以下の写真は先月訪れた休養地で撮った「皇帝ダリア」。
皇帝ダリアは、メキシコから中米を中心に分布するキク科テンジクボタン属(ダリア属)の多年草である。
皇帝ダリアの花期は11月下旬~12月上旬。
花期になると、真っ直ぐに伸びた茎の上部から花序を出し、径20~30㎝にも達する巨大な頭状花を数輪~数十輪咲かせるという。
頭状花は中心部分の筒状花と、花弁のように見える周囲の舌状花から形成されており、大きな一輪の花のように見える集合花であるが、その花期の真っ最中に、これからという時期に事件が起きたらしい。
先週にはこんな無残な姿になっていた。
よく見ると、花が咲いていた茎から引きちぎられている。
あたかも花を上から噛みついたかのようになっていた。
しばし周辺を見廻した所、咲いていたダリアの一段上の場所にこのような跡があった。
調べたところ、明らかに「鹿のフン」であり、皇帝ダリアを食したのは鹿だったのだろう。
ダリアは鹿の被害者であり、その害を加えたのは、鹿なので「鹿害者(加害者)」となることは明白であった。
鹿の害は地方の山間部に近い居住地域にも多く発生しているそうで、これから冬籠りするために食いだめしたのかと思いきや、鹿は猪と同様冬眠をせず、冬を越すという。
そもそも鹿は草食動物で、4つの胃を使って食べ物を消化する反芻動物である。
それゆえか、鹿は植物ならほとんど何でも食べてしまう。
その対象は葉っぱはもちろんのこと茎、花、実、根、枯葉から樹皮まで何でも食べてしまうという。
皇帝ダリアは短い命であったが、それが鹿の越冬に少しでも寄与したと思えば恨むことはできないと思った次第。