先週の土曜日に、「12年前の怒りは今も続く」というつぶやきの冒頭、「来週の24日から、テレビのアナウンサーが「みなさん、今日は・」とこんな記念日が始まるそうである」と書いた。
それに従えば、今日「4月25日は平成最後の木曜日」となる。
もっとも特別な行事などは一切ない。
2020年東京五輪までは1年と2ヶ月余りとなり、既に人気種目のチケットの予約受付がが始まったそうである。
なんとか盛り上がりを期待しているのだろうが、「笛吹けども踊らず」が現実であろう。
11年前に、民間事業者等と警視庁・東京都等の行政機関が連携し、「テロ対策東京パートナーシップ推進会議」を発足、「テロを許さない社会づくり」をスローガンに、官民一体となってテロの未然防止やテロ発生時の協働対処体制の強化に向けた各種対策を推進している連中は、「官民を挙げたテロを許さない社会づくり」に余念がない。
しかし彼らがテロから守るのは、その名の通り、五輪開催都市の都民である。
残念ながらいくら都民を守っても、狭い日本では、海の向こうから飛んでくる飛翔体から原発を守ることは困難である。
原子力規制委員会はテロ対策施設として以下の機能を求めている。
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「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、原子炉がある建物から100メートル以上離して建設します。遠隔操作で原子炉を冷やす設備などを備えます。航空機をぶつけるような攻撃を受けても被害を最小限に抑える設計としています。ただ、テロリストに施設の情報が渡らないようにするため詳細は非公開となっています。電力各社は安全性を高めるために必要な工事などに想定以上の時間がかかっているとしています。
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ところが原発保有電力会社は莫大な費用がかかる施設の建設に対しては猶予期間を求めてきた。
しかし、遂に、「テロ対策遅れ、原発停止へ 期限延長認めず 規制委方針」という事態になってきた。
【朝日新聞より】
原子炉等規制法の43条には原発が規制の基準に適合していないときに、「使用の停止」など必要な措置を講じることができると明記されており、この法に従い稼働中の原発を止めることができる。
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<「なんとかなると思ったら大間違いだ」規制委員長 テロ対策遅れの原発認めず>
毎日新聞 2019年4月24日 23時29分
原発の新規制基準でテロ対策拠点として義務づけられている「特定重大事故等対処施設」(特定施設)を巡り、原子力規制委員会は24日、「原子炉の工事計画の認可から5年」とした設置期限の延長を認めないことを決めた。関西電力、四国電力、九州電力の計6原発12基は期限を1~3年ほど超過する見通しで、再稼働済みの5原発9基については施設が完成しなければ運転停止となる。
最も早い九電の川内原発1号機(鹿児島県)は来年3月、同2号機は来年5月に期限を迎える。施設完成後は新規制基準を満たし、再び運転可能となる。
電力各社は今月17日、期限に間に合わないと規制委に表明。規制委は24日の定例会で「自然災害などの理由で遅れたのではない」などと期限を延長しなかった。
記者会見で更田豊志委員長は「差し迫った状況で当局に訴えれば、なんとかなると思ったのだとしたら大間違いだ」と電力各社を批判。「特段理由のない変更はしてはならない」と述べ、期限厳守を強調した。
特定施設はテロなどで原子炉が冷却不能になった場合、遠隔操作で冷却を継続する施設。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、当初は2013年の新規制基準施行から一律で5年以内を期限としていた。
しかし審査の長期化で規制委が15年、期限を変更。原発ごとに「工事計画の認可から5年」に先延ばしされていた。
期限が守れない理由について、電力各社は17日の会合などで「安全性向上の結果、高度で大規模な工事が必要になった。見通しが甘かった」などと陳謝していた。規制委は、期限が守れない場合に原発の運転を停止させる手順などを検討する。
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そもそも原発の稼働寿命は、2011年の福島第一原発の大事故以降、民主党政権により2012年に改正された原子炉等規制法において運転できる期間は運転開始から40年と規定されたにもかかわらず、「原子力規制委員会の認可を受ければ、運転期間を20年を超えない期間で、1回に限り延長できる」となっていた。
これは当時の電力会社の意向を汲んだ窮余の延命政策であったが、そもそも「40年寿命」も、「20年延長」も具体的な根拠は曖昧のまま今日に至っている。
