こんな事実がある。
あまりにひどいので、隈研吾氏の最大の公共建築 国立競技場について調査を行いました。すると、屋根の木材がすでに黒ずんで傷んでいることを発見(写真右)。えっ、まだできて5年たってないですよね?
— ミド建築・都市観測所 (@Mid_observatory) September 11, 2024
建設費1569億円、維持費で毎年10億円の赤字。さらにすぐ修繕となったら、国民はたまりませんよ。 https://t.co/gy5yW2mLXG pic.twitter.com/A7i75tDlSZ
これは木造建築物の宿命であり、世界的な隈研吾の作品もあちらこちらでこんな問題を起こしている。
それにも関わらず、阿保な世間知らずの関西万博推進者たちは木造の大屋根リングを誇らしげにしていたのだ。
「万博の大屋根リング護岸が浸食被害 海水注入後に強風影響か」
大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は10日、大屋根「リング」が海水と接している部分の護岸計1・1キロのうち600メートルで、浸食被害を確認したと明らかにした。2月に海水の注入を始めたばかりで、強風による波などでえぐられたとみられる。リングの安全性に影響はないが、護岸を砕石で覆って保護するなどの対策を検討する。 浸食被害は2カ所で見つかった。会場南側の「ウオータープラザ」と呼ばれるエリアのリング内側の護岸約500メートルのうち東側約120メートルと、「つながりの海」と名付けられたエリアのリング外側の護岸約600メートルのうち西側約480メートル。いずれの護岸も水面から2メートルの高さまでほぼ土を盛っただけの構造で、水際の土がえぐり取られていた。 協会によると、両エリアでは2月中旬から海水の注入を開始。注入後は強い西風が吹き、東に向かって強い波が打ち付けていたという。また、ウオータープラザではイベント準備のため先に注入を始めたが、つながりの海と計画以上に水位差ができて外向きの水流が生まれ、浸食が広がったとみられる。【鈴木拓也】 |
●これは、リングだけでしょうか。急ぎで作った他の建造物は大丈夫かな。 総重量90トンの石をぶら下げた休息所でくつろぐ人はいないだろう。 残念石付近に近寄らない方が良い。夏場は地中のガスも活発化するので何が起こるかわからない。とても子供たちが行くところではない。 ●35年前に鶴見緑地で開催された花博の中で働いていました。コンセプトもハッキリしていて各パビリオンも凄く盛況で前売り券も爆売れしていました。毎日混雑して行った方は2度3度と行かれた方やパスポート買われた方が私の知り合いにも何人かおられました。工事もギリギリまで行われましたが、今回のように間に合わないかもみたいな事はなかった。アクセスも今回ほど悪くなく閉会まで盛況でした。しかし、今回の万博のようにコンセプトがハッキリしない、招待した国が出店をキャンセルする、各国の意気込みも全く報じられれず本当にカジノ作る為に高速道路や地下鉄を作って環境を整えるための序曲だと思う。わくわく感も全く伝わって来ない万博。関心も無いし行かない。税金の無駄使い。 ●何から何まで、国の万博担当者や責任者の無計画さに腹が立ちます。 国民から非常に多くの税金を奪い、生活を苦しめ、誰のためかも全く分からない「万博」を強行。潤っているのはごく一部の「関係者」だけ。 このニュースの投票では90%の方が万博に期待できないと感じています。 そして適当な計画と適当な予算組みで、結果コストは倍増。始まる前から修繕工事…。こんなリング、海外の方も怖くなってしまうのではないでしょうか。 今も随時発生している追加工事、修繕工事。当然やると決めた方々や潤った方々でお支払いされるんですよね?まさか「こうなっちゃったんだから、しょうがないよね」と血税を充てていませんよね?高額医療が必要な人の命を奪ってまで。 こんなことが正しいと感じる人達が国民の命を左右しているなんて信じられません。 ●侵蝕の程度によるが心配だ。ウォーターエリアはリング下が護岸になっており、内側のウォータープラザとつながりの海を隔てている。つながりの海なのにつながっていない皮肉な構造だ。