新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
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トランプ米政権に追随し、派遣ありきの自衛隊の中東派遣

2019年12月28日 11時56分37秒 | 安倍外交

今月の初め、「首相、来月中旬に中東へ サウジ、UAEで調整」という記事が出ていたが、その後は「桜疑惑」と「カジノ疑獄」により大きな問題としてはニュースにならなかった。

19日には、「米、有志連合構想で協力呼びかけ ホルムズ海峡警護」という記事によると、
「国務省で日本を含む各国外交団を招いた会合を開き、中東のホルムズ海峡周辺を航行する民間船舶の安全確保に向けた有志連合構想について説明した。船舶の護衛を各国に委ねる方針を示し、各国に艦船派遣や資金拠出を求めたとみられる。25日にフロリダ州タンパで2回目の会合を開き、詳細を説明する予定だ。」となり25日には再度会合があったらしい。

その間に、21日夜には安倍晋三は米側の要請でトランプ米大統領と電話会談したという。

表向きには北朝鮮の最新情勢をめぐり協議したとのことだが、「中東における緊張緩和と情勢の安定化に向け、米国と緊密に連携しつつ外交努力を続けていく」と発表した裏には、トランプ大統領が提唱する「有志連合構想に乗らないのなら別の形で示せ」とでも驚かされたのではないかという素早さで海上自衛隊の中東海域への派遣が27日に閣議決定された。  

当然ながら、海自内では困惑が広がっており、対米関係を意識した派遣と受け止める隊員がおり、海自幹部は「あまりに政治的だ」とこぼしていたという。

派遣終了に向けた出口戦略ははっきりしておらず、隊員からは「中東を不安定化させている米国とイランの対立は簡単には解消されず、恒久的な派遣になりかねない」と不安視する声も出ている。

海自中東派遣に使われた「裏技」 あいまい根拠で隊員が直面しかねない危機

  
           【毎日新聞より】    

自衛隊の中東派遣、閣議決定 『調査・研究』名目 来月から



<海自、来月中東へ 1年間派遣 調査・研究名目、260人規模>
 2019年12月28日 東京新聞
 政府は27日の閣議で海上自衛隊の中東派遣を決定した。護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機2機を派遣し、哨戒機は1月から日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集を行う。派遣部隊は260人規模で、河野太郎防衛相は部隊に派遣準備を指示した。派遣根拠は、国会承認が必要ない防衛省設置法の「調査・研究」とした。活動期間は来年12月26日までの1年間とし、延長する場合は改めて閣議決定する。 (山口哲人)
 安倍晋三首相は27日のBSテレ東の収録で「航行の安全、地域の安定に日本として独自の貢献を行う」と述べた。その上で「年明けに中東を訪問することを検討している」と語り、周辺国に海自派遣への理解を求める意向を示した。
 活動海域はオマーン湾やアラビア海北部、アデン湾の公海上に限定し、友好関係にあるイランへの配慮からホルムズ海峡やペルシャ湾を除外した。
 調査・研究は従来、防衛相の指示で実施してきたが、政府は「派遣の重要性を国民に説明する責任の観点から閣議決定した」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)と説明。閣議決定時と活動終了時の国会報告も義務付けた。これを受け、与野党は来年1月17日に衆参両院で閉会中審査を行うことで合意した。
 哨戒機は1月11日に海自那覇基地を出発し、現在アフリカ東部ジブチを拠点に活動する海賊対処を兼務する。たかなみは2月中に現場海域に到着し、艦載ヘリコプターも活用して情報収集する。米国主導の有志連合にも情報提供する。
 活動中、不測の事態が発生した場合は自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し対応する。日本籍船に加え(1)日本人が乗船(2)日本の事業者が運航(3)日本の積み荷を輸送-する外国籍船も保護対象とする。国際法上、武器を使って保護できるのは日本籍船だけとなる。

    






安倍内閣はこれまでも「?」と誰でもが思うような閣議決定をしてきた。

それらは野党からの質問主意書に対する内閣の正式な回答を閣議で決定するということが多かった。
  


しかし自衛隊の海外への派兵(派遣)はあたかも正当性を強調したいがために閣議決定という形式を取っているに過ぎない。

護憲派の弁護士は、「澤藤統一郎の憲法日記」で「自衛隊の中東派遣、憲法9条の平和主義に反するだけではない。根拠法もおかしいぞ。」と題して、法律家6団体連絡会の緊急声明「自衛隊中東派遣の閣議決定に強く反対する法律家団体の緊急声明」を紹介していた。

