新・定年オジサンのつぶやき

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国家予算の1%に及ぶウクライナ支援金はどこに行く

2024年07月07日 11時13分11秒 | 岸田文雄外交

ようやく馬鹿げた「都知事選騒動」も終わりきょう一日は(正確には開票が終わるまで)静かになった。
 
都民でもない、都民税も払っていない我が身からすれば、どうでもよい話なのだが、やはり誠実さのない嘘つき狸だけは無視できない。
 
その間、国際情勢は大きく動き始めているらしい。
 
元国連紛争調停官の島田久仁彦はこんな記事を先日発表していた。
 
なぜプーチンは一気に攻めないのか?ウクライナを「蛇の生殺し」状態に置く“恐ろしい”露の狙い
 

■プーチン、セレンスキー、習近平。リーダーたちの語られることのない真の思惑
2022年2月24日にロシアがウクライナ全土に侵攻した後、戦時リーダーの座に就き、その後、欧米諸国とその仲間たちを巻き込んでロシアとの対峙を選びました。
「主権国家としてのウクライナとウクライナ人を守るために戦う」というのは美しく、人の感動さえ呼ぶ姿勢ですが、その姿勢はどれだけの犠牲、特に生命という人的犠牲をウクライナの国民に強いたのかという観点からの分析をしてみると、少し違った絵が見えてきます。
実際に物理的にウクライナにミサイルを撃ち込み、地上戦でウクライナ人を殺害しているのはロシア軍ですが、少しアングルを変えて眺めると「主権国家としてのウクライナとウクライナ国民を守る」ことが真の目的であれば、ロシアのプーチン大統領が求めるのはゼレンスキー大統領の退陣と親ロシアのウクライナ政権作りだったわけですから、侵攻初期に辞任して、ロシアにそれ以上攻める口実を与えないようにしてしまうという手もあったはずです。
しかし、私たちが見ている通り、彼は戦時リーダーとして対ロ徹底抗戦を行い、欧米諸国とその仲間たちを巻き込んで終わらない戦争を、欧米諸国とその仲間たちからの支援頼みで継続し、そして5月に大統領としての正式な任期が終わった後も、戦時だからという理由でその座に留まり、対ロ抗戦を続けています。
アメリカからの大規模な軍事支援が届き始めて前線にどんどん投入していることと、アメリカ政府からロシア領内への反撃を承認されたこともあり、ロシアの進軍を食い止めているという効果は見えていますが、NATOの戦略担当幹部によると「ウクライナがロシアに対して戦い続けるには、アメリカからの軍事支援物資が予定通りに8月までに届いても、新たに高度に訓練された数十万人単位の動員が必要となるし、NATO各国からの継続的な軍事支援が必要となる」らしく、その計画の無茶さが分かるかと思います。
特に先の欧州議会選挙での極右勢力の大躍進を受け、フランスではマクロン大統領が打ち出した積極的なウクライナ支援を見直すべきという意見が高まっていますし、ロシアをあまり刺激したくないドイツのショルツ首相は、国民の声を受けてドイツが誇るタウルスミサイルの供与を認めないことを明言していることに鑑みると、欧州各国は“継続的な”支援を続けることは困難ではないかと理解できます。
■「ウクライナ国内での内部崩壊誘導」を狙うプーチン
ではロシア側はどうでしょうか?
戦力と兵力という点ではウクライナを今でも圧倒し、北朝鮮との“同盟”やイランからの支援などをベースに軍事的な補給態勢は侵攻前のレベルを上回るとされている中、戦争が長引くことについては余裕があると思われます。
ただこのところ侵攻のペースは緩んでおり、アメリカからの支援の影響が予測されているものの、プーチン大統領とその側近たちが仕掛ける意図的な遅延作戦、言い換えると、戦争を長引かせる・停滞させるための作戦とも理解できます。
これまでお話ししている通り、時間をかけてウクライナ国内でゼレンスキー大統領を引き摺り下ろす圧力がかかることを期待するという狙いもありますが、5期目を迎え、この世の春を謳歌し、強固な基盤を築いていると思われるにもかかわらず、国内の反プーチン・反体制派によるテロ事件(ダゲスタンでのシナゴーグとロシア正教会へのテロ攻撃や、ISが犯行声明を出したモスクワ郊外の劇場での銃乱射事件など)の対応に苦慮していることで、まずは国内治安を落ち着かせることに着手するため、対ウクライナ戦争の侵攻スピードを抑えて、時間を稼いでいるのではないかという見方もできます。