護岸になっているリング下部分は会場内バス(トラム)の通り道になっている。しかし海水の浸透で護岸部分が緩くなっているとすればトラムの通行に支障が出る(ここを通れないと東ゲートと西ゲートを結べない)だけでなく、最悪、上層のリングの安定性にも影響してくる。 開幕日の1万人の第九、当初はリングの上に合唱団が上って歌う話だったのがどうやらリングを使うのは止めたらしい。声の通りの問題かも知れないが、大人数がリングの特定個所に上ることに関して安全性の疑問があるのかも。そもそもつながりの海などと称して海水を入れるのが賢明だったのか。協会のことだからいつものように詳細については説明しないのでは。 ●散々言われてる万博だけどチケットも入手したし、そろそろ行く日を予約しようと思っていて、先日下見も兼ねて子供と夢洲駅まで行ってみた。駅はとてもシンプルですぐ壊す前提で作られてる?ゲートも高速料金所みたいな作りで突貫工事?って思ってしまった。何も知らないはずの4歳の息子が『なんか臭いなここ』とずっと言っていたので行くの怖くなったきた。その矢先にこのニュース。お金を引っ張りたいだけなのか、本当に浸食してるのかわからないけど、どちらにしてもとても怖い万博に感じてきました。何か事故があってからでは遅いですから…。 ●いくら半年間の仮設建築とはいえ護岸の専門家に相談しなかったのか、海水が直接かぶる土盛りの上に掘っ建てリングを造るなんて! まだ開催前だというのに、そのうちすべて削られて巨大リングが大空を舞うなんてことにならなければよいが。 それにしても開催まで1ヶ月というのになにやってんだか。今だに何が見られるのかさえも明らかにされてない。判ったのはそこでしか食えない一杯2000円のラーメンがあるらしいということ。 大多数の国民は万博が失敗することを内心秘かに望んでる。 ●「ウオータープラザではイベント準備のため先に注入を始めたが、つながりの海と計画以上に水位差ができ」が協会の発表のままだとすると、計画以上というのはおかしいと言うか情けない。設計段階で十分検討されるべきで、その段階での想定が間違っていたということだと思う。この事例以外にも想定不十分の場所があっても不思議ではないと感じる。 |
>大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は10日、大屋根「リング」が海水と接している部分の護岸計1・1キロのうち600メートルで、浸食被害を確認したと明らかにした。2月に海水の注入を始めたばかりで、強風による波などでえぐられたとみられる。
— 大阪が好きやねん#カジノのための万博はやめなさい@維新にこれ以上大阪を壊されてたまるか! (@oosakahaoosaka) March 10, 2025
できたときから、ポンコツ。 https://t.co/7UxG4WoNhw
費用は増えない→増えた
— 大石あきこ れいわ新選組 衆議院議員 大阪5区 (@oishiakiko) March 11, 2025
メタン爆発しない→爆発した
チケット売れる→売れない
個人情報抜かない→抜ける
リング護岸が浸食⬅️イマココ
万博行ったらダメ🙅
中止するべき。責任者出てこい。
万博の大屋根リング護岸が浸食被害 海水注入後に強風影響か | 毎日新聞 https://t.co/r8OWgmmRRa
>大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は10日、大屋根「リング」が海水と接している部分の護岸計1・1キロのうち600メートルで、浸食被害を確認したと明らかにした。2月に海水の注入を始めたばかりで、強風による波などでえぐられたとみられる。
— 大阪が好きやねん#カジノのための万博はやめなさい@維新にこれ以上大阪を壊されてたまるか! (@oosakahaoosaka) March 10, 2025
できたときから、ポンコツ。 https://t.co/7UxG4WoNhw
さて、トランプとの「面接」も大きなミスもなく事なきを終えた石破茂だったが、帰国後の国内での評判はますます悪くなっているのだが、お隣の中国ではこんな評価があるらしい。
