衆議院の予算委員会が終了したが、すったもんだした「政倫審」でも裏金事件に関してスッキリしないまま終わってしまったので参議院予算委員会でも岸田文雄に対して野党からの厳しい追求があった。
「辻元清美氏『私は自民党に引きずり出された』 自身の経験踏まえ自民若手の政倫審出席を首相に要求」
立憲民主党の辻元清美参院議員は4日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した安倍派幹部の言い分が食い違っていたことを踏まえ、自身がかつて秘書給与流用問題で参考人招致された経験をもとに、若手議員を積極的に政倫審で説明させるべきとの考えを、岸田文雄首相に突きつけた。 辻元氏は2002年3月、秘書給与問題で議員辞職した後、同年4月、衆院予算委員会での参考人招致に応じた。 「私は22年前、議員辞職したが、辞職しても参考人招致に応じろと私を引きずり出したのは自民党だ」とした上で、当時の社民党党首だった土井たか子氏に「公の場で説明した方があなたの政治生命は守られる」と諭されたと述べ「震えながら出た。あの時逃げなかったから、復帰できたと思っている」と主張。 自民党が行った調査の中で、安倍派の若手議員に幹部の対応への不満や、幹部が責任を求める声があったことを念頭に「若手に『幹部の顔色を見ずに出ろ』と言ってほしい」と訴えた。 岸田首相は、この日の答弁で繰り返しているフレーズ「(政倫審や参考人招致などを決める)国会運営のことは国会で決める」を口にし、辻元氏に「また言ってる」とやじを飛ばされると「志のある議員は政倫審を含め、あらゆる所で説明責任を尽くして欲しいと言っている。さまざまな場で説明責任を果たして欲しい」と述べたが、それ以上は踏み込まなかった。 |
3/4(月)参議院 予算委員会
— 立憲民主党 国会情報+災害対策 (@cdp_kokkai) March 4, 2024
1⃣
辻元清美議員
政倫審の焦点の一つは、安倍元総理の死後、いつ誰が裏金を再開したのかでした。西村議員は、話し合ったが結論は出なかったと。塩谷議員は、今年に限っては、継続するのはしょうがないかなとなった、そういう結論になったって言ってんですよ。 pic.twitter.com/LzdARj8Lgh
安倍派のキックバックによる裏金づくりとは異なる「茂木派方式」が改めて追及された。
「蓮舫氏『茂木派方式では?』茂木派幹部の『裏金疑惑』追及『法律の抜け穴』10年で億単位と指摘」
立憲民主党の蓮舫参議院議員は4日の参院予算委員会で、新藤義孝経産相や自民党の茂木敏充幹事長が、領収書を公開する必要がある国会議員の関係政治団体から、公開の必要が格段に緩くなる「その他の政治団体」に、多額の資金を移して「裏金化」しているのではないかとの疑惑を指摘した。 茂木氏は茂木派会長で、新藤氏は茂木派の事務総長。蓮舫氏は「『茂木派方式』なんじゃないですか」とも指摘。岸田文雄首相に真相解明を求めた上で、新藤氏の直近3年の帳簿の同委員会への提出を、予算委員長に求めた。 蓮舫氏は新藤氏に対し「透明性とは真逆な会計処理がなされている」とした上で、10年で約2億6000万円が関係政治団体から「その他の政治団体」に移されていると指摘。「自民党総支部の経費を限定的にして、それで明細開示率は99・1%、透明化されている。でも『その他の政治団体』新藤義孝後援会に10年で2億6000万円を付け替えたら、明細開示率9・8%まで低下している」とした上で「政治資金の隠蔽(いんぺい)じゃないですか」と主張した 新藤氏は「隠蔽」の表現に「冗談じゃない」と反発。「隠蔽といわれるのはどういうことですか。隠蔽をしてると言われたらそれは冗談ではないと言いますよ」と述べ、審議が一時止まる場面も。再開後、新藤氏は「表現がよくなかったことは気を付けたい」とした上で「使ったものを積み上げて報告している。収支報告に出しているのを隠蔽と言われるのはいかがなものか」と反論。蓮舫氏は「使い道を分からなくしているからおかしい」と指摘し「身の潔白を証明する方法」として保存義務のある直近3年間の帳簿公開を求めたが、新藤氏は「法律にのっとって対応したい」と述べるにとどめた。 一方、蓮舫氏は茂木氏についても、茂木氏の関係政治団体から、別の政治団体に2022年までの10年で約3億2000万円が移されていたと指摘。「金を出した側の事務担当者、受けた側の事務担当者も同一人物。一体で運用して金を付け替えて見えなくさせ、第三者から、正確に使われたかどうか所得にしていないか、私的流用していないか、確認することが一切できない処理をしている、合法だけど脱法。法律の抜け穴ではないか」と訴えた。 「茂木派には派閥パーティーの裏金疑惑はなかったが、法の抜け穴を使って裏金をつくっているのではないか。『茂木派方式』なんじゃないですか」として、岸田首相に調査を要請。首相は「まずは指摘された議員が丁寧に説明することが重要。そのことで(蓮舫氏の)指摘が本当かどうか、明らかにしていくことが重要だ」と述べ、新藤氏だけでなく茂木氏も自ら説明する必要があるとの認識を示した。 |
裏金問題の影に隠れていたようだが、脱法的な仕組みでの使途逃れを茂木幹事長の政治団体が行なっていた。その茂木幹事長が、政治刷新本部の議長代行。片腹痛いとはこのこと、やめさせるべきだ。… https://t.co/Yxsa8UyueU
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) March 4, 2024
さらに参院予算委員会ではこんな情けない場面もあった。
3月4日参議院予算委員会、学級崩壊する。
— ヨボヨボ万次郎 (@gKWlZAb6swr8fjy) March 4, 2024
加藤鮎子こども政策担当、官僚現行の下読みもせず委員会にのぞみ、しどろもどろで委員会を崩壊さす。
さらに、立憲民主党石橋通宏の質問の意味を理解できずに委員会崩壊を招く、事前質問通告原稿も読まず?