一時は、「世界で最も厳しい規制基準をクリアした原発は順次再稼動させる」という安倍政権のもと、海外にも広く原発セールスを進めたが、ことごとく頓挫し原発の海外輸出は完全に失敗に終わっている。
こんな情勢の中で、規制委員会はなぜテロ対策に向けて厳格な適用に踏み切ったのか。
もちろん、脱原発を叫ぶ多くの国民は大歓迎だが、電力会社の経営に大きく影響することを、なぜ安倍政権は許したのか。
その裏にはやはり、自己保身のための選挙対策が見え隠れする、とこのご仁は深読みしている
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<脱原発に舵を切った安倍首相の野党つぶし>
2019-04-25 天木直人ブログ
突如として発表された原子力規制委員会の「原発テロ対策」の厳格な適用。
これをどう見るか。
私はこれを安倍首相の事実上の脱原発宣言と見た。
つまり、消費税延期(場合によっては消費税減税)についで、脱原発というサプライズを掲げて選挙に打って出るということだ。
消費税増税も原発の継続も、どう考えても無理筋だ。
強行すれば日本は壊滅する。
しかし、ここまで推進してきたのだから、皆が納得する大義名分がないと出来ない。
消費税増税については、リーマンショック級の経済危機という大義名分がある。
ついに、いちの子分である萩生田副幹事長に、「国民をがけっぷちに連れていくわけにはいかない」という名文句を吐かせ、観測気球を上げさせた。
事実上の消費税増税延期宣言だ。
そして、今度の原子力規制委員会による原発テロ対策の厳格適用宣言である。
9・11級のテロが起きても冷却を続けられるように対策を講じなければ再稼働を認めないという。
そのうち、北朝鮮からミサイルを撃ち込まれても耐えられる対策を講じなければ再稼働を認めないと言い出すだろう。
まさしく野党が言う通りの言葉を使って、それに備えがなければ再稼働を認めないと原子力委員会に言わせた。
こんなことを民間企業に要求しても無理なのは承知の上だ。
テロ対策はこれ以上ない大義名分である。
事実上、原発はもはや無理だと宣言したのだ。
最近の安倍首相を見ていると、延命をすべてに最優先しているかのようだ。
どんなに選挙情勢が厳しくても、次の国政選挙は負けられない。
そのためには、嘘でも、豹変でも、外交パフォーマンスでも、何でもやる。
野党の主張を先取りして野党の攻撃をかわす。
ただでさえうまく行きそうもない野党共闘だ。
これではますます勝てない。
究極の野党つぶしだ。
はたして野党共闘に、なりふり構わない安倍首相を迎え撃つ対抗策はあるのだろうか。
ある。
それは外交・安保政策である。
憲法9条を掲げて対米従属からの自立を訴えるのだ。
アジアとの共存共栄を訴えるのだ。
それこそが、戦後70年余の政治の最大の争点だ。
安倍いかさま外交を争点にしなければ野党に勝ち目はない
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その「いかさま外交」中の安倍晋三は、中国では、「安倍政権、対中で『硬と軟』」
【毎日新聞より】
であり、欧州と米国ではもっと悲惨なことが待っているという。
この記事に対してはこんなコメントがあった。安倍首相【平成ラストの欧米歴訪で総崩れ】ドン底から始まるボロボロ令和外交 支持率急落トランプにフルボッコ ロシアとの北方領土交渉は頓挫し、北の拉致問題は1ミリも進展ナシ。韓国とは徴用工問題などで互いが罵り合う〝史上最悪の関係〟と、今や安倍外交は総崩れ(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/c5y0FrSxWS
— KK (@Trapelus) 2019年4月24日
「安倍晋三は次の選挙に勝つことによって自分が延命することしか眼中にない。だから日本をいくら売り渡してもなんとも思わない。そして、実際には実行しないくせに、野党の消費税減税やテロ対策に名を借りた脱原発のコピペまでやってる。いくら日本国民にとってマイナスの外交、内政を行っても、アメリカ政府に自分は守ってもらえると盲信しているので、売国、嘘つき、糞といくら汚く形容されようが、へっちゃらなのだ。」
対する野党はどうなのか。
「萩生田発言で野党結束『反転攻勢にいく』立民 辻元国対委員長」
この「反転攻勢」に対しては、「いままで防戦だったのか?」という声や、「野党結束、豆腐作戦」に対しては、「豆腐の角に頭ぶつけて…の世界だな。野党は豆腐のように固まって、自民党にぶつかってグチャグチャになるわけか」とまさにネトウヨに格好の餌をまいてしまった。
「流動化していた豆乳に『にがり』が入り、野党が結束し、固まったような状況」になるのなら、沖縄県の辺野古新基地建設予定地の中には、深い軟弱基盤があり、「豆腐かマネヨーズ」のようであると指摘されているが、「にがりを入れれば固まってしまうのでは」と反論されてしまうのでは、とオジサンは思う。