「なぜ中国は石破政権を持ち上げるのか」
人民日報傘下の環球時報紙は3月5日、昨年12月25日にひきつづいて日本問題専門家の笪志剛氏の論評「石破内閣の外交政策はなぜねじれているか」を掲載した。12月とくらべて3月の論評に目立つのは、石破内閣に対する寛容な態度である(八ヶ岳山麓から503参照)。 12月の論評の基調は、「アメリカの政権交代は大きな不確実性を生むだろうが、日本に微妙な外交状況をもたらす。また『対米同権』を図り、『対中関係改善』を望むとき、石破がどの程度の意志を持ち、ワシントンからの圧力にどこまで耐えられるかは、ことに直面するまではわからない」というものだった。 そこには、12月の論評には、下記のような安倍内閣以来の日本外交につきものの対米従属に対する批判があった。 「近年、日本はアメリカの中国牽制戦略に盲従し、政治・外交・安全保障レベルで中国包囲網に参加し、生産・サプライチェーン、科学技術の封鎖などで多くの手を打ってきたが、これは日本企業の利益に明らかな損害をもたらすとともに、国内物価の安定や日本の一般庶民の生活に直接間接に影響を与えている」 40日後の3月になるとこの種の表現が消え、現れたのは「寛容」とも「理解」ともいえる文言である。笪氏は石破・トランプの日米首脳会談に、日本の中国への対応とは異なる「温度差」を見いだした。そしてそれをなかば肯定するかのようにいう。 「そのわけは、第一、日本の政界には保守政治が広がっており、石破とその支持者たちは、彼らから『知中派』とか『親中派』といわれる批判を避けるために、対中国関係を『冷遇』することで、相対的に安定を保とうとしている。 第二に、石破自身の自民党内の派閥力が弱い。長年党内から疎外されてきた政治家である石破が、党内基盤の強い保守派閥に対して直接異議を唱えることは難しい。第三に、『アメリカ中心』外交という概念は、日本の政治にいまだに多くの支持者を持っている」 つまり、第二次世界大戦後、アメリカは日本の政治、外交、軍事に至るまで強い支配力と影響力を維持してきた。笪氏はこの事実を認め、「アメリカを『裏切る』リスクを選ぶなら、その代償は日本の手に負えないものになる」という。 そして笪氏は、日本が強力なアメリカの影響下にありながら、「石破茂は政権に就いて以来、中国とアメリカの間に一定のバランスを求め、完全にアメリカ寄りでもなく、完全に中国寄りでもない『独立性』を打ち出し、可能な限り石破茂色の外交的特徴を打ち出そうとしてきた」と、石破外交を思いがけなくプラスに評価している。 そして、「石破内閣の外交実務は、トランプ政権の政策がもたらす不確実性への対処として、日中関係の改善、あるいは強化に重点を置き、中国に対しては『日中間の戦略的互恵関係の堅持』を表明している。つまり『一つの中『』などをうたう半面、日米同盟の維持、台湾海峡への思惑、軍備強化を主張する」と指摘するのである。 笪氏は、これは「石破氏の外交バランス戦略の顕著な現れである。石破内閣はおそらく、中国を封じ込めたいというアメリカの戦略的必要性を利用し、政治や経済などにおける中国の影響力拡大に『対処』することで、現実的な利益を追求し続けるだろう」というのである。日本人としてみたとき、石破内閣にそんな主体性があるか、あればそうなってほしいと思う。 さらに笪氏は次のように日本の中国への接近を語って、石破氏の対中国政策に「熱意」といってもよいほどの理解を示している。 「(石破氏は)岸田文雄政権時代に低迷していた日中関係の改善に向けて、より前向きなシグナルを数多く発表し、外交、経済などの分野で日中交流のための実際的なイニシアティブを数多く打ち出している」「これは中米間の対立を背景に、より多くの経済的利益を得るために日中経済貿易関係を強化したいという日本の産業界の願望と呼応するだけでなく、アメリカの新政権が課す関税などのマイナス要因を効果的に打ち消すためでもある」 一体これはなんだろうか。環球時報の性格からすれば、笪志剛論評は中共中央の意志と受け取ってもおかしくはないが。 おもえば毛沢東時代の前半は国土建設のためにソ連からの援助一辺倒だった。後半、ソ連との関係が悪化して国境紛争が頻繁に起きると、米ソの2ヶ国を敵とするのを不利とみてアメリカとの国交へ進みソ連と対峙した。