新・定年オジサンのつぶやき

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ウクライナ訪問でG7と足並みが揃ったのだが、その後は五里霧中の岸田文雄

2023年03月27日 12時16分28秒 | 岸田文雄外交

先日、ツイッターで話題になった岸田文雄がセレンスキー大統領に贈ったとされる地元産の「必勝しゃもじ」。
  


 
この「必勝しゃもじ」のおかげで、「バレバレ・極秘・電撃訪問」に対する一切の雑音を取っ払った岸田文雄はさすがである。
 
日刊スポーツの社会/地域情報部記者がこの件についてこんな風にまとめてくれていた。
 
岸田首相の「鬼門」おみやげ問題 センスが問われる首脳への贈呈品、似顔絵や書贈ったケースも
 
岸田文雄首相と「おみやげ」。この2つのキーワードが再び、結び付き合うことになるとは思わなかった。今年1月に長男の翔太郎秘書官の外国訪問同行時の「おみやげ選び」で批判された岸田首相。3月21日に電撃的に行ったウクライナ訪問で、ゼレンスキー大統領に渡した手みやげ「必勝しゃもじ」の妥当性をめぐり、賛否が割れている。
G7の国の首脳としては最後のウクライナ訪問。ウクライナと日本の距離的な側面、「首相動静」で一挙手一投足がウオッチされる立場を考えると、しんがりになったのは致し方ない側面もあった。今年は日本がサミット議長国で、サミット前には必ず訪問を実現させなければならないと、並々ならぬ意欲と、強い焦りも持っていたようだ。
約4年8カ月外相を務め、「外交の岸田」を自負するだけに、外交の舞台で自らの失点になるようなことは、許されないとの思いもあったはずだ。自民党関係者は「大きなリスクも伴う行動だったが、首相の決断がすべてだった」と話す。危機管理や情報管理での対応を疑問視する声は根強いが、訪問じたいを批判する声はほとんどない。そんな中で訪問内容とは別に、クローズアップされたのが冒頭のおみやげ問題だった。
戦時下にある国、戦闘を行う態勢で必ずしも侵攻国ロシアに勝っているわけではないウクライナに、「必勝しゃもじ」を渡すことの是非。日本が勝利した日露戦争のころ、戦地に赴く人が厳島神社にしゃもじを奉納したという由来や、しゃもじでごはんを「飯取る」行為と、敵を「召し捕る」と語呂合わせから、勝利祈願の縁起物となった背景を伝えれば、相手は理解するだろう。日本のウクライナ大使館は24日、ツイッターで「必勝!」とつぶやいた。一方で、ロシアを刺激しかねないセレクトではないかとする声も聞いた。
スポーツや選挙での「必勝」と戦争での「必勝」が同じなのか。この点への違和感が、賛否が割れた一因のように感じる。首相自身は、贈った意味について国会では言及を避けた。「ウクライナの方は、祖国や自由を守るために戦っている。こうした努力に敬意を表したいし、ウクライナ支援をしっかり行っていきたい」とだけ語った。
首脳同士の外交の舞台で相手におみやげを贈るのは、慣習だ。かつて外交に携わった人に取材すると、おみやげ選びは、まずは相手首脳の好みのリサーチが鍵を握るそうだ。時の首相の考えもあるが、相手が喜びそうなもの、日本を紹介する上で的確なもの、伝統工芸品、日本の技術をアピールできる製品などが候補になるようだ。価格は必ずしも高価ではないとされるが、安倍晋三首相は米大統領選を勝ったばかりのトランプ氏に、共通の趣味であるゴルフにちなんで50万円を超える「本間ゴルフ」の最高級ドライバーを贈り、一気に距離を縮めた。安倍氏は2017年、柔道家でもあるロシアのプーチン大統領との会談で、嘉納治五郎の書を送ったこともある。
また小泉純一郎首相は、2002年2月に来日した米国のブッシュ大統領に、イラストレーター山藤章二さんに依頼した、流鏑馬(やぶさめ)の矢を放つブッシュ氏の似顔絵を贈った。当時、同時多発テロを受けた対応に追われていたブッシュ氏は、「私たちは悪と戦う」などと応じ、喜んだとされる。
いちばん重視されるのは「センス」。さらには「物語性」だという。今回のゼレンスキー大統領のように、初めて会う人には特に、なぜこれを贈るのかという意味合いがさらに問われるという。
そんな中での「必勝しゃもじ」だった。首相は「必勝しゃもじ」と一緒に、地元の焼き物でつくった折り鶴のランプも贈った。必勝と平和への祈念を象徴する2つの品で、バランスを取ったのかもしれないが。
岸田首相は、インド、ウクライナ訪問前に地元の広島で開いた会合で、広島サミットのロゴを使ったまんじゅうやペンを自分の支援者に配り、外務省が定めたロゴの使用目的ルールに反すると批判も受けている。「おみやげ」は首相にとって、すっかり「鬼門」(永田町関係者)となってしまった。