これまでのところ、プーチン大統領が行ってきたウクライナへの責任転嫁は不発に思われますが、かといって強権的にテロ勢力を抑え込める強いリーダーは今のところプーチン氏しか見当たらないこともあり、国内外での緊張が高まるにつれ、プーチン大統領の権力基盤はより強固なものになるという魂胆です。
ロシア国内のみならず、スタン系の国々でもNATOの中でも、ロシアは一気に攻勢をかけてウクライナを軍事的に倒してしまうことは可能だと思われるが、あえてそれを行わず、ウクライナを蛇の生殺し状態に置き、欧米諸国とその仲間たちに支援疲れを意識させて、ウクライナ国内での内部崩壊を誘導するのが真の作戦だと見られています。
国内の治安維持と強化には、あのワグネルを再編し、国家親衛隊に組み込んでおくことで、より士気の高い統制された軍隊として機能させることで対応し、国家親衛隊のエリートたちを対ウクライナ作戦に投入することで、軍事的な強度を高めようとしているようです。
ロシアにとっては、このままずるずると戦争を長引かせることもできるし、外圧を使って停戦協議に導くこともできますし、さらには最終手段として一気に軍事的なとどめを刺しにかかることもできますが、皆さんお気づきの通り、その出口にはどのシナリオを選んでも、ゼレンスキー大統領の居場所はありません。
■一切の飛び火がないように細心の注意を払う中国
戦争の長期化で利益を得るのは、ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニエフ首相だけではありません。
中国はロシアやイスラエルに対して“早期の戦争終結と人道支援”を強く求めてはいますが、戦争が同時進行的に起きて続く限り、欧米諸国とその仲間たちによる対中軍事作戦は起こりにくく、その間に国力を回復させ、強化し、軍事的な備えもできるという狙いを持っているようです。
ロシアに対する軍事支援は(最新兵器という意味では)これまで行っていませんし、ロシアと北朝鮮の接近に対しても、実際にはあまりよく思っていないにも関わらず、あえて距離を置き、一切の飛び火がないように細心の注意を払っているようです。
ロシアが北朝鮮に核兵器技術を与え、ICBMの精度が上がることには難色を示していますが、両国に警告しつつ、ロシアと北朝鮮を巻き込み、アジア太平洋地域における中国にとっての安定を確保しつつ、世界的にはイランやシリア、そしてアラブ諸国、アフリカ諸国などを加えて緩やかで広範な勢力圏を築きにかかっているようです。
■戦争の継続が生み出す自国や地域が潤うシステム
紛争調停に関わってみてよく分かることは、以前の紛争多発時とは違い、今、同時進行的に起こっている紛争については、表面的には一刻も早い停戦を謳っているものの、当事者もそれぞれの後ろ盾の国々も、戦争が継続する・長引くことで自国・地域が潤うシステムが作れることから本気で戦争を止める気がないのではないかという“現実”です。
その直接的な悪影響と被害を受けるのがガザの子供たちであり、ウクライナ東南部の一般市民であり(ウクライナ西部の人たちは、時折、ロシアのミサイルが飛んでくるものの、実際には避難の必要はない)、行き過ぎていても機能していない経済制裁によってグローバル物流が止まり、インフレに苦しむ大多数の消費者です。
そして大きな戦争の影で忘れられた地域紛争の被害者たちが置かれる状況もかなり深刻ですが、全く顧みられてはいません。
例えばスーダンの内戦では、UNの発表によると、約2,500万人が飢餓に瀕しており、人口の20%に値する約900万人が国や町を追われ、隣国エチオピアに避難していますが、そのエチオピアでも、残り火のように燻り続けるティグレイ紛争の煽りを受けて、迫害を受けているようです。しかし、加担することで得られる見返りが少ないと踏んでいるのか、いわゆる“国際社会”はスーダンの悲劇に対応しようとしません。
私が紛争調停官として仕事を始めたころ、ボスのセルジオ・デメロ氏や、国連難民高等弁務官であった緒方貞子氏から「戦争は人類が生存している限り無くなることはない。私たちには我欲があるし、その実現のためには手段を選ばないという性が備わっている。紛争調停官としてあなたが出来ることは、戦争を無くすことではなく、戦争が起きないように予防するか、戦争が起きた時に、一般市民の犠牲を可能な限り最小限に抑えるようにすることだ」というアドバイスをもらいました。
それからそれを胸にいろいろな紛争の予防や調停に携わってきましたが、銃は持たずとも、紛争の最前線に立つことが多い身として、アドバイスの内容が身に・心に沁みますし、私たちが持つ欲と対峙することの難しさを痛感する毎日です。