1980年代からは米日欧の経済的技術的援助を受けつつ経済発展を遂げた。 ここに流れるのは、毛沢東時代から変わらぬ現実主義あるいはプラグマティズムである。これまでも中国が対日関係を緩和しようとするとき、たいてい対米関係が緊張したり、それほどでなくてもぎくしゃくしている。このたびの中国の日本への接近は、まさしく中国にとって「アメリカの新政権が中国に課す関税などのマイナス要因を効果的に打ち消すためでもある」といえよう。 トランプ氏は、中国の習近平国家主席と「非常に良い関係」にある、対中貿易の改善を期待しているといいつつ、中国からの輸入品に併せて20%の追加関税を課した。中国からの薬物の密輸が絶えないことへの報復だというのである。これに対抗して、中国もアメリカからの鶏肉や小麦、トウモロコシなどに15%、大豆や豚肉、牛肉、水産物、果物、それに野菜などに10%の追加関税をそれぞれ課すと発表した。 アメリカは中国の輸出全体の14.6%を占める、最大の輸出先で、アメリカが中国製品への輸入関税を引き上げた場合、経済への影響は避けられない(NHK 2025・03・05)。 トランプ氏は中国の台湾への武力侵攻を認めないかと問われ、「これについては何もコメントしない。そうした立場に身を置きたくない」と言い、別なときは、武力侵攻には高関税で対抗するとも発言した。これでは習近平氏に中国軍の台湾侵攻に米軍の出動はないというシグナルを送ったことになる。そうなると「台湾有事は日本有事」ではなくなる。 ご存じの通り、この人物は今後何を言い出すかはわからない。ウクライナ戦争はもとより、ロシアやEUとの関係、中国・日本との関係などほとんど予測不可能で、大統領の任期を全うできるかもわからない。これを相手に苦労するのは石破氏だけではない。日中関係が日米関係の変数だとすれば、習近平氏が日本に接近のシグナルを発するのは自然のなりゆきである。 石破茂氏には「Make America Great Again」と「中華民族の偉大な復興」の間にあって、自主独立の精神で対米対中外交に当たってほしいと心から希望する。 |
ところで、相変わらずトランプの言動はなかなか読み切れないところもあるのだが、ついには日米安保にもチョッカイを出し始めたのだが、それに対しては米国在住作家の冷泉彰彦がトランプの「素人の思いつきに対して明快な対応を示唆していた。
「トランプの「日米安保は不公平だ」に日本が慌てる「情けない理由」わが国の保守もリベラルも、本当そういうとこだぞ」
トランプ米大統領が日米安保の「不公平」を叫びはじめた。防衛面で在日米軍に強く依存するわが国はどう対応すべきか?短期的には「静観」が最善手とみるのは米国在住作家の冷泉彰彦氏。ただし中長期的に、トランプの気まぐれに狼狽する情けない状況から日本が脱するためには、国内の「保守」「リベラル」「ノンポリ」勢力それぞれが抱える矛盾の解消が欠かせないとしている。 ■トランプの「日本は米国を防衛する義務がない」にどう対応すべきか? ある程度は予想されていたこととはいえ、トランプ大統領が「日米安保は不公平」ということを言い出した、その衝撃は小さくはありません。 「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守らない」「いかなる状況下でも日本は米国を守る必要がない」と指摘した上で日米安保は「興味深いディール(取引)」だ、つまりアメリカ不利、日本有利の不公平なものだと言ったのです。 そのうえで「一体誰がこのようなディールをするのか」と皮肉を言ったり、そのような安保条約に守られながらも、日本はアメリカで大もうけしている、などという暴言も吐いていました。 とりあえず、非常に刺激的な発言ではあります。ですが、石破総理にしても与野党、あるいは霞が関にしても、狼狽して大騒ぎをするのは、相手の「思うツボ」です。ここは冷静に3段階に分けて考えておきたい、そのように思います。 ■日本の対応(1)まずはスルーする まず第1段階は「静観」です。華麗に、というよりも静かにスルーするのです。当面は、何としてもこの姿勢が肝要です。 