石橋委員、あきれ果てる。… pic.twitter.com/yFb1AnlerD
さて、衆議院での政倫審が終わった後で、こんなことを言っていた輩がいた。
「自民・下村博文氏「裏金政倫審」出席“匂わせ”の狙い “宿敵”森喜朗元総理を国会に引きずり出せるか」
《私の名前も何度か出ましたので、今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたい》 自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、4日、今後の衆院の政治倫理審査会(政倫審)に出席する可能性について、自身のX(旧ツイッター)にこう投稿した下村博文元文科相(69)。下村氏はJNNの取材に対しても、「出席して説明する用意がある。今後、政倫審が開催されるのであれば、党と相談をして説明責任を果たしていきたい」と答えた。
下村氏は2018~19年、総額約5.8億円の裏金化が報じられた最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の事務総長。22年7月に会長だった安倍晋三元首相の死去を受け、同派が新たに発足させた集団指導体制までは会長代理も務めていた。 つまり、キックバックが始まった経緯や、いったんは止めようとなった後も続いた理由など、「裏金問題のすべてを知り得るキーパーソン」。政倫審に出席した他の安倍派幹部のように「詳細は知らない」「秘書が」などと言う釈明が通るはずがない。 それだけに下村氏が政倫審に出席するのか、何を発言するのか注目だが、ネット上では、下村氏が出席の可能性に言及した“本当の狙い”について様々な憶測が飛び交っている。 ■安倍派のキックバックは、森氏が会長を務めた時代から始まったとの指摘も 目立つのは《宿敵・森喜朗元首相を国会に引っ張り出すのが狙い》《森さんの名前を連発して国会で参考人招致や証人喚問させたいと考えているのではないか》といった声だ。 森、下村の両氏は、2021年開催の東京五輪・パラリンピックのメーン会場となった新国立競技場の建設見直し騒動を巡って関係がこじれ、以来、政界では不仲説が絶えない。下村氏は2023年9月に出演したネット番組で派閥幹部を外れた経緯に触れた際、「ここまで邪魔されるとは思わなかった。政界引退した森氏に影響力が残っているのは残念だ」と森氏を強烈に批判。一方、森氏は地元の北國新聞の連載「総理が語る」で、下村氏が森氏に対して「何とか私を(派閥)会長に」と言って土下座したこと(後に下村氏は事実関係を否定)を“暴露”するなど、今や一触即発の様相を呈している。 安倍派のキックバックは、森氏が会長を務めた時代から始まったとの指摘もあり、1日の政倫審でも、西村康稔・前経産相(61)は「森元総理が関与したという話は聞いていないが、もし疑念が生じるのであれば(安倍派の)幹部が確認しても『口裏を合わせた』と言われるので、第三者が確認するのがいいのではないか」と説明。 共産党の塩川鉄也議員(62)も「(森氏には)ぜひ国会に出てきてほしい」と出席を求めていたから、政倫審に出席した下村氏が仮に森氏の関与を疑わせるような発言をすれば、野党側はたちまち、森氏の証人喚問や参考人招致を求める展開になるのではないか。 「この恨み、晴らさでおくべきか」――いずれにしても、下村氏の政倫審出席が実現するのかどうかにかかっているのだが……。 |
ところで、先週の「まともな仕事しているのか 高市早苗経済安全保障担当大臣」というつぶやきの中で、「TSMC熊本 半導体バブルの盲点。日本大復活にあと1つ足りぬピースとは?白亜の工場が本邦経済の墓標となる恐れも」という警告記事を紹介した。
その後、台湾の半導体製造大手TSMCが熊本県菊陽町に建設した第1工場の開所式にビデオメッセージを寄せた岸田文雄は「半導体はデジタル化や脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジー」であるとして、今後建設される第2工場とあわせて1.2兆円の補助金を投入すると説明したのだが、これに関して、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡は、「工場誘致に税金を使うこと自体は悪くない」としながらも工場周辺で危惧される化学物質「PFAS」による地下水汚染や健康被害のリスクを指摘していた。
「岸田総理は化学物質PFASをご存じない? TSMC熊本工場に地下水汚染と健康被害リスク…数年後「想定外」マジ勘弁な」