かなりの長文で専門的な部分が多いので割愛するが、比較的わかりやすく解説していた東京新聞「社説」を紹介する。

<自衛隊の中東派遣 国会の統制欠く危うさ>
 2019年12月28日 東京新聞
 政府が中東地域への自衛隊派遣を閣議決定した。調査・研究が名目だが、国会の議決を経ない運用は、文民統制の観点から危ういと言わざるを得ない。
 自衛隊の中東派遣は、日本関係船舶の航行の安全確保のため、防衛省設置法四条の「調査・研究」に基づいて実施される。
 活動領域はオマーン湾やアラビア海北部、アデン湾の3海域。海上自衛隊の護衛艦一隻を派遣し、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に当たるP3C哨戒機2機とともに、海域の状況について継続的に情報収集する。派遣期間は1年で、延長する場合は改めて閣議決定する、という。
◆米追随、イランにも配慮
 自衛隊派遣のきっかけは、トランプ米大統領が、ペルシャ湾やホルムズ海峡などを監視する有志連合の結成を提唱し、各国に参加を求めたことだ。米軍の負担軽減とともに、核問題で対立するイランの孤立化を図る狙いだった。
 しかし、イランと友好関係を築く日本にとって、米国主導の有志連合への参加は、イランとの関係を損ないかねない。
 そこでひねり出したのが、有志連合への参加は見送るものの、日本が独自で自衛隊を派遣し、米軍などと連携して情報共有を図るという今回の派遣方法だった。
 急きょ来日したイランのロウハニ大統領に派遣方針を説明し、閣議決定日も当初の予定から遅らせる念の入れようだ。自衛隊の活動範囲からイラン沖のホルムズ海峡を外すこともイランへの刺激を避ける意図なのだろう。
 米国とイランのはざまでひねり出した苦肉の策ではあるが、トランプ米政権に追随し、派遣ありきの決定であることは否めない。
 そもそも、必要性や法的根拠が乏しい自衛隊の中東派遣である。
◆船舶防護の必要性なく
 中東地域で緊張が高まっていることは事実だ。日本はこの地域に原油輸入量の9割近くを依存しており、船舶航行の安全確保が欠かせないことも理解する。
 とはいえ、日本関係船舶の防護が直ちに必要な切迫した状況でないことは政府自身も認めている。
 そうした中、たとえ情報収集目的だとしても、実力組織である自衛隊を海外に派遣する差し迫った必要性があるのだろうか。
 戦争や武力の行使はもちろん、武力による威嚇も認めていない憲法九条の下では、自衛隊の海外派遣には慎重の上にも慎重を期すべきではないのか。
 調査・研究に基づく派遣は拡大解釈できる危うさを秘める。米中枢同時テロが発生した2001年当時の小泉純一郎内閣は、法律に定めのない米空母の護衛を、この規定を根拠に行った。
 今回の中東派遣でも、現地の情勢変化に応じて活動が拡大することがないと断言できるのか。
 日本人の人命や財産に関わる関係船舶が攻撃されるなど不測の事態が発生し、自衛隊による措置が必要な場合には、海上警備行動を新たに発令して対応するという。
 この場合、自衛隊は武器を使用することができるが、本格的な戦闘状態に発展することが絶対にないと言い切れるのだろうか。
 最大の問題は、国権の最高機関であり、国民の代表で構成される国会の審議を経ていないことだ。国会による文民統制(シビリアンコントロール)の欠如である。
 自衛隊の海外派遣は国家として極めて重い決断であり、そのたびに国会で審議や議決を経てきた。
 国連平和維持活動(PKO)協力法や、インド洋で米軍などに給油活動するテロ対策特別措置法、イラクでの人道支援や多国籍軍支援を行うイラク復興支援特措法、アデン湾で外国籍を含む船舶を警護する海賊対処法である。
 自衛隊の活動を国会による文民統制下に置くのは、軍部の独走を許し、泥沼の戦争に突入したかつての苦い経験に基づく。
 日本への武力攻撃に反撃する防衛出動も原則、事前の国会承認が必要だ。自衛隊を国会の統制下に置く意味はそれだけ重い。
 今回の中東派遣では、閣議決定時と活動の延長、終了時に国会に報告するとしているが、承認を必要としているわけではない。
◆緊張緩和に外交資産を
 国会の関与を必要としない調査・研究での派遣には、国会での説明や審議、議決を避け、政府の判断だけで自衛隊を海外に派遣する狙いがあるのだろうが、国会で説明や審議を尽くした上で可否を判断すべきではなかったか。
 閣議決定にはさらなる外交努力を行うことも明記した。米イラン両国との良好な関係は日本の外交資産だ。軍事に頼ることなく緊張を緩和し、秩序が維持できる環境づくりにこそ、外交資産を投入すべきだ。それが平和国家、日本の果たすべき役割でもある。

「軍部の独走を許し、泥沼の戦争に突入したかつての苦い経験に基づ」いた統制だったが、安倍内閣みずから、例えば「麻生氏、海自潜水艦に体験搭乗 首相・閣僚5年事例なし」とか、もっと前にはこんな戦争オタクがいたことを思い出す。

   

国会による文民統制(シビリアンコントロール)という言葉は既に「死語」になってしまった感が強く、さらにバラマキと外遊という「外交資産」しか持ち合わせていない安倍晋三には「国際社会の緊張緩和」はとてもじゃないが無理であろう、とオジサンは思う。

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