どうしてかというと、とにかく、トランプ氏は何も知らないで言っているわけです。例えば、今回の発言にしても答えはちゃんとあるわけです。まず「ディール」をしたのは、狭い意味ではトルーマン大統領(民主)で、それに次の大統領であるアイゼンハワー(共和)が追認して、しかも条約改定を成立させて固めたわけです。 ですが、広い意味では日米安保というのは、それだけではありません。日米安保条約というのは、サンフランシスコ講和による日本の再独立、そして「ユナイテッド・ネイション」を戦時の連合軍、連合国から恒久組織である国際連合に改組するという「戦後処理の枠組み」の一つとして成立したわけです。 ですから、広い意味では国際連合条約の締結国全員ということになります。 そして、アメリカ側では、トルーマンが結んで、アイゼンハワーが固めたというだけではありません。その後のすべての大統領、つまり1期目のトランプとバイデンを含めた全大統領が、追認し、運用してきたのは間違いないでしょう。トランプ氏は、そうした前提を無視して喋っているのですから、合衆国大統領としての発言ではなく、「中のタダの人」が勝手に喋っているだけです。ですから、マトモに受けるのは意味がありません。 もちろん、トランプ氏というのは、記憶力は良い方ですし、良くも悪くも言ったことについてはブレません。ですから、今後の様々な展開の中で、この「日米安保は不平等」ということを持ち出す可能性は十分にあります。 ですが、この「不平等発言」の際にも「日本との関係は良い」ということは言っていますし、少なくとも第一次政権の際に安倍晋三氏と交渉している間は、安倍氏の説明で納得していたのは事実だと思います。ですから、今回の発言が飛び出したからと言って、すぐに動揺する必要はないと思うのです。 ■日本の対応(2)時間切れを狙う 2つ目は、仮にトランプ氏が相当真剣に「日米安保条約は壊してやろう」とか「在日米軍は引き揚げてやろう」と思っていても、時間的には間に合わない可能性があるわけです。4年の任期というものがまずあり、仮に「トランプ政治が大成功」ということにならない限りは、次の政権はもう少し常識的な政権になる可能性が高いと思います。 そう考えると、とにかく大きなトラブルを起こさず、起こされず、時間をやり過ごすことが、現在の日本にとっては何よりも上策になります。 この時間軸の問題ですが、今現在はトランプ流の「ぶっ壊し」がドンドン勢いを持っており、まったく手がつけられないような印象を与えます。ですが、意外なところでスローダウンは始まっているわけで、そう考えると今回の事態に対しては、余計に冷静に見ておく必要を感じます。 ■意外に短命?トランプのスローダウンはもう始まっている スローダウンということでは、まず、体制内の動揺が意外にも早く始まっています。例えば、第一次トランプ政権の際に、彼としては筋金入りの保守派として最高裁に送り込んだと思っていたエミィ・コニー・バレット判事が、意外にも反旗を翻しました。USAID(アメリカ開発局=世界への支援金交付の官庁)による世界への援助を停止するのは「違憲」という判断に乗ったのです。 これでロバーツ長官とリベラル判事3名と共に5名の多数派が形成されて、画期的な違憲判決が出されました。その直前に、バレット判事は、上下両院議会による大統領施政方針演説に「三権のうちの司法権の代表」として参加していたのですが、その際にトランプ氏と握手したときに冷徹な表情をしていたので、「なるほど」という声も出ているのです。 体制内の動揺ということでは、トランプ氏が内閣の重要な役目を授けていたマルコ・ルビオ国務長官が、政府のリストラ案をめぐって、イーロン・マスクと舌戦になったともっぱらの噂です。どうやら、自分の所轄の国務省、そして問題のUSAIDなどにマスク氏が手を突っ込んでくることに対して「指揮命令系統の乱れ」を問題視したようです。 ただ、ルビオ氏に関しては、問題のトランプ=ゼレンスキー会談の舌戦に際しても、トランプ、ヴァンスの次の席で至近距離で参加していたにもかかわらず、死んだような冷たい目をしていたとして話題になっていました。また、先週の施政方針演説の際に「パナマ運河奪還」について「マルコ、君の役目だからな」とトランプが言い放った際に、同じように冷たい目をしていたのが印象的でした。 