 
「ゼレンスキー大統領の居場所はありません」という傍から見れば衝撃的な表現なのだが、どうやらゼレンスキー大統領も自らの立ち位置を感ずいていたようである。
 
対露和解を望み始めたゼレンスキー
 
最近までロシア敵視一辺倒で、和解による停戦を(非現実的な逆提案を出して)拒否し続けてきたウクライナのゼレンスキー大統領が、急転直下、ロシアとの和解停戦を模索する動きを始めている。
ゼレンスキーは、親露なハンガリーのオルバン首相にロシアとの仲裁を頼んだ。オルバンは7月2日にウクライナを訪問してゼレンスキーに会った後、7月5日にロシアを訪問してプーチン大統領と会った。
米国側のマスコミは、オルバンのウクライナ、ロシア訪問を報じているが、それがゼレンスキーの依頼によるという話は出していない。オルバンの勝手な動きにEU上層部が怒っているという(浅薄な)話だけだ。しかしロシアのメディアなどは、6月末から、ゼレンスキーが対露和解したい姿勢を見せていると指摘してきた。
(オルバンは7月1日から輪番制のEU議長になったばかりだった。オルバンはEU議長として露ウクライナを訪問したのでなく、欧州きっての親露指導者としてゼレンスキーに頼まれたので動いただけだろう。しかし、EU上層部は「EUに委任されてないのに勝手に仲裁役をやるな」と非難している。オルバンは「平和を実現するのに誰かの委任なんて必要ない」と言い返した。格好良い)
ゼレンスキーは6月中旬まで、ロシアを外したまま和平を実現しようとする非現実的で茶番なスイスでのウクライナ和平サミットに参加し、主導的な役割を果たしていた。
スイスサミットは当然ながら和平につながらず、その後ゼレンスキーは姿勢を大転換して「(ロシアとの)交渉による停戦を数か月以内に開始せざるを得ない。戦争を長期化できない」と言い始めた。ゼレンスキーは6月28日、EU本部での演説や記者会見で、対露和平交渉の必要性を表明した。しかし、EU上層部は無視した。
ゼレンスキーは同時期に、米国の新聞(The Philadelphia Inquirer)によるインタビューでも、ロシアと和平交渉する可能性について述べた。開戦直後の2022年春にロシアとウクライナの間で行われたイスタンブール交渉での合意が、今後の和平交渉の土台になるとも言っている。
ウクライナは当時、イスタンブール交渉の合意を踏みにじったのに、その後軍事敗北したので、今になって当時の合意を基盤にした交渉の続きをやると言いだした。ロシア政府も、今後の交渉の土台について同じ話をしている。
6月前半の、中身のないスイスでの和平サミットは米国の差し金で、何も成果を生まないことが事前に明白だった。スイスサミットが失敗したのでやむを得ず、という口実をつけつつ、ゼレンスキーは6月末から、対露和平交渉の必要性を言い始めた。
だが、欧州も米国も無視して動かなかった。それでゼレンスキーは、親露なオルバンに仲裁を頼み、オルバンが動き出したと考えられる。
前回の記事に書いたとおり、ドイツのショルツ首相は、ゼレンスキーが対露和解することを、対露降参と呼んで猛反対している。フランスのマクロン大統領は国内で人気が急落し、それどころでない。フォンデアライエンのEU上層部はロシア敵視一辺倒だ。米国が対露和解を望むはずもない。
(欧州エリート支配の崩壊)
プーチンは、ロシアを呼ばずに開いた非現実的な米国側のスイス和平サミットに合わせ、6月14日に露外務省での演説の中でウクライナ停戦案を発表した。ドンバスなど、ロシアが併合した旧ウクライナ領の4つの地域(ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャ)からウクライナ軍が撤兵し、ウクライナがNATO加盟希望を取り下げれば、即時に恒久停戦すると発表した。
この案は現実的であり、もし今後ウクライナとロシアが停戦交渉するなら、その出発点になる。この案は、2022年春のイスタンブール合意の内容でもある(米国側がウクライナに停戦を禁じたので実現しなかった)。
プーチンが6月14日に和平案を出したことからは、ゼレンスキーが、スイスサミットの前に、サミット後に転換するつもりだとロシアに知らせていたと感じられる。
ゼレンスキーがスイスサミットで提案した停戦案は、旧ウクライナ領の全てからロシア軍が撤退することを求めており、ロシアの同意を得るのは不可能だった。
7月5日、オルバンと会談後に記者会見したプーチンは、6月14日の露外務省での演説で表明した和解提案が、そのまま今回オルバンを通じてウクライナに提案する停戦和解提案であると述べた。
しかもプーチンは、6月14日の提案のうち、不可欠な条件は、4地域からのウクライナ軍の撤退だけで、「その他については(譲歩などの)配慮をしてもかまわない」とも述べている。「その他」とは、ウクライナがNATOに加盟しないと宣言すること・ウクライナの中立国化である。
NATOは、ロシアに勝てないことが明白になるほど「ウクライナはロシアに勝つまでNATOに加盟できない」とはっきり言うようになった。だが、露敵視一辺倒の米国は、ウクライナがNATO不加盟を宣言することを望まない。宣言を不可欠な条件にすると、停戦が実現しにくくなる。
不可欠な停戦条件に入れなくても、ウクライナはNATOに加盟できないのだから、不加盟をウクライナが宣言しなくても良いよ、という感じだろう。
ウクライナ軍は露軍に負け続けて崩壊寸前だ。ウクライナ軍は、自分から撤退しなくても、(露軍が本気を出せば)数か月以内に4地域から敗退していく。ならば今、停戦和平と交換に4地域から撤退しても同じだ。
プーチンは以前、米国側が対露制裁を解除することや、米国側がウクライナの恒久中立化(NATO不加盟)を認めることも、ウクライナ停戦の条件だと言ったことがあったが、今回はそれらも条件から外した。米国は露敵視一辺倒なので、対露制裁解除や、ウクライナのNATO不加盟を決して認めない。
今回のプーチン提案は、ウクライナにとって受諾しやすく、米国に何も求めないので、実現できる可能性が高いものになっている。