 
ところで、「5月に開催されるG7サミットは日本が議長国として主催することになるが、開催にあたっては欧州の立場を理解しておくことが重要となる。G7には7カ国の首脳に加えてEU首脳(欧州委員会委員長と欧州理事会議長)も参加しており、彼らを含めると首脳9人のうち6人は欧州からの指導者だからである。」
「EUはあるべき国際秩序観についての指導者の結束の乱れや欧州市民のロシア・ウクライナ戦争への関心の低下といった脆さも抱えている。本稿では、そうしたEUのウクライナ支援における光と陰の両方を踏まえたうえで、EUの今後の舵取りのあり方について考えてみたい。」
と、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)/地経学研究所 研究員補の石川雄介の記事を紹介しておく。
 
『EUの「ウクライナ支援』継続に立ちはだかる課題
     
■ウクライナ支援の継続とその理由
昨年2月24日、ロシアはウクライナに対して侵略戦争を開始した。この「違法でいわれのない侵略」に対してEUは直後からロシアを非難し矢継ぎ早に制裁を実施するとともに、ウクライナへの支援も継続的に行ってきた。
また、EUとEU加盟国をあわせて18億ユーロの人道援助、緊急支援、危機対応支援を実施した。武器の調達についても金銭面で総額36億ユーロの支援を行った。これまでウクライナ支援を牽引してきたイギリスに加えて、このようにEUおよびEU加盟国の立場が、今後の国際社会によるウクライナ支援、さらにはロシア・ウクライナ戦争の今後の趨勢を大きく左右するといえるだろう。
対ロ制裁や巨額の支出がもたらすEUおよび加盟国各国の負担は、決して小さいものではない。はたして、これからもEUとEU加盟国は継続的な支援を続けることができるのだろうか。それを考えるうえで慶應義塾大学の鶴岡路人准教授は、『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)において、「情」と「理」がウクライナ支援の継続を左右すると指摘する。
ロシアによるウクライナでの残虐な行為を目の当たりにして支援をしなければいけないという「情」と、ウクライナへの侵略を今ここで止めなければEU加盟国へ侵略されるという、より大きなコストを払う危険性が生じるという「理」の2つの側面を考慮に入れることが重要だ。
■支援策に対する不満の蓄積?
戦争開始から1年が経過した現在でもEUおよびEU加盟国によるウクライナへの支援は継続しており、さらにいくつかの側面ではむしろ支援は強化されている。しかし、その一方で、戦争が長期化する中で、欧州におけるウクライナ支援への不満も一部で溜まり、EUにおいて揺らぎが生じていることにも目を向ける必要がある。
その中でも注目すべき動向として、ハンガリーによるEUの対ロ制裁とウクライナ支援策への不満の表明が指摘できる。2月に行われた年頭演説において、ハンガリーのオルバーン首相は「制裁はハンガリー国民の懐から4兆フォリントを奪い取った」と言い放ち、その不満を表明した。
EUに対してこれまでしばしば批判を繰り返してきたオルバーン首相のこのような反発は、戦争開始直後から少なからずみられたものである。また、ハンガリー経済のEUへの依存度の高さを考慮すれば、その批判の実態はウクライナ支援において自国に有利な条件を引き出すための交渉材料として利用するに留まり、EUによる追加的な対ロ制裁やウクライナへの支援に関する決議は、実際にはこれまで継続的に採択されてきた。
オルバーン首相がEUの方針に対して対決的な姿勢を示す一方で、昨年5月にハンガリー大統領に就任したノヴァーク・カタリン大統領は、権限は限られてはいるもののロシアの侵略を公然と批判し、ウクライナのEU加盟を支持している。オルバーン政権としてのEUによる対ロ制裁やウクライナ支援に対する否定的な姿勢に変わりはないが、EUに対して一定の配慮をしているようにもみえる。
他方で、ハンガリーのこうした言動の背後には、世界観を巡る重要な問題を孕んでいることにも留意しなければならない。すでに触れた年頭演説において、オルバーン首相は「ウクライナの戦争は、善と悪の軍隊の間の戦争ではない」「われわれは友を作り続けたいのであり、敵を作ることは望んでいない」と述べた。自国の目先の利益を最優先に置いたオルバーン首相の「親ハンガリー」(ハンガリー・ファースト)の考えによる発言であろうが、それは明らかにEUが示す世界観とは異なるものである。
ロシアは、国際社会が戦後築き上げてきた国際法や国際的規範に基づいた国際秩序を崩そうとしている。それゆえ、ロシア・ウクライナ戦争はこれまでの他の戦争と比べても、善悪が極めて明確な戦争である。また、「法の支配による秩序」から「力による秩序」へ国際秩序が変わってしまうことについては、欧州の中小国にとっては歓迎すべきことではない。それにもかかわらず、EU加盟国の中でロシアの侵略に対して、まるで「黙認」するかのような発言をする指導者がいることは、懸念すべき問題だ。
■市民の戦争への関心低下も
加えて、侵略側のロシアと侵略されたウクライナの双方の条件が折り合わず戦争終結の見込みが見えない中で、欧州市民の戦争に関する関心の薄れとそれに伴うウクライナ支援の気運の低下も、今後深刻な問題となるであろう。
市民の関心低下を示す傾向は徐々に現れ始めており、例えば、仏調査会社IPSOSが昨年11月末から12月上旬にかけて28カ国(うちEU加盟国は9カ国)を対象に実施した調査によると、「ロシアのウクライナ侵攻に関するニュースを詳細に追っている」と回答した人の割合が、ドイツとフランスでそれぞれ5%減少、ポーランドも2%減少と各地で減少傾向がみられた(世界28カ国では2%減少)。世論の関心低下が指摘されて久しいグローバルサウスのみならず、欧州でも減少傾向がみられることは注目に値する。
また、欧州各国が受け入れを行ってきたウクライナ難民への支援についても、全EU加盟国を対象としたユーロバロメータ調査の結果では、「戦争から逃れてきた人々をEUに迎え入れる」という主張に賛成した回答を合わせた数値は88%であった。依然として高い数値ではあるが微減(-2%)という結果になっている。
これらの結果は、直接の影響を受けていない国々の国民の間ではウクライナでの戦争を自分事ととらえて積極的に支援する意識が少しずつ薄れていることを示唆している。
しかし、欧州市民の関心の低下や疲労感の蓄積は、EUからのウクライナ支援のテンポや追加制裁の発動が遅くなり規模の拡大を妨げる一因となりかねない。ゼレンスキー大統領は昨年6月、フランスのカンヌ映画祭におけるオンライン演説にてこのように強調した。
「戦争の終結と国際情勢は、世界が注目してくれるかどうかにかかっている」
■求められる「丁寧」かつ「大胆」な政策決定と共同声明
このように、ロシア・ウクライナ戦争における欧州としての結束と、その結束の脆さと、その双方が、国家間のレベルでも、市民のレベルでも存在することに目を向けねばならない。国家間レベルで言えば、すでに見たような世界観についての認識に揺らぎが見られる。また、市民レベルで言えば、戦争への関心低下と疲労感の蓄積が、今後の結束のほころびとなるかもしれない。脆さを抱えながらも、今後も対ロシア制裁を続け、ウクライナ支援を続けることについて、EUとEU加盟国がどのような方向性を示していくか、注目していく必要がある。
EUのリスボン条約の第2条・3条に記載されているとおり、「民主主義」や「法の支配」といったEUの中核的な価値、そして平和を推進することにかけるEUの思いは強い。しかし、価値観や理念を振りかざすことに対しては、ハンガリーをはじめとした国々の反発を招きかねない。それぞれの立場や価値観に耳を傾けながら、ルールに基づく国際秩序をともに構築していくべく対話を続け、ウクライナ侵略の長期的なコスト(「理」)についての認識を丁寧にすり合わせていくことが重要である。
ウクライナへの支援をより強固なものにするために、ウクライナ支援に対する結束を示し、支援の必要性を欧州市民の「情」に訴え続けることも重要となってくる。5月に開催される広島G7サミットを始めとして、EUおよびEU加盟国が関わる声明・宣言においてどの程度強い言葉でロシアを非難し、具体的なウクライナへの支援を打ち出し続けるかが改めて問われている。つねにインパクトのある新しいメッセージを出し対策を打ち出し続けなければ、世論の関心は少しずつ離れていく可能性が高くなってしまうからである。
ウクライナ戦争が長期化する中、EUには「丁寧」かつ「大胆」なかじ取りが求められている。