もっとも、トランプ氏は、ルビオ氏が「100%トランプ派ではない」ことは承知しているようで、施政方針演説でも「マルコは、100対ゼロで承認されているから、やってくれるだろうが、100対ゼロというのは多少心配でもある」というようなことを言っていました。上院の民主党も全員賛成した人事というのは、トランプから見ると「心配だ」ということらしいです。 というわけで、政権内部にはすでにガタが来ているのですが、もっと重要なのは経済への影響です。先週末にトランプ大統領は、FOXビジネスニュースのマリア・バートロモ記者のインタビューを受けた際に、「リセッション(不況)」突入の可能性を否定しませんでした。 バートロモ記者といえば、90年代末のITバブル、そして2000年のその崩壊から911と激動のアメリカ経済の光と影を、CNBCの看板キャスターとしてレポートし続けたベテランです。その後は、FOXに移籍して、熱心なトランプ支持の視聴者を相手に仕事をしてきています。ですから、トランプ氏としては、気安さもあり、またウソもつけなかったのでしょう。 ですが、「リセッションもあり得る」というのは、これは大変な発言です。では、大不況を覚悟しながら、今後も関税戦争を仕掛け、「アメリカファースト」のメチャクチャな政策を続行するのかということになると、それは違うと思います。現在は発足直後ということもあり、勢いに任せて「政府のリストラ」を過激にやり、外交では同盟国であればあるほど「カネを奪うヤツ」だと敵視しています。 こういった無茶は、そう長くは続かないのであり、そうした流れの中で日米安保を考えてみると、これを破棄するというのは時間軸の中で現実的ではないと思われます。何よりも、日米安保を破棄するというのは、そのまま西太平洋を中国の海にすることであり、そうなればアメリカ経済の根幹が崩壊するということもあります。 ■日本の対応(3)自国の国是と日米安保の本質を正しく理解する というわけで、まずはスルーしつつ、時間の経過をじっくり見て行くのが正しいわけです。そうではあるのですが、この日米安保の「非対称性」「不安定性」ということを、この機会に考えてみることは重要だと思います。 日米安保は、どうして「非対称」なのかということについては、その成立の経緯に原因があります。まずアメリカ側から見ると、日米安保条約というのは、 (1)敗戦国日本が、再び立ち上がってアメリカに敵対しないように「武装解除」と「保障占領」を行う (2)膨大な犠牲を払った第二次大戦の戦後処理だが、第一次大戦のように過酷な賠償を求めるとナチズムのような危険を生むので、カネは取らない。その代わり、「戦利品」として広大な米軍基地用地を提供させる (3)東西冷戦の緊迫感の中で、アジアの全面共産化を阻止するための砦として、日米同盟がある (4)米国の世界戦略の重要な部分として、西太平洋の航行の自由を絶対的に確保するために第七艦隊を横須賀に置く という4つの目的があるのです。 ■日本には(1)~(4)すべてに賛成する勢力が存在しない さて、これに対する日本の立場ですが、(1)から(4)まで全部を丸々「いいね」として大賛成する勢力というのは実はまったく存在しません。と言いますか、心の底からの親米勢力というのも、よほどのMLBファンだとか、ディズニー信者などを除けば、あとは北米市場で食っている産業の人々ぐらいです。特に政界に関しては、純粋な親米派というのは少ないです。 そんな中で、日米安保に対する日本の立場というのは基本的に2つに分裂しています。2つというより、3つと言ってもいいでしょう。「保守」「リベラル」「ノンポリ」の3つです。 ■日本の「保守」の本音 まず「保守」の本音というのは、次のようなものです。 (ア)とにかく、ロシアも中国も北朝鮮も怖いので、アメリカに守ってもらいたい。 (イ)アメリカが要求するのなら、武装をどんどん拡大していいし、自衛隊が世界中に派遣されるのも構わない。 (ウ)本当は核攻撃が怖いので核武装したいが、最低限でもアメリカの核の傘に守ってもらいたい。 (エ)でも、先の大戦での戦没者が無駄死にだとか、悪者になるのはイヤなので、真珠湾はよくやったし、昭和天皇が聖断を下すまで戦った日本は褒めてやりたい。特攻隊員はかわいそうだし立派なので、その名誉を認めたい。東條大将などの戦犯は、事後法で裁かれるのは理不尽なので、名誉回復したい。対中戦争も、朝鮮半島領有も日本には正義があるので、批判されると腹が立つ。 (オ)でも、経済的には儲けたいので、北米市場は大事。だからといって貿易摩擦で怒られるのはイヤなので、現地生産をジャンジャン増やして、日本の国内経済を縮小させてもへっちゃら。ちなみに、原発には賛成だが、それは裏に核武装の思惑があるから。コンピュータについては、良く分からないが、使いこなしている若いヤツが威張るのはイヤ。 このように、何とも食い合わせの悪い定食セットになっています。 ■日本の「リベラル」の本音 では、これに対する「リベラル」の方はどうかというと、 (カ)アメリカは軍事大国だし、ベトナムで悪いことをしたので大嫌い。湾岸戦争も嫌いだし、イラク戦争もアフガン戦争も絶対反対。日本がカネを出したり、自衛隊が井戸掘りや輸送に駆り出されたのも殺人幇助なのでイヤ。 (キ)そもそも、トランプが大嫌い。オバマもアフガン戦争を継続して、医療保険を営利企業に任せるなど残念だったし、ブッシュは戦争したし、ましてトランプは、考え方が大嫌い。 (ク)自衛隊は憲法違反なので、本音としては嫌い。確かに震災などで活躍しているのは認めるが、仮に戦争に行って戦死者が出たら、それが神格化されて同じように日本が世界から孤立して加害者兼被害者になって滅亡するので、怖い。とにかく、戦争とか軍備とかいう話は危険回避衝動が心の奥でガンガン鳴り響くので拒否。歴史認識については、琉球処分以降は全否定。 (ケ)日本国内に製造業があると、公害とかがイヤなので、製鉄所も工場もどんどん出て行って結構。ついでに原発が大嫌いで、原発と聞くと自分の危険回避本能がガンガン活動してしまうので、日本は煙りモクモク化石燃料依存でも仕方ない。とにかく、エネルギー使いまくる製造業はイヤ。コンピュータは非人間的なので嫌い。AIとかも大嫌い。 (コ)そのくせ、基本的に富裕層なので海外旅行は大好き。閉鎖的な日本文化は息が詰まるので、多様性も好きだし、平和的に世界の人と仲良くしたい。 ということで、トランプでなくても、アメリカ的なものがそもそも嫌いですから話になりません。 ■日本の「ノンポリ(政治的無関心層)」の本音 (サ)とにかく、先の大戦のように日本が加害者として批判されるのもイヤだし、被害者になるのもイヤ。戦争も軍備も兵器も基本的には嫌い。 (シ)でも、北朝鮮とかロシアとか怖いので、自衛隊には反対はしないし、米軍も全部出て行ったら怖い。でも、米軍のヘリが事故を起こすのは怖い。 (ス)経済成長とか改革とか言っている人は、結局意識高い系で、勝手にさせると格差を拡大するだけ。どうせ日本の先行きは暗いのだから、できるだけ平等に貧しくなるのがいい。 (セ)かといって、株とか投資とかは危険で怖いしコリゴリ。何とか節約して、怖いことだらけのこの世を生き延びるので精一杯。でも、そんな中で軍事費拡大とか、増税というのは全く受け入れられない。 (ソ)原発とかは、良く分からないが、分断の元凶なのは間違いないので、ない方が良さそう。自然を大事にしたいので製造業も嫌い。でも、目に見えないし、プライバシーに介入するのでコンピュータの活用も嫌い(世代による)。 というような感じだと思います。アイウエオ、カキクケコ、サシスセソと一方的に類型を書きましたが、もちろん、その外側で徹底的なリアリズムを重視する人々が、少しずつ増えているのは日本の希望です。 そうではあるのですが、高齢者を中心に発想法が硬直化している人の多くは、こうした類型に当てはまってしまいそうです。 ■日本の保守・リベラル・ノンポリ、どれもトランプを怒らせる 問題は、この3つのグループ、つまり「保守」「リベラル」「ノンポリ」の3つともが、 「トランプにバレてしまうと、呆れられて切られてしまう」危険性を持っていることです。と同時に、「仮に日米が軍事外交同盟を解消した場合に、例えば日本が英仏と組んで中国との均衡を目指す」 ような場合にも、この3つのグループは決してフレンドリーではないということです。