一般には「ステルス」という言葉は、隠密性やひそかな行動を意味する英単語で普通の会話などでは使われず、日本人が最初に耳にしたのはレーダーに検出されにくい「ステルス戦闘機」だったのかもしれない。
そして「ステルス」という形容詞がつけば決してこ好ましいことではないことが容易に想像がつく。
「子育て支援金は『消費税0.8%分』のステルス増税だ!現役世代は政府のATMじゃない」
こども家庭庁が4月9日に公表した、子育て支援金制度の年収別徴収額(試算)が話題です。試算によると年収600万円なら1000円、年収800万円は月1350円、年収1000万円は月1650円を徴収するとのこと。しかし、残念ながらこの制度、「消費税0.8%分のステルス増税」と言えるのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) ■国民の負担増?「子育て支援金」試算案で物議 岸田政権の掲げる異次元の少子化対策の中核といえる子育て支援金制度について、こども家庭庁が発表した財源の試算案が「結構、国民の負担が多くなるね」ということで物議をかもしています。 子育て支援金制度とは国が子育て世代に手厚い支援をする制度です。その財源が税金だけではまかなえないため、新たに国民全体から広く徴収することになり、その負担についての試算案が公表されたというのが今回のニュースです。 「異次元の」というほどお金をかけて少子化対策を実施する覚悟をみせた一方で、実現には財源が足りなかった政策です。 そしてふたを開けてみたら、やはり1兆円分の財源は国民による負担という話になってきました。これまで「全体として実質的に負担は生じない」と言ってきた話はやはり絵に描いた餅で、「負担はワンコイン」と後出しで出てきた情報も、実はワンコインでは済まない構図に変わってきたわけです。 先に読者の皆さんがイメージできるようにざっくりと全体像を説明します。 子育て世帯は厚生労働省の直近の調査によれば全世帯の18.3%です。シンプルにモデル化して説明すれば約2割。その子育て世帯の支援金の財源を10割の世帯(=子育て世帯を含む全世帯)から徴収する仕組みだと理解することができます。 ですから月500円のワンコインなら子育て世帯に使える財源は月2500円になりますし、月2000円を徴収すれば月1万円が活用可能になります。 それで今、世間がざわついているのはどうも試算結果を見ると負担レベルは後者なのではないかという話なのです。 ■「労使が折半して負担」の条件で賃上げに悪影響の可能性も 日本の一世帯あたりの平均所得は545万円ですが、労働者の大半が属する高齢者世帯以外の世帯の場合は665万円です。 子育て支援金の試算によると年収600万円の人の2028年度の負担額が月1000円となっています。 仮に夫婦共働きだとして片方が年収400万円、もう片方が年収200万円で世帯合計が600万円の場合も同じで、ふたり合計で月1000円の徴収になります。 そしてここが一番あやしいところなのですが、その試算は会社員や公務員が入っている健康保険から徴収するとされていて「労使が折半して負担」とも表現されています。 会社員が入る被用者健康保険では給与明細に入っている健康保険料は実は半分の金額で、残り半分は会社が負担しています。 ですから労働者が負担する月1000円とは別に、雇用者も1000円負担するようにも読めるのです。雇用者が1000円負担するといってもそれはもともと人件費の一部ですから、負担が増える分は賃金上昇を抑える方向に力学が働きます。 つまり、制度上は折半して負担でも、実質は労働者が負担することになるのです。 加藤鮎子こども政策相は記者会見で「機械的に計算した数字だ。正確なものではないが、議論の役に立てていただきたい」とおっしゃっているので、今後議論をしていく中で、平均的な所得の世帯の負担額が月1000円なのか、それとも実際は会社があと1000円負担して実質的に月2000円なのかがつまびらかになっていくことと思われます。 ■「月2000円負担」が既成事実化する可能性も それでこういった議論に騙されないようにするために重要な視点が「結局は2割の子育て世帯の支援財源を10割の世帯が負担するのだ」という全体像の理解です。 月1万円レベルの支援を国が考えているのであれば、わたしたち国民から広く徴収する負担分は当然月2000円になります。 さらにいえば、今回の子育て支援金は「これまで支援が薄かった0歳から2歳までの子どもを重点的に支援する」という議論があります。 仮に試算として3歳から18歳までをゼロで計算すれば対象世帯は6分の1、支援は全子育て世帯にまんべんなくする場合と比較して6倍給付できます。つまり月2000円の徴収で月6万円分の支援財源を確保できます。 この月6万円という金額は、公表されている少子化対策の施策と近い数字です。 もともと政府は制度の使い道を4つに絞ると説明しています。妊産婦への10万円支給、育児休業給付の引上げ、こども誰でも通園制度、児童手当の拡充がその4つです。 