頼性を自分たちでどんどんぶち壊しているとしか思えない。

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「”利権・癒着批判”批判」を掲げるこの方は、原子力安全委員会にご立腹のようである。
この人は、監査法人の会計監査人が専門的立場を利用して企業の会計を誤魔化した場合と、どう異なるのか説明できるのだろうか。純粋に会計監査の専門的立場から問題点を指摘すべき立場にあったはずなのが、会計監査人なのではないのか。ならば、監査対象企業と監査人の癒着があれば、どう批判するのだろうか。

一見すると、原子力安全委員会の批判ならば、よくある東電批判とか「利権・癒着批判」と違うので正当化され得るということのようだ。
当該委員会の動きが遅いとか、メディア露出が少ないとか、批判の矢面に立っていないとか、順当そうな批判を並べているのであるが、それは本当に妥当なものなのだろうか。この人は、原子力安全委員会の権限について、どのように捉え評価しているのだろうか。原子力安全委員会は、そんなに強権組織なのだろうか?東電に対して、どういった権限を有しており、行政機関一部としてどのような責任を負っているものと考えているのだろうか。

「怒りが大きい」と評価するほどに、強制力を持つ組織なのか?

つまりは、批判者を批判する、という立場でもって、冷静さとか客観性を持つことをアピールしつつも、本当は理性的でも論理的でもないような批判を掲げていることには、大差ないようにしか思えないわけである。この人の言う、「何とでも言える」ということを、身をもって実践しているようなものだ。
因みに、原子力安全委員会の権限とは、「勧告」ができるだけみたいだが。あくまで「勧告」だ。これがどういうものなのかは、自分で勉強してくれ。


類する意見は、他にもある。

はてなブックマーク - 東京電力叩きに見る、利権を目の敵にする思考の病弊 - 常夏島日記

共通するのは、平たく言えば、他の批判者は病的だが、自分は違う、という確信を抱いているのだろうな、ということである。本当にそうなのか?


正当性を声高に主張する前に、単純に「批判の仕方が気に食わない」ということであるなら、受け入れられたであろうと思う。だが、彼らの物言いは、「他の批判者は病的で不適切で害悪であるが、我らは違う」みたいなものなのだ。だから、こちらもカチンと来るわけである。

利権・癒着批判を批判するなら、まず己の立論を明確にするべきである。
その上で、批判の仕方が気に食わない、批判の手法として不適当である、ということを指摘するべきだ。そして、企業と監査人が情報を隠した場合に、どうやってその問題を解決できるのか、といった、具体的な解決法を提示すべきだ。東電と監督者の場合にも参考にでき得ることだろう。