ゼレンスキーは米国の傀儡なはずなのに、勝手にロシアと和解して大丈夫なのか。暗殺されたり、妨害されたりしないのか。どうだろう。そのあたりは今後わかる。
ウクライナ軍は、米軍の顧問団に動かされており、米国はゼレンスキーを迂回してウクライナ軍を動かせる。ウクライナ軍は最近ベラルーシ国境近くに展開しており、米国がゼレンスキーの対露和平を潰すため、新たにベラルーシを戦争に巻き込む可能性がある。
米国があまり妨害せず黙認すれば、近いうちにロシアとウクライナが停戦する。停戦しても、米国側のロシア敵視や対露制裁は続く。ウクライナは対露和解するが、米国(米欧日)はそれを無視してロシア敵視を続ける。ロシア敵視は「ゾンビ化」して続く。
米国としては、ウクライナ軍が完全に壊滅して露軍がウクライナ南部を占領し、ウクライナ西部がポーランド領になる傾向が強まってウクライナが消滅して戦争が終わり、ロシア敵視の構造自体が消えるよりも、ウクライナ国家が残ってロシア敵視をゾンビ化して続けることを望んでいる

プーチンは、ウクライナと一時的に停戦するのでなく、これを機に恒久和平の体制を作りたい、と言っている。それを、どうやって実現する気なのだろう。
私の推測は「スイス和平サミットの向こうを張る北京和平サミットを習近平に開いてもらい、BRICSなど非米諸国が全員集合する中で、ロシアとウクライナと周辺地域。ユーラシアの恒久和平や安定を話し合って決める」というシナリオだ。
中国政府は最近、ウクライナ和平会議を主催することを提案している。6月13日にはゼレンスキーと習近平が電話会談した。
中露BRICSは、ウクライナ戦争を米国側からひったくって停戦和平して終わらせ、戦後のウクライナを非米側に取り込んで復興していくつもりでないか。ゼレンスキーも、そうしたいのだろう。
トランプが米大統領に返り咲いてウクライナ和平を仲裁する前に、中露BRICSに取られてしまう。これが実現したら、それは世界の非米化や多極化を象徴するものになる。
オルバンのモスクワ訪問が決まった直後とおぼしき7月4日、プーチンは「多極型世界が現実のものになった」と宣言している。


 
すでに米国内では、「米民主党でバイデン下ろしの内乱」が始まり「もしトラ」から「ほぼトラ」が現実を帯びてきた。
 
残念ながら「大海を知らない蛙どもがコップの中で覇権争いをしている自民党政権では、ますます日本は「世界の非米化や多極化」から取り残されてしまうのだろうか、とオジサンは思う。 
 

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