対象世帯が受けるサービスは月1万円では足りない施策ですから、こうやって給付対象の子育て世帯の数を絞るつもりなのだなと捉えるとだんだん数字の辻褄があってきます。 このように政府がどんな使い道を想定しているのかをチェックすれば、月500円なのか月2000円なのか、政府はどちらを想定しているのかが推定可能なわけです。 子育て支援金制度はこの後、国会での審議が本格化していきます。 野党が頑張ってくれて元のワンコインに戻る可能性もないとはいえませんが、こういった制度は常に膨張する性質があります。 最終的には月2000円負担が既成事実化していく流れができていく未来を予測するのが妥当な線でしょう。 ■子育て支援金は消費税0.8%分のステルス増税だ それにしても現役世代はすっかり政府のATMとなり果てています。新制度に怒りをぶつける際に重要なのは「搾取の全体像」を把握することです。 そもそも消費税が10%に引き上げられた背景は、福祉財源を確保するためのはずでした。福祉財源から子育て支援を行えばいいだけの話ですが、それでは足りないからあと2000円というのが今回の話です。 しかし、私が一番問題だと思うのは今回、不足財源を増税しなかったことです。 国民や企業が所得の中からどれだけ税金や社会保険料を払っているかを示す国民負担率は直近では47.5%まで上がっています。Xでは「五公五民」がトレンドワードになりました。 年収600万円の世帯が五公五民で消費できるのは約300万円。“月2000円”の場合、年間2万4000円の追加負担が発生します。これは自由に消費できるはずの300万円のうち0.8%を占めます。 つまり、月2000円の負担増は生活者の目線では消費税が0.8%上がったのと同じです。 でも「消費税を上げる」というと選挙で負けるから、別の財布から搾取すると国が言っているのです。 皆さんが払う年金はそのまま高齢者の年金に流用されますし、健康保険料も構造は同じです。そこに介護保険料も加わっているというのが皆さんの実態です。 「健康保険や介護保険はいつか自分に戻ってくるから税金ではなく保険なのだ」というのは理屈です。 しかし、「子育て支援金の恩恵が自分に戻ってこない場合、保険にならないのではないか?」と疑問がわくわけです。 なぜ、健康保険から徴収するのでしょう?結局のところ子育て支援について国がやろうとしているのは消費税0.8%分のステルス増税です。 選挙で「自民党と公明党は4万円の減税をしました」と言いたいという理由が透けてみえます。馬鹿な国民は騙せるとでも思っているのでしょうか。 「五公五民」がトレンドワードになったのは、江戸時代の四公六民よりも令和の暮らしが厳しいという意味です。そもそも江戸時代では不作で年貢が五公五民に陥ると一揆がおきたものです。 現代の民主主義では一揆に代わるものは政権交代ですが、それがどうにも起きそうにもない。また一段と寒い時代が訪れたのだと私は思います。 |
まさに国民は「朝三暮四」のサルのごとく扱われているということであろう。
蛇足的にいえば、官製春闘による「賃上げ」や6月以降の「減税」処置の恩恵を受けない高齢の年金生活者にはもっと悲惨な「寒い時代」になることは確かである。
さて、内閣支持率の下落が止まらない岸田文雄政権なのだが、国内ではもはや支持率上昇の道は当分は見つかりそうもない。
昔から国内問題で不評を買った内閣は国民の関心を外に向けるため積極的に「外交」を繰り返すことに余念がなかった。
「地球を俯瞰的に云々」と豪語していた安倍晋三は莫大な金を海外でバラマキ大いに歓迎されそれを自分の手柄にしたものであった。
やはり岸田文雄も国民の関心を外に向けるための策略をしていたのか。
「岸田総理「電撃訪朝」では解決できぬ北朝鮮拉致問題の裏事情。横田めぐみさん安否で新たな動きも(有田芳生氏)」
■岸田総理「電撃訪朝」説の出処 岸田総理が北朝鮮の平壌を電撃訪問するかもしれない。そんな情報が駆け巡ったのは3月初旬のことだ。 「3月後半に日程を入れないで欲しい」と岸田総理が事務方に依頼したからである。 政治部記者などが緊迫したのは、昨年から日朝交渉の動きがあったからだ。2023年3月と5月に拉致対策本部の幹部が東南アジアの都市で北朝鮮関係者と秘密接触を行っていた。 日本側は岸田総理の訪朝と金正恩総書記との会談を実現するために、「総理直轄のハイレベル協議」を北朝鮮側に提案していた。岸田総理が2023年5月23日の拉致問題解決を求める国民集会で、北朝鮮側と接触していることを秘して、日本政府の方針を語ったのは、そんな伏線があった。 北朝鮮側はその2日後にパク・サンギル外務次官が声明を出した。この反応の早さは水面下接触の「成果」だった。 日本のメディアは声明にある「朝日両国が互いに会えない理由がない」という部分だけを過大に評価し、日朝首脳会談への期待を報じた。 しかし、その前段には「大局的姿勢で新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら」とある。しかもコメントの最後はこう締められている。「日本は、言葉ではなく実践の行動で問題解決の意思を示さなければならない」。 