■岸田総理も大はしゃぎのTSMC熊本工場に「2つの懸念」 日本政府が5000億円近い補助金を提供することにより誘致に成功した、TSMCの熊本工場ですが、それに味をしめたTSMCが第二工場の建設を計画しているそうです。経済産業省は、9000億円規模の補助金による支援を検討しているそうです。 半導体工場の誘致に税金を使うことそのものは悪くないと思いますが、ちゃんとした条件交渉を国ができているかどうかがとても心配になります。日本の政治家は、しばしば「結論ありき」で物事を進めるため、「誘致すること」が前提で官僚が交渉をしたところで、良い条件が引き出せるわけがありません。 そんな中で、最近になって浮上してきたのが、地下水の問題です。 熊本は、日本の中でも珍しく綺麗な地下水が豊富な地域で、地域の住居・農場・工場に提供されている上水道の水源は、その地下水です。 半導体工場は、大量の水を使うことが知られていますが、今頃になって、これが地下水に与える影響を心配する声が聞かれるようになりました。 懸念事項は二つあります。 一つ目は、半導体工場が大量の水を使うことにより、地下水が枯れてしまうのではないか、という心配です。私のような素人から見ても、「そんなことは工場を誘致する前にちゃんと調べておけよ!」と言いたくなります。 半導体工場がどのくらい水を使うかは前もって分かっているのですから、いわゆる「環境アセスメント」の段階で、地下水が十分にあるかどうかは調べておくべきであり、今頃になって「地下水が枯れてしまうかも」と心配するのは馬鹿げた話です。 二つ目は、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれるフッ素化合物による地下水の汚染です。 PFASは、1940年ごろから普及していった化学物質で、水や油をはじき、熱に強い性質を持つため、消化剤、揮発剤、表面処理剤として、幅広く使われるようおになりました。フライパンに焦げ目がつかないようにするテフロン加工、布地が水を弾くようにするゴアテックス、などが代表的なものです。 PFASは、その性質上、自然界や体内で分解されにくく、一度環境が汚染されてしまうとなかなか消えなかったり、生物の体の中に蓄積されてしまう特徴があり、”Forever Chemicals”と呼ばれています。 その後、PFASの中でも、特にPFOSとPFOAと呼ばれる物質に、血清総コレステロールの増加、抗体反応の低下、がん、出生時体重の減少などのリスクがあることが判明し、製造元による自主規制や、規制当局による製造・使用、輸出入の禁止などが進んでいます。 ■TSMC熊本工場とPFAS「最悪のシナリオ」 半導体の製造過程では、さまざまなPFASがウエハー上に回路パターンを転写するためのフォトレジスト(感光材)やエッチング工程での冷媒などに使われるほか、製造装置内部の配管やバルブといった部品の表面加工など幅広い用途に利用されており、半導体工場の周辺では、河川や地下水中のPFASが安全基準を上回る濃度まで上昇してしまうケースがしばしば見られます。 半導体製造過程におけるPFASの活用は、それが「必要不可欠なもの (Essential uses)」という理由から規制対象から外されてきましたが、欧州では、2025年から規制対象になることが決まっており、それが半導体不足を悪化させる可能性があると心配されています。 熊本では、TSMCの半導体工場の稼働が始まっていないにも関わらず、地下水から基準値以上のPFASが検出されるケースが相次いでおり(原因は不明)、今後、本格的な稼働が始まった時に、地下水にどんな影響が出るかが心配されています。 熊本県は、この問題に対処すべく、PFAS調査を大幅拡充するとしていますが、そんな中途半端なものではなく、半導体工場でのPFASの使用禁止も含めた、より積極的な政策が必要だと私は思います。 本来ならば、日本政府がこのリスクをしっかりと認識した上で、第二工場に9000億円の補助金を出す条件として、「第二工場ではPFASは使わない。第一工場においても、2025年以降はPFASを使用しない」ことをTMSCに約束させることがとても大切だと思いますが、上に書いたように、政治家が「誘致ありき」の姿勢を崩さない限り、まともな交渉ができません。 最悪のシナリオは、PFASの件は曖昧なまま第二工場の建設が進み、数年後に地下水からPFASが検出された後になって、熊本の宝であった「安全な地下水が」失われ、政治家は「想定外だった」とコメントして誰も責任を取らない、というものです。 そんな事態を避けるためにも、日本政府には、「破談になっても構わない」姿勢で、ちゃんと交渉してもらいたいと思います。 |
その昔、「4大公害病」の一つとして知られている水俣病は熊本県水俣市に1953年~1960年にかけて発生した。
それから半世紀以上経ってPFASがあらたな公害病になりつつあり、早急な政府の対応が求められているにもかかわらず、残念ながら「デジタル化や脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジー」とはしゃいでいる岸田文雄政権の不作為によってPFASの被害が拡大するのではないだろうか、とオジサンは思う。
【参考】
西都市でPFASの有害物質 県内で初検出 県が発生源特定へ」