さらに考え方を進めて、 「仮に中国やロシアに日本が屈服して、領土割譲などの屈辱を受け入れ、辛うじて国家存続を認めてもらう」 といった場合にも、この3つのような態度であれば、まったく立ちゆきません。 例えばですが、保守派の持っている前ページ(エ)のような心情は、アメリカだけでなく、英仏も、中ロも敵に回してしまう危険思想です。また、リベラルの(ク)のような心情も誰も理解してくれないでしょう。ノンポリの(ス)とか(セ)のように枯れ切った態度も、個人や家族の利害を最大化するようにアグレッシブなサバイバルゲームを戦う人々には、まるで理解されないでしょう。 では、もっと常識的な立場として、 「第二次大戦の結果としての国際連合=連合国の平和維持政策の最も積極的な支持者となり、その裏返しとして枢軸日本は批判対象とする」 「国連を中心に、自由と民主主義、人権、核不拡散の強い推進者となり、その遂行のためにはカネだけでなく、応分の犠牲を払う」 「先進国の経済水準を維持できるだけの改革を行い、生産性を確保する」 という極めて「当たり前」の政策パッケージを考えてみると、実はこのような立場というのは、日本には見当たらないのです。 保守の「アイウエオ」、リベラルの「カキクケコ」、ノンポリの「サシスセソ」の全体が、どういうわけか微妙にバランスする中で、辛うじてこの「当たり前」が成立しているという奇跡的な状況が現在の日本だとも言えるでしょう。 そしてこの3点セット、つまり「戦後秩序への忠誠」「自由と民主主義の維持」「先進国型社会の維持」というのは、どう考えても日本の国是であると思います。少なくとも、政府と皇室はこのような立場を前提に成立していますし、自衛官もこのような立場としての日本を守るために命を懸けているように思うのです。 ■日本はいかなる国であるべきか?誰も国是を知らない悲劇 では、どうしてトランプ氏の言動に一喜一憂しなくてはならないのかというと、積極的にこの国是を確認するチャンスがないことが一番の理由です。 誰かが、自分の意見を言うと、「アイウエオ」「カキクケコ」「サシスセソ」に偏ってしまう、それが現在の日本です。この3つは、どれも不安定だし、トランプ式の「一喝」を喰らったら一瞬で崩壊してしまうような、非現実性と脆弱性を抱えているのです。 そして、日米安保体制をどうするのか、とか、日米安保体制は不公平ではないか、というトランプの「素人の思いつき」は、そうした日本の政治風土がはらむ非現実性、脆弱性を露呈させてしまう力を持っています。 もちろん、問題を乗り越えるのは簡単ではありません。ですが、「保守」も「リベラル」も「ノンポリ」も同じように脆弱で、非現実的だということを確認しながら、とにかく日本の「他にありようのない国是」としての3原則に寄せていく、その努力が必要だと思うのです。 もう一度確認したいのですが、戦後秩序への忠誠、自由と民主と平和主義、先進国型社会の堅持、この3つです。これが日本の国是だと思います。保守も、リベラルも、ノンポリも、この国是から大きくブレています。にもかかわらず、原因不明の宿命的な幸運が作用して、この3つが均衡して全体が一種の合意を形成しています。 その平均値が偶然に、あるべき国是に近い点になっています。少なくとも3つ目の先進国社会の維持については、あるべき点からズレているためにどんどん後退していますが、少なくとも戦後秩序と理念については守れています。ですが、これは偶然なのです。だれも意思を強く持っていないし、結果論的にこうなっているだけです。 だから、トランプのような異常な介入、撹乱をされると日本は脆さを露呈してしまうのです。であるならば、いかにこの国是を意識するのか、強く支えるのか、これが問われてくるのだと思います。日米安保体制をどう考えるのかという最初の問いに戻るのであれば、この国是の確認というところから発想して議論してゆくしかないように思います。 |
一見、猪突猛進のトランプなのだが、過去の歴史には疎い不動産屋上がりなので、「意外に短命?トランプのスローダウンはもう始まっている」という指摘を信じて日本は是々非々で対応すればいいのだろう、とオジサンは思う。