日本側にボールは投げられたのだ。 ■北朝鮮が見透かす、岸田総理の皮算用 それから約7か月後、2024年1月1日に能登半島で大地震が起きた。1月5日、金正恩総書記が岸田総理を「閣下」と表現してお見舞い電報を送った。きわめて異例のことだ。 さらに2月15日には金与正朝鮮労働党副部長が談話を発表、「拉致問題は解決済み」と従来の主張を繰り返し、拉致を障害にしないなら岸田総理の訪朝もありうるとした。 「個人的な所見」とされたが、北朝鮮の国家体制でそんなことがありえるはずもなく、そこには金正恩総書記の同意があったと見なければならない。 16日には林官房長官が北朝鮮の談話に留意するとした。北朝鮮側からの揺さぶりはさらに続く。 3月25日には再び金与正談話が出た。核心部分は2月15日談話を踏襲したものだが、注目するのは「最近も岸田首相が他の異なるルートを通じて可能な限り早いうちに」金正恩総書記に会いたいと伝えてきたとある。これまでの拉致対ルートではなく、外務省が動いたのだろう。 談話は「日本の実際の政治的決断」を促し、「単に首脳会談に乗り出すという心構え」を批判した。岸田総理が国内政治に日朝交渉を利用せんとしていることを見抜いているのだ。 それに対して林官房長官は25日の記者会見で「拉致問題が解決されたとの主張は全く受け入れられない」と答えた。 ここから北朝鮮側の異例な対応がはじまる。 26日に金与正副部長が再び談話を発表、「前提条件なしの日朝首脳会談」を北朝鮮側に要請してきたのは日本であることを強調し、こう結んだ。 「わが政府は、日本の態度を今いちど明白に把握したし、したがって結論は、日本側とのいかなる接触も、交渉も無視し、それを拒否するということである。朝日首脳会談は、われわれにとって関心事ではない」。 日朝間の異例な応酬。いま何が起きているのか 3月27日には林官房長官が記者会見で、これまでの発言を変化させ、「諸懸案の解決への政府方針はこれまで説明したとおりだ」と語った。 日本政府に対してさらに追い討ちがかけられる。28日に李龍男中国滞在朝鮮大使は、日本の北京大使館が北朝鮮大使館参事にEメールで接触を求めてきたことを明らかにし、北朝鮮政府は日本側の「いかなるレベルでも会うことはない」と談話を出した。 北朝鮮側の対応は終わらなかった。29日には崔善姫外相が、「われわれは、日本がいう、いわゆる『拉致問題』に関連して、解決してあげることもなければ、努力する義務もなく、またそのような意思も全くない」とし、「対話はわれわれの関心事ではなく」「日本のいかなる接触の試みも許さないであろう」とする談話を出した。 この一連の応酬をどう解釈すればいいだろうか。 ■北朝鮮内部の動きに振り回された日本 (1)まず日朝交渉について金正恩総書記が関心を持ったということである。日米韓が北朝鮮の核・ミサイル問題で厳しい対応をとっている国際的枠組みのなかで、日本だけが「条件なしの首脳会談」を打ち出し、その限りにおいてはアメリカ政府も反対していない。 岸田政権の低い支持率について金与正談話が触れていたように、日本側の弱みを利用したことは間違いない。 (2)しかし不可解なのは北朝鮮側の談話に対して、日本政府が「拉致問題は解決していない」とコメントするのは当たり前で、それに強く反発したことがおかしい。識者のなかに水面下の接触で日本政府側が提案していたことと異なる見解を官房長官が語ったために反発したと見る者がいる。うがった見方でそれはない。 (3)真相は北朝鮮政府内部で、金与正談話が踏み込みすぎたことへの反発があったようだ。そもそも2018年以降、北朝鮮政府に日本問題を担当できる体制はできていない。金与正副部長も、日本問題で談話を出せる立場にもない。これまでの北朝鮮の権力構造でいえば「越権行為」なのだ。 3月28日に北京の北朝鮮大使が、29日に外相が唐突に談話を出したことは責任逃れの対応だったのではないか。北朝鮮内部の動きに日本政府が振り回されたのだ。 |
2国間の水面下の交渉ならば決して担当者は真実を語ることはないのだが、北朝鮮訪問に関しては、岸田文雄は訪米の際バイデン大統領の「了解」をとったらしい。
「【政界地獄耳】日米首脳会談で了解得た? 急浮上した首相・岸田文雄の訪朝計画」というコラム記事によれば、
日米首脳からの言葉は少ないが、北朝鮮問題が議題に上ったどころか、双方の情報交換とともに、首相の訪朝の了解を得たのではないかとの見方がある。「日米首脳にとっては(前大統領の)トランプが出しゃばってくる前に日朝関係を前進させることは日米の利害の一致するところ。日本は拉致問題の大きな前進を図りたい考えだろう。ロシアと蜜月な北朝鮮に対して不快感を持つ中国も、今なら乗りやすい」(外交筋)。国内では6月会期末解散説が飛び交うが、訪朝という政治日程が急浮上したとみるべきだ。 |
という見方があるらしい。
これが実現すれば今回の岸田文雄の最大の訪米土産になるのだろうが、日米だけではなく、ロシアや中国の思惑も絡むとなれば一筋縄で事が進むとは容易には考えられないだろうう、とオジサンは思う、