 
EU諸国と比べれば日本はウクライナから最も離れた国であり、ロシアやウクライナと国境を接することがなく、日本国内ではウクライナでの戦争を「自分事」ととらえて積極的に支援する意識は当初から薄かったことは事実である。
 
しかしEU諸国の中にも積極的に支援する意識が少しずつ薄れていることが調査結果で数値として明らかになっているという。
 
ハンガリーのようにロシアに対する制裁により国家的な大きな損失を被ることがなかったことから「他人事」でもあった。
 
それは岸田文雄がゼレンスキー大統領に無邪気に「必勝しゃもじ」を贈ったことに如実に表れているといえよう。
 
ウクライナとしては「同情するなら武器をくれ!」が本音であろう。
 
慶應義塾大学の鶴岡路人准教授の指摘するように、ロシアによるウクライナでの残虐な行為を目の当たりにして支援をしなければいけないという「情」と、ウクライナへの侵略を今ここで止めなければEU加盟国へ侵略されるという、より大きなコストを払う危険性が生じるという「理」の2つの側面を、日本の岸田文雄がG7に参加する各国の首脳のうち6人が「自分事」と感じている 欧州からの指導者であり、米国への従属感が強い岸田文雄がどこまでEU首脳たちを満足させるインパクトのある新しいメッセージを引き出すことが事ができるのか、その結果が岸田文雄の今後の去就に大きく影響するのではないだろうか、とオジサンは思う。  
  
【参考】    
 